概要
和名 | ボタンウキクサ |
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英名 | water lettuce |
学名 | Pistia stratiotes |
分類 | 単子葉類 オモダカ目 サトイモ科 ボタンウキクサ亜科(またはサトイモ亜科) Pistieae連 ボタンウキクサ属 |
分布域 | フロリダ半島~南アメリカ、アフリカ、オーストラリア北部、東南アジア、中国南部、台湾、南西諸島(世界各地の熱帯~温帯に帰化) |
開花期 | 5~10月 |
草丈 | 1~20cm |
花言葉 | 「動揺しやすい恋の悲しみ」「清らかな心」「光を包む」 |
サトイモ科ボタンウキクサ属に分類される、一属一種の水生植物。
和名の由来は、葉を上から見ると牡丹の花のように見えることから。
別名ウォーターレタス(レタスとは別の仲間であり、シュウ酸カルシウムを含む為、食用には向かない)。
名前に「ウキクサ」と付くが、ウキクサとは亜科から異なる別系統の種。
日本では関東以西で外来種として見られる。
生息環境
流れが緩やかな河川下流域や農業用水、あるいは全く無いワンド、湖、ため池、水田、ダム等で見られる。
特徴
ロゼット状の葉は薄緑色で毛が密生し、楕円形をしており、株の下の水面下に根を伸ばす。
花は両生花で、白~薄緑色の仏炎苞に包まれた肉穂花序を葉の隙間に咲かせる。
花は非常に小さいが、サトイモ科らしい形をしている。
種も付けるが、主な繁殖方法は栄養繁殖で、ランナーを伸ばしてその先に子株を付ける。
日本で見られるもののほとんどは大型で葉が空気中に立っているオープン型系統だが、国外には草体が小型のコンパクト型や、小型で葉を水面に浮かばせる系統(パンタナルボタンウキクサ等)もある。
外来種問題
南米ないしアフリカ原産の熱帯植物で、見た目がきれいなことから日本には観賞用の水草として輸入された。
しかし繁殖力が強く、野生化したものが水面を覆い尽くして船の運航や漁業等を妨げたり、水面を覆う事での沈水植物の光合成の阻害や、アレロパシーを放出して周囲の植物の成長を阻害するなどで在来の水生植物を駆逐したり、冬に枯れて腐った草体が沈むことで二枚貝等の底生生物にも悪影響を及ぼしてしまう等、様々な面で悪影響が高い為、特定外来生物に指定された。
熱帯性の為に耐寒性が低く、温帯域では湧水や温排水の周辺以外では冬に枯れてしまう場合が多い。
どうやら特定外来生物指定種の水草の中では弱い方なようで、ブラジルチドメグサやナガエツルノゲイトウ、オオバナミズキンバイ、オオフサモ等の特定外来植物が同所に侵入すると、競争に負けて消えてしまう事もある。
原産地は何処?
南米やアフリカが原産地とされるが、本来の自然分布域はよくわかっておらず、アフリカ原産説(化石記録がある)や、南米原産説(天敵の昆虫が居る)。南米とアフリカ両方自然分布説の三つの説が主流となっている。
最近の研究では遺伝子解析や文献記録の確認により、それに加えて北米のフロリダ半島やオーストラリア北部、中国南部、台湾、東南アジア(ボタンウキクサ専食の蛾ウキクサヨトウが分布する)、さらには日本の南西諸島(沖縄本島~八重山諸島)も自然分布の可能性が高いとされている。