概要
小説投稿サイト「小説家になろう」に投稿されているweb小説。
2020年6月12日にオーバーラップノベルスから書籍化が発表された。イラストは転(くるり)。
2022年2月にはガルドコミックスにてコミカライズ化された。作画は青色まろ。
所謂異世界転生ものであり、シリアスな世界観ながらもギャグ路線を多めに取り入れている。
あらすじ
貴族の末弟として生まれたヴァンは2歳になった時、不意に前世と思わしき記憶が呼び起こされる。
それを境に様々な部分で幼児とは思えない行動を見せ、一時期は神童と噂されるように。
しかし、8歳で行う魔術適性鑑定の儀にて、役立たずと揶揄される生産系魔術の適性があるという結果が出てしまい、ヴァンは侯爵家を追い出されることになってしまった。
追いやられた先の村では様々な苦難が訪れるが、ヴァンは前世の知識と生産魔術で村を発展させ、楽しく暮らしていくことを決意する。
この国の常識を超えた速度での村の発展と防衛強化が行われ、名も知られぬ辺境の村はやがて巨大都市へと変化していく…。
登場人物
スクーデリア王国
ディーノ・エン・ツォーラ・ベルリネートが王座に就く国。
周辺諸国との争いが続いている都合上、王国の貴族は炎・水・風・土の四元素魔術の適性を重要視されており、その他の特に戦場に適さない魔術は冷遇される立ち位置にある。
現国王は貴族の血統よりも歴戦の実力者を士官に重用する傾向にあり、血族優先な実情に対し20年ほど掛けて大規模な軍事改革がなされた。
フェルティオ侯爵家
フェルティオ侯爵の末息子であり、本編の主人公。
8歳の時に「生産」の魔術適性が判明し、侯爵家から追放されるも、貴族のしがらみから解放される都合からこれを嬉々として受け入れる。
追放先のセアト村では前世の知識と生産魔術を基に急速に村を発展させていく。
ティル
フェルティオ侯爵家に勤めるメイドの一人でヴァンの専属メイド。実は元奴隷からの成り上がり。
ヴァンがセアト村へ移住することになった際は一部の他のメイドたちも同行を志願していたが、専属メイドの座で守りきったらしい。
移住後も引き続き、ヴァンの世話及び料理・給仕の役を担っている。
エスパーダ
フェルティオ侯爵家の執事。土の魔術適性を持つ熟練の魔術師でもある。
55歳の老骨で隠居、ヴァンへの教育という理由の下、ヴァンの辺境の村への移住に乗じて半ば強引に同行。
セアト村の発展・維持に大いにかつ陰ながらも貢献している。
カムシン
元々は奴隷として売られていたが、ヴァンと偶然出会い、ヴァンに買われる形で従者となった。ヴァンへの忠誠心は心酔と呼べるほどに厚い。
ヴァンの代役として剣術の訓練に参加させられたため、ヴァン以上の実力を得た少年兵となっている。
ディー
侯爵家の騎士団の副団長。両手剣を軽々振り回す腕力と持久力を併せ持つ40歳の大男。
ヴァンに才能と将器を見出し、辺境への移住が決定する前から直々に訓練を課しており、移住の際にも騎士団の命をガン無視して独断で同行。
セアト村では近接戦闘随一の強さに加え、戦闘の指導能力を発揮して村人たちの戦いを現場指揮する役目を果たしている。
アーブ、ロウ
侯爵家の騎士団の二人組でディー直属の部下。少々気弱なアーブと物作りが好きなロウの二人はヴァンの外出の際の護衛を務めていた縁があり、ヴァンの異才を理解している。
ヴァンの移住の際にはディーと合わせて同行。セアト村が発展途上の時はディーを含め、常駐の中で唯一の白兵戦戦力であった。
ジャルパ・ブル・アティ・フェルティオ
フェルティオ侯爵家当主。武門の家であるために四元素魔術(特に炎の魔術)と癒しの魔術適性を絶対視しており、ヴァンの魔術適性が分かると即座に処刑しようとした。
冒険者
オルト・シート
ヴァンがセアト村に追放される際に道中の護衛を引き受けた冒険者の一人。
他の貴族とは様々な意味で一線を画すヴァンに未来を感じ、セアト村を拠点とすることを決意する。
プルリエル
緑髪に眼鏡の、オルトのパーティの紅一点魔術師。
水の魔術適性を持ち、パーティ内で間接攻撃での継続戦闘の役目を担っている。
クサラ
オルトのパーティの斥候役を務める恰幅の良い男。見た目から受ける印象に反してパーティ内で一番素早いらしい。
ムードメーカーのポジションにいるようで、セアト村が発展を始めて2ヶ月が経つ頃にはいじられ役がすっかり定着してしまった。
メアリ商会
ベル、ランゴ
元々セアト村に定期的に来訪していた商会の行商人兄弟。
ヴァン移住後のセアト村に初めて訪れた商人となった2人は、急速発展する村の流れに幸運にも乗れる運びとなる。
ロザリー
王都のメアリ商会の一店舗を任せられている店長でベル・ランゴ兄弟とも縁がある。本編時間軸より2年前にヴァンが奴隷のカムシンを買い取った店がここである。
この時のヴァンの貴族らしからぬ振る舞いには驚かされており、ヴァンの功績が耳に届いた時には他の商人ほどは驚かなかった様子。
フェルディナット伯爵家
アルテ・オン・フェルディナット
フェルディナット伯爵の末娘。魔術適性の都合で伯爵家内では不遇な扱いであり、ヴァンとは共通点が多い。
セアト村にフェルティオ侯爵家が領主として赴任したという情報から、父によって半ば政略結婚の形で来訪。
パナメラやヴァンとの出会いは自らの魔術と向き合い、前向きな成長を齎すきっかけとなっていく…。
パナメラ・カレラ・カイエン
騎士爵からの成り上がりで子爵となった新興貴族の実力者。長身の美女であり、威厳を感じさせる佇まいをしている。
豪快だが気さくで優しい人物であり、厳しくも人望の厚さがうかがえる。
火の魔術適性を持ち、戦場では一流の火力が爆発する。
バリアット・シロッコ・フェルディナット
フェルディナット伯爵家当主。実力主義に変わる軍事改革の影響によって領地を削られる形となったため、地位を確保を兼ねてパナメラの陞爵を陳情した経緯がある。