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エアフォースワンの編集履歴

2023-10-09 20:13:08 バージョン

エアフォースワン

えあふぉーすわん

アメリカ合衆国大統領が搭乗する空軍機が使用するコールサイン

概要

エアフォースワン(英語:Air Force One)は、アメリカ合衆国大統領が搭乗した際に空軍機が使用するコールサイン。大統領が搭乗していない時・大統領の任期が飛行中に終了した時は、その機体が大統領専用機でもこのコールサインは使用されない。大統領が搭乗すればどの機体でも「エアフォースワン」と呼ばれ、軍の輸送機でもコールサインはそのようになるが、逆に副大統領が搭乗する場合は「エアフォースツー」となる。


コールサインの誕生

1953年12月に大統領専用機(Air Force 8610)と同じコールサインを持っていたイースタン航空の商用飛行機(8610)が、同じ空域に入って混乱が生じた事件が発生した。この事件を契機に他と被らない専用のコールサインが検討され、1959年8月から大統領専用機を意味する「エアフォースワン」が使用されるようになった。それ以前まではその時々のミッションナンバーで呼ばれていた為、他の航空機と似通った番号になって混同される事があった。


コールサインの変更例

大統領が搭乗中に辞任またはそれ以外の閣僚が大統領に昇格した事で、コールサインが変更された例がアメリカ史上でも過去に2回だけ存在する。

  • 1963年11月に遊説でテキサス州ダラスを訪問していたジョン・F・ケネディが暗殺された時、ジョンソン副大統領が専用機内で宣誓を執行して大統領に昇格した。アメリカ史上でも機内で宣誓を執行した上にコールサインが「エアフォースワン」に変更される瞬間に立ち会った大統領は、歴代でもリンドン・ジョンソンが唯一の例となっている。
  • 1974年8月にウォーターゲート事件を受けて辞任したリチャード・ニクソンは、その瞬間を専用機に搭乗している時に迎えた為、飛行中だったが「エアフォースワン」から別のコールサインに変更された。搭乗中に辞任した上に別のコールサインに変更される瞬間に立ち会った大統領は、歴代でもリチャード・ニクソンが唯一の例となっている。

その他のコールサイン

具体的には以下の通りである。

  • 陸軍機:アーミーワン
  • 海軍機:ネイビーワン
  • 沿岸警備隊:コーストガードワン

歴史上1度も使用された事が無いが、2009年9月にバイデン副大統領(当時)が洪水に見舞われたジョージア州アトランタを訪問した際に搭乗し、「コーストガードツー」が使用された。

  • 海兵隊機:マリーンワン
  • 民間機:エグゼクティヴワン

機体の用途

連邦共和国であるアメリカ合衆国962万9091平方キロメートルという広大な国土を有しており、大統領は外国の訪問・国内の移動に際しても航空機を利用しなければならない事が多い。その為大統領が遊説・視察・外遊での長距離の移動に使用され、常識の範囲内なら自由に飛ばせる。


例えば外国の首脳と会談する時にそれを送迎する事も可能で、小泉純一郎安倍晋三など日本の総理大臣が搭乗した事がある。ドナルド・トランプは2018年11月に執行される中間選挙に激戦地を遊説する目的で多用しており、この辺りが日本の政府専用機との違いである。


外国に訪問する時

外国を訪問する時は空軍・シークレットサービスの人間が着陸先の空港を調査し、到着した時の機体の位置などを事前に決める・使用する燃料は指定の業者に発注する・補給する前に抜き打ち検査を実施するなど厳格に管理される。日本を訪問する時は羽田空港に着陸する事が多いが、中部国際空港伊丹空港にも着陸した事がある。羽田空港の場合はVIP専用スポットに駐機し、タラップは全日本空輸から借用するが、在日アメリカ軍の横田基地に向かってそこで待機する場合もある。


現在の機体

1990年8月以来VC-25が運用されており、ボーイング747-200B型機をベースに改造された。機種名はボーイング747-2G4Bであり、1986年7月に購入契約が締結され、1987年5月に初飛行を果たした。しかし核攻撃による電磁パルスなどに耐えられる追加改造が実施された影響で、初めて納入されたのが1990年1月と大幅に遅れたが、それから現在までに6人の大統領が搭乗している。


2機存在する機体はそれぞれ記号が82-800092-9000である。前者に大統領が搭乗する事が多く、後者は前者が整備中の際の予備機であり、副大統領や閣僚の搭乗機として使用されている。外国を渡航する時は2機一緒に飛来するが、これは万が一の墜落事故・機体のトラブルに備えての事であり、こうした事から大統領と副大統領は同じ機体に搭乗しない。1962年10月に機体の青白カラーがケネディ大統領の発案で決定され、それ以来4代(SAM26000・SAM26000・ボーイング747-200B・ボーイング747-8)に亘って踏襲されている。


機体設備

VC-25が改造され始めた時に747-400型機が製造され始めていた為、操縦室にある高度計などの一部の計器にグラスコックピットを装備しており、機長副操縦士・航空機関士・航空士の為のブースがある。攻撃に対応した装備がいくつかあり、滞空時間を伸ばす為の空中給油装置・ミサイル接近警報装置・赤外線誘導ミサイルの誘導を妨害するIRジャマーなどが確認されている。


大統領執務室・事務室・寝室・会議室・医務室・通信室・シークレットサービスの座席と事務室・一般客室(マスコミなどの同乗者用)・ビジネスセンター・キッチンなど、飛行中でも国政や危機管理対応に支障が無いように充実した設備を備えており、搭乗橋(ボーディングブリッジ)が無い小規模な空港・タラップが用意できない場合に備えて収納式タラップもある。


1997年7月に公開されたアメリカ映画の『エアフォース・ワン』では、緊急時に大統領を退避させる脱出ポッドが使用されるシーンがあるが、実際の機体には存在しないとされる。しかし実在したとしても身辺警護に関わる機密と言える内容なので、現行機が引退するまで真意は不明である。


後継機について

2015年1月に空軍は後継機の機種をボーイング747-8型機に決定し、2018年2月に2機をボーイングから39億ドルで購入した(非公式の合意)。塗装はトランプ政権で赤・青・白の3色を配したデザインに変更するとされていたが、後任のバイデン政権でトランプの案を破棄したと報じられている事から、専用機の塗装は従来と同じ青・白の2色が踏襲される模様である。


2016年1月に次期エアフォースワンの購入プログラムで、ボーイングとリスク低減活動の契約を締結し、同年7月に大統領専用機として適切な改修を実施するもう1つの契約を締結した。現在も改造作業が実施されており、2024年12月までに機体の移行が予定されている。しかし2020年1月に新型コロナウイルスが流行した事で工程が遅れ、2026年に延期する可能性もある。


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政府専用機 空軍


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