グラスコックピット
ぐらすこっくぴっと
アナログ計器を用いず、操縦に必要な情報を液晶パネルなどのディスプレイに統合表示するコックピット(ただし、アナログ計器も併用されることもある)。1980年代以降に多くの飛行機や宇宙船に取り入れられ、コックピットの眺めを一変させた。
メイン画像のグラスコックピット(エアバスA340)は1990年代~2000年代ごろのもので、まだアナログ計器が残っているが、エアバスの新しいモデル(A350 XWB以降)のグラスコックピットでは姿勢指示計以外のアナログ計器を全廃している。
グラスコックピットの考えを初めて取り入れた機体はスペースシャトルのオービター(1981年)だが、当初はアナログ計器がメインでディスプレイ表示は補助的なものだった(オーピターがコックピットを更新して本格的にグラスコックピット化したのは1990年代末ごろ)。初めて本格的なグラスコックピットを採用したのはボーイング767(1983年)である。初期のグラスコックピットはCRT(ブラウン管)のものが多かったが、後にLCD(液晶)などのフラットパネルディスプレイに置き換えられた。近年のものはタッチパネル式の液晶になっている。
ボーイング787のコックピット。操縦席前にHUDが設置され、LCDが大型化された。アナログ計器は中央の姿勢指示計だけである。
近年は旅客機だけでなく、軽飛行機やヘリコプターに至るまでほぼ例外なくグラスコックピットが取り入れられているが、未だにアナログ計器を残しているものも少なくない。
1982年の新幹線200系電車が、プラズマディスプレイによる運行支援情報表示を取り入れていた。これは運行に必要な各種情報を統合表示するとともに、故障情報を表示することもできる、当時としては非常に先進的なもので、グラスコックピットの考え方を先取りしていたと言える。
日本の鉄道車両では、JR東日本で言えば新幹線はE2系(1997年)、在来線はE231系(1998年)以降グラスコックピット化された。JR他社や私鉄も近年の新造車はだいたいはグラスコックピットである(アナログ計器が残っているものもあるが)。
近年はBMW、アウディ、レクサスなどの高級車でグラスコックピット化が流行している。ダッシュボードにマルチインフォメーションディスプレイを設け、様々な情報を統合表示する。