竜送りのイサギ
りゅうおくりのいさぎ
概要
アニメ化の実績がある「ノケモノたちの夜」原作の漫画家・星野真による漫画作品。小学館のWEB漫画サイト「サンデーうぇぶり」にて、2023年9月3日より連載を開始した。
歴史好きの星野真先生が、「日本神話」をモチーフに世界観や登場人物の名前に取り入れた新作。竜が住んでいる平安時代"風"の異世界を舞台に、少年の竜殺しの旅路を描いた作品である。
あらすじ
ここは、竜が棲む世界の流刑地・陵獄島。人はおろか、この世界ではごく普通にいる竜ですら近寄ろうとしない。
斬った相手の記憶が垣間見える首打人の少年・イサギは、ある日死罪となった将軍・タツナミと出会い、彼に剣術の稽古をつけて貰った。首打人に指名されたのちタツナミの処刑当日、イサギが自身の特殊能力「サトリ」で見たタツナミの記憶は「彼が大きな竜を斬り殺した」という事実であった……
世界観
天候と風を司る竜への信仰が深く、人々はその存在に政治経済文化信仰などで多大な影響を受けている。竜について滅多なことを言うと石を投げられるほど。
だが僧侶がいることや四十九日、焼香、仏壇とおぼしきものも存在しているため竜のみを信仰しているわけでもなく仏教の影響もみられる。
街並みは江戸時代風だが陵獄島は平安時代風でもあり和風ファンタジーといっても独特な雰囲気がある。
政治の中核は「太政閣」という。
地名は日本列島らしき土地を竜の体に対応させているようで、例えば現実の東北地方と思われる土地は「頸州」、下北半島と思われる土地は「喉仏半島」、恐山と思われる土地は「逆鱗山」と呼ばれている。
「通例髪を長く伸ばして結ぶ」という文化があり、作中の人物は大抵髪が長い。
主な登場キャラクター
- 櫛灘イサギ(くしなだ いさぎ)
主人公の少年。若白髪で中の後髪のみ黒。瞳は藤色。左の額に三日月形の傷がある。
罪人の子として生まれ、首打人(=首切りの役人、死刑執行人)として陵獄島で暮らしていた。斬首の腕前は抜群。故に二つ名は「斬聖」。
タツナミとの鍛練を経て、人を斬る際に(一部ずつだが)斬られる人間の記憶を見ることが出来る特殊能力「サトリ」を手に入れる。
某兄さんの異世界転生後の姿ではない。
- 須佐タツナミ(すさ たつなみ)
京では「稀代の名将」として知られていた将軍。罪を得て死罪が言い渡され、イサギを首打人に指名し第1話で斬首刑を受けたが、表向きは病死とされた。手錠を引きちぎるほどの怪力を持ち、死ぬまでの数日間イサギに剣術を教えた。
イサギに首を斬られる際記憶を彼に渡し、(情報量の多さ故に少しずつしか見られないようだが)得た罪は「竜殺し」であることが判明する。
左耳に付けていた耳飾りはイサギに託された。
- 須佐チエナミ(すさ ちえなみ)
タツナミの息子で三男坊。イサギの「サトリ」の噂を聞きつけており、「父はどうやって竜を殺したか」をイサギに聞き出して、滞在先の陵獄島からイサギと一緒に竜を探しに向かう。須佐家の家宰(=執事、家老)である鳥居道玄と連絡を取っていたが、合流先で道玄は辻斬りに討ち取られていた。
タツナミの顔の傷はチエナミが付けたもの。某上司とは他人の空似。
- 十文字マヒナ(じゅうもんじ まひな)
国の最大商会の最高幹部で、年齢はタツナミと同世代。
生前の鳥居道玄から連絡を受けており、辻斬りに対処したイサギ・チエナミの元に現れる。
余談
なんでや!中日関係ないやろ!
WEB掲載が始まって数日後、
…これらの要素がNPBのプロ野球チーム「中日ドラゴンズ」を連想させるとして話題に。
連載開始当時、中日ドラゴンズは5位や最下位が定位置の暗黒時代で、立浪和義監督が「与田剛監督時代と比較してチームをさらに低迷に追い込んだ」環境下で「戦う顔」「打つ方はなんとかします」「令和の米騒動」などネタを出し続けていたため、「タツナミの奴、なんで竜を殺したんだ?」というセリフが、立浪監督が采配ミスをした際にネット上でこぞって使用される事態になったほか、
…という大喜利も発生。
星野真先生は野球に関しては疎いため、中日暗黒時代と重なって生まれた偶然の産物と言えるが、当の先生の反応はこの通りで、とばっちりもいい所だ……