概要
2024年1月2日、新千歳から羽田に向かうJAL516便(エアバスA350、JA13XJ)が、羽田空港へ着陸直後に海上保安庁のDHC-8(JA722A)と衝突。双方は大破炎上してしまった。
幸い、516便の乗員乗客は火が回る前に脱出し全員の生存を確認。多少の怪我人が出た程度だったが、当時516便にはペットの同伴が2件確認されており、残念ながら2件とも救出は出来なかったと後にJAL広報部は発表した。
また海保機のクルー6人中5人が殉職する大惨事となり、日本エアシステム451便着陸失敗事故以来ほぼ30年ぶりとなる運行中の日本国籍旅客機による全損事故かつA350型機最初の全損事故となってしまった。
海保の航空機は、2011年の東日本大震災で被災しながら、唯一修復された機体であり、奇しくも前日に発生した令和6年能登半島地震を受けて被災地へ支援物資を輸送する予定だった。
事故原因は現在調査中。
影響
この事故で羽田空港は滑走路全てを閉鎖したため後続便全16便が欠航。成田空港、中部国際空港、関西国際空港へのダイバートも続出したため、その救済として京成電鉄が臨時のアクセス特急を終電後に運行。JRも札幌から函館へ臨時特急(261系はまなす・ラベンダーを使用して4両で運行)を運行し、臨時「はやて」(普通車全車自由席、グリーン席とグランクラスは営業なし)と接続するダイヤを急遽設定して救済に当たったほか、新大阪行き「のぞみ」が普通車全車自由席で急遽設定された。
翌日以降も事故調査と残骸撤去のために欠航便が続出。お正月帰りの客が足止めを喰らう事態になった。こちらも羽田の使用できる滑走路の他、成田空港も活用する形で臨時便が設定され救済に当てられた。
その他
事故調査にはあのBEAとエアバス本社のエンジニアも参加する模様。さらにNTSBやイギリスのAAIBもサポートを行うと表明した。
また、警視庁も業務上過失致死傷容疑で捜査を進めているが、これに関して航空従事者、航空ファンを中心に批判の声が上がっている(海外では「再発防止」の観点を重視する為、「明らかな故意」でない限り刑事責任に問われる事は少ない)。これについては、航空安全推進連絡会議と日本乗員組合連絡会議も「調査は刑事捜査が優先されるものではなく、結果が再発防止以外に利用されるべきではない」という趣旨の緊急声明を発表している。
日本航空は事故直前の2023年12月、整備を巡る不祥事が発覚し批判を受けたが、この事故では乗務員の非常事態訓練の成果が見事に発揮されたと海外メディアを中心に高く評価されている。
日航側に死者はいなかったが、飼っていたペットを置き去りにして逃げて来た乗客もいた。『人命』優先というスタンスだったらしく、人間の命が助かれば他はどうでもいいのかという難しい問題をも浮き彫りにしている。
関連タグ
テネリフェの悲劇:1977年に起きた航空機同士の衝突事故。事故直後のニュースでも有名な事例として引き合いに出された。
ロサンゼルス国際空港地上衝突事故:1991年に発生。着陸したジェット旅客機が滑走路上でプロペラ機と衝突という、類似した事故。こちらは双方で死者が出てしまった。
マフィア梶田:成田空港にダイバートした便に乗っていた。