概要
フランスは、エールフランスという大きな航空会社を持つことに加え、エアバスという航空機メーカーのある国である。それゆえに、フランス航空事故調査局(Bureau d'Enquêtes et d'Analyses pour la Sécurité de l'Aviation Civile:略称BEA)は、少しでもフランスに関連する航空事故が起きれば国内だけでなく世界中を駆け回ることになる。
そんな忙しい国際機関の本拠地に対するイメージとして「技術の粋を集めた高層ビル」や「広い土地の落ち着いた雰囲気の建物」などといったものを想像しても、何らおかしいことはない。
しかし、サムネでお気づきの方もいらっしゃるだろうが、BEA本部はあの芸術の都パリの隣町たるル・ブルジェにその所在地を置くにもかかわらず、その外観は質素も質素を極めている。
いや質素とかいうレベルじゃねーぞこれ!
- 一部分のみ三階建て、あとは二階建てのコンクリート建造物
- その端っこに半円柱状の倉庫
- 「A」だけはちょっと飾った白黒ロゴの描かれた看板
はっきり言ってしまえば田舎の小学校の建物とどっこいどっこい程度の建物がBEA本部庁舎の全てである。
航空事故ドキュメンタリー番組などにおいてこのしょb簡素さに衝撃を受けた視聴者の間で「建物がしょぼいBEA」という認識が広がっていった。
国際BEA原器
そしていつしか視聴者たちは「BEAの建物を1とすると、他の航空事故調査組織の建物はどのくらいだろうか?」という疑問に行き当たった。
例えばアメリカ合衆国やアメリカ製の航空機の事故を調査する国家運輸安全委員会(National Transportation Safety Board:略称NTSB)の本部は、高層建築な上に敷地も広い。いくらNTSBが航空以外の運輸関係事故に関する業務まで包括して行っているとしても、BEAの建物とは雲泥の差がある。規模としてBEAの数百倍でもおかしくはない。
数々の議論が某コメントが流れる動画サイトでなされた結果、NTSB=1000BEA(1kBEA)という認識が成立することになった。これを皮切りに、世界各国の航空事故調査局が紹介されるたび、その建物の規模を表す単位として「BEA」が使われることになった。
日本の事故調査を担当する運輸安全委員会(Japan Transport Safety Board:略称JTSB)のある新宿区の四谷タワーは145mあるかなり立派なビルなのだがJTSBは間借りしているためBEAは測定不可となっている。
関連項目
最後に
ここまで散々なdisら……言われようなBEAではあるが、建物の規模は事故調査の能力にはなんら悪影響を及ぼしていないことは触れておかねばなるまい。
特にエールフランス447便墜落事故やエールフランス4590便(コンコルド)墜落事故などにおいて、BEAは執念とも言えるほどの使命感で数々の困難を乗り越えて事故原因の究明と再発防止策の発案を成し遂げた。
その為メーデー民からは、事故調査の最後の切り札や砦などと呼ばれており、期待と信頼が極めて高く、ファンによりダンボールで作られたBEAの模型が本家BEAに贈られる程である。
世界の空の安全は、建物がしょぼくても為すべきことを為すBEAによって守られているのである。
…一方でエールフランス296便事故でパイロットに責任を押し付けるためにブラックボックスに改竄を行った疑惑が出てくる(当然調査官は否定しており、真相は謎)など清廉潔白な組織とは言い切れない点もあり、エールアンテール148便墜落事故ではBEAに不信感を持った警察の判断によりブラックボックス回収を妨害されるという憂き目に遭ったりもしている。