ジンラ號
じんらごう
演/スーツアクター:破李拳竜(改造前の姿も担当)
概要
性能
装 甲 | 全複合鋼鉄合金 |
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動 力 | 複式直結発動機5型・蓄電池3号二次21型 |
射撃武器 | 100式短機関銃(べ式テラ銃※) |
携行武器 | 98式軍刀 |
空挺装備 | 91式落下傘 |
自爆装置 | 3式自動発火装置・5キロ爆弾6個 |
※ベルグマン式テッポウ・ラッカサン銃の略称。他にも、「挺身落下傘隊」の意味も込められているらしい。なお、撮影用プロップガンは、モデルガンメーカーのハドソン社が販売していたステン短機関銃をベースに、ガンエフェクト・スタッフとして本作に関わっていた元MGC社員で現在有限会社BIGSHOT社長を務める納富貴久男氏によって改造されたもの。
運用
大日本帝国陸軍によって、東京地下の秘密研究所にて開発が進められていた、所謂報復兵器としての側面を備えていた人間兵器で、正式名称は「百二十四式特殊装甲兵ジンラ號」。この報復兵器は、同時期に同じ研究所にて開発が行われていた帝都専守要塞「轟烈睦」に搭載された世界最大クラスの72インチ砲などの、大型の高射砲より打ち出された後、内部に収納された爪を展開、空中のB-29にしがみつき、到着した敵軍の基地にて破壊の限りを尽くした後、胸部の円形パーツから液体窒素を噴射したのち自爆し甚大な被害を与えることを目的とする(特にこの仕様は、後述する岡崎と利重に本来施される予定だったらしく、改造後は「ジンラ一改」という名称になる予定だった)。なお、この「ジンラ」の名前は、「人造人間」の「ジン」と、「落下傘部隊」の「ラ」から取られている。
- その正体は不老化手術を施した兵士に、さらに装甲やその他内部機構を施して生み出された、いわばサイボーグ兵士である。上記の通り空爆を終えて基地に帰還するB-29に取り付き、帰還先となる敵基地内にて破壊行動を執った後に自爆するという、最早特攻を通り越して『鉄砲玉』に近い運用を想定されていた。
- しかし、戦局の悪化によりこの一機が完成した時点で計画は破棄され、空襲を機に研究施設ごと地下に埋没される形で封印されていたが、後にその真上に建てられたディスコビルの地下駐車場にある変電設備が、老朽化により漏電事故を起こしたことから再起動、しかもこの時点で既に暴走状態※に陥っていたのか、見つけた人間を無差別に殺害する怪物と化してしまった。
- ※実は、研究所が空襲で埋没した1945年3月10日に、敗戦を予見した日本軍上層部により証拠隠滅に乗り出した東京憲兵隊に抵抗する為、ジンラ號を開発した科学者によって一度起動させられており、その際に東京憲兵隊を全滅させてしまっていた。そして彼らを全滅させたという、いわば戦闘状態を維持したまま、空襲による地下研究所の崩壊に巻き込まれ機能停止してしまったのが、暴走するきっかけになったと考えられる。
なお、装甲化の間に合わなかった2人の素体……、岡崎と利重たちは、憲兵の攻撃で瀕死の身にありながら、研究成果である彼らを守ろうと逃走の手助けをした科学者の手引きにより研究所の崩壊から生き延び、戦後数十年間、ジンラ號が隠された敷地の近くで待ち続けていた。実は、岡崎と利重は共に1940年に開催されるはずだった東京オリンピックを目指していた水泳選手であり、共に出場を目指して競い合った仲だったのである。
そしてもう1人、彼らの友人であり、同じくオリンピックを目指していた水泳選手がいた。その人物の名は、「鍋島」……。
この鍋島こそ、今回漏電事故で復活してしまった殺戮機械、ジンラ號本人だったのである。
最早、人ならざる意思なき鉄の殺人鬼と化したかつての旧友を、そして不老化手術で老いることなく45年もの月日を生きてきた自分達の"聖戦"に本当の意味での決着を付ける為に、岡崎と利重は隠匿していた南部十四年式拳銃や九九式軽機関銃、九六式手榴弾などの、大日本帝国陸軍の武器を持ってジンラ號に立ち向かう。
果たして、その結末は……。
余談
- テレビマガジンの別冊などに代表される、東宝系の怪獣図鑑に度々紛れ込む常連でもあり、怪獣目当てに図鑑を買ったちびっ子達を困惑させるキャラクターともなっている。その恩恵か、登場作品である「ミカドロイド」を一切視聴したことのない特撮ファンやちびっ子達が存在しているにもかかわらず、マイナーな存在ながら一定の知名度を保っており、その現実的な設定と見た目から、軍事マニアや架空兵器マニアなどからも、ある程度支持を集めている。
- 本作のタイトルの段階で、もう分かるかわからないかのギリギリのネーミングであるが、一旦仕上がったスーツにはあろうことか菊の御紋まで造形されていたという。結局この御紋は、諸般の事情から撮影時には更に手を加え、胸に部品を追加し隠す変更が行われたとのこと。なお、この部品は当時撮影スタジオから出たゴミ箱の中にあった、電話の受話器のような詳細不明なパーツだったらしく、大きさがそのまま合った為、急遽採用されたという逸話がある。なお、2001年に本作『ミカドロイド』のDVD版の発売特典としてソフビメーカー『M1号』によって造形されたジンラ號の台座付きソフビ人形には、この菊の御紋が造形されている。