米軍
べいぐん
概要
アメリカ合衆国の軍事(アメリカがっしゅうこくのぐんじ)は、アメリカ合衆国の軍事とその情勢に関する事柄。米軍とは日本でのアメリカ軍の呼称にしてアメリカ軍の略字で、この表記を省略せずに書くと亜米利加軍になるが、ここではアメリカの軍事情勢を端的に述べるものとする。
概説
アメリカは北アメリカ大陸に位置する連邦共和国で、国土の東西を太平洋・大西洋に挟まれた地理にあり、国境は南方でメキシコ・北方でカナダと隣接している。大統領を最高司令官として軍が編制されており、1945年7月に核実験を成功させて世界初の核保有国となった。建国以来強大な常備軍を保持しない伝統的な軍事思想であり、孤立的な地理的位置からモンロー主義を採用していた。
1947年3月に東西冷戦が開戦してからはソ連に対する封じ込め政策を実施する為、NATOなど世界各国と集団安全保障のシステムを構築し、軍事力が常備化して世界的に部隊を地域的な統合作戦部隊に編制・配備している。主要な国防政策はアメリカ本土を防衛する他に、ヨーロッパ・中東・北東アジア・東アジア沿岸部・南西アジアの重要な地域の前方抑止と、小規模な緊急事態に対する対処である。2023年4月時点でのアメリカの軍事費は8769億4300万ドルで世界第1位だが、第2位に入っている中国でさえ軍事費は2919億5800万ドルである事から実に3倍ほどの大差がある。
アメリカの軍事力は目標として2つの地域で同時に作戦を遂行し、その内1つの地域では敵を決定的に撃破するものとされており、更に新たな脅威に対抗するべく世界的なアメリカ軍の再編を進めている。2001年9月に同時多発テロが発生してからは対テロ戦争の国家方針を打ち出し、同年10月にアフガニスタン・2003年3月にイラクに対して軍事侵攻を実行した。
情勢
制度
組織
アメリカは軍を保有する事が憲法で規定されており、国家元首である大統領は軍の最高司令官とされ、大統領の下に国防長官が指導する国防総省がある。更に安全保障の問題に関する最高諮問機関である国家安全保障会議が設置されており、ここで大統領の意思決定を支援するべく助言などをする。この会議は大統領だけで無く、副大統領・国務長官・国防長官・中央情報局長官・統合参謀本部議長・安全保障問題特別補佐官が出席する。国防長官の下には統合参謀本部が設置されており、これは大統領・国家安全保障会議・国防長官の軍事顧問と位置付けられている。
政軍関係
アメリカの文民統制の在り方は憲法だけでなく、1973年11月に成立した戦争権限法でも示されている。大統領が軍を投入する為には戦争宣言や制定法による授権か、本国またはその準州や軍部隊に対する攻撃から判断される国家非常事態に制限される。大統領は軍の投入に際して連邦議会と事前に協議せねばならず、その承認も無しに60日間を超える作戦行動が続けば大統領の権限が否認される。ちなみに両院同意決議が通過すれば、如何なる時期でも撤退するよう大統領に命令できる。