ジュブナイル(映画)
じゅぶないる
概要
2000年に公開された日本のSF映画。
監督は山崎貴。タイトルのジュブナイルとは、少年期を表す一般名詞である。
のちに『三丁目の夕日』を撮る事になる、山崎貴の初監督作品として有名で、当時における氏の最大の「売り」であったVFXがここぞとばかりに使用されまくっている。そのため、映像作品として、一度は見ておくべきとの評価もある。
また本作では、香取慎吾氏が主人公の少年たちを助ける若き科学者【神崎宗一郎】を演じており、林原めぐみ氏が作中では女性研究員【大石美保】を演じている。
評価
日本インターネット映画大賞2000年・映像効果賞受賞作。ジフォーニ映画祭子供映画部門グランプリ受賞作。
内容は、『宇宙からの侵略者を倒すために、未来から来たロボットが主人公の少年とともに巨大ロボットに乗って戦う』というもので、当時流行の真っただ中にあったセカイ系的な世界観と、20世紀の最後の夏に公開されたSF映画という事もあって、この年代を少年期に生きた人間にとってはまさしく刺さりに刺さる作品となっている。
本作と「ドラえもんの最終回」
なお本作はストーリーの原案として「都市伝説化した、ファンによるドラえもんの最終回」(いわゆる『電池説』あるいは『のび太ネコ型ロボット開発者説』と言われるもの)をプロットに組み込んでいることも有名な話であり、エンドロールでもそのことに言及されている。
監督はこれを実現させるため、あらゆる方面を拝み倒した。
実は件の二次創作の作者は都市伝説化していた事と、往時に一部の過激なドラファン有志による手酷い人権侵害(二次創作を掲載していたサイトからの無断転載及びチェーンメールでの拡散、その件に対する言われもない誹謗中傷等)に晒された事で一時期には日常生活に支障を来すレベルで怯えまくっていて、山崎監督が構想を説明に行った時には「ただの思いつきだったのが、なぜか広がってしまった事で、藤子F先生に迷惑までかけて申し訳なかった」「ここからさらに映画のネタにまでされてしまえば、本当に涅槃の藤子F先生に合わせる顔が無い」「もう、そっとしておいてほしい」「今更、掘り返されたら藤子先生のためにも今度こそ死ぬしかない」と拒絶されるも、監督は「こんなことで命を絶つなんて事になれば、そんなのはそれこそ藤子F先生は喜ぶどころか悲しむだろう」「むしろ映画のネタとしてでも、きちんと作品として昇華して(世代を進めて)こそ作品も先生も浮かばれるはず」「自分たちできちんと各種の話し合いを通して、あなたを守るから」として必死に説得し、許諾を貰うことができた。
その後、小学館と藤子プロも山崎監督からの問い合わせと件の二次創作の作者の真意(本来は他意の無い純粋な想いから書き留めた作品だった事と、執筆者の意図を越えて広がってしまい当人に制御不可能になってしまった事)と、彼が被った現状に対して、さすがに驚きを隠せず「せっかくドラえもんが、そこまで好きでいてくれている人を、そのような状況に追い込んでいるのは忍びない。さすがにそれは作者が望むような事ではない」として「原作と作者に敬意を払った上でこの都市伝説化した最終回が、公式上には無い単なる二次創作同人である事を、きちんと周知させてくれるなら、映画『ジュブナイル』限定で特別に認める」とした。(重ねて言っておくが『電池説』が公式に認められたわけではない事に注意すること。ここで藤子プロが行ったのは「ファンとしての思いに免じて公認はできないけど特別に限定でスルーしてあげる」という粋な計らいというヤツである)
なお、後にこの「二次創作の最終回」をアレンジをかけて漫画化し藤子プロから賠償請求とお叱りを喰らったのは別の人である。この「別の人」が起こした騒動は藤子プロはおろか、上述した二次創作の作者の権利も同時に踏み倒し、藤子プロの善意を蔑ろにしている(同時に二次創作の作者のトラウマをガッツリと抉り、せっかく山崎監督と藤子プロが頑張って安心させた件の人物を無用に怯えさせ、その努力を無駄にしかねない行為である)ため、この騒動時の藤子プロの怒りは当然の事である。その当該人物も藤子プロに対して謝罪及び在庫の処分、売上の一部寄付、今後一切の「ドラえもん」関係の同人誌作成禁止の誓約等を行っている。
これが実現できたのは、ただひとえに監督と件の作者の「ドラえもんを通じた友情と、藤子F先生への全力リスペクト」があった事による。
後に監督がドラえもんの映画を担当したのは因果であったのだろう。