「サツガイという男を知っているか?」
「おれを呼んだのは、貴様がこれまで弄び、壊してきた連中だ」
説明文
◆忍◆ ニンジャ名鑑#0001 【ニンジャスレイヤー】 ◆殺◆
謎のニンジャ「サツガイ」の手で幼馴染アユミと共に殺されたマスラダ・カイは、邪悪なニンジャソウル「ナラク・ニンジャ」の憑依によって蘇り、ニンジャスレイヤーとなった。悔恨と憎悪を力に変え、サツガイへの復讐を開始する。
概要
アマクダリ・セクト崩壊から10年後、再びネオサイタマに出現した新たなニンジャスレイヤー、それがマスラダ・カイである。
ナラク・ニンジャのディセンションによって新たなるニンジャスレイヤーとなり、幼馴染であり自身の思い人でもあるアユミを殺したとされる謎のニンジャ存在「サツガイ」を探している。
孤児院で育った天涯孤独の身で、ニンジャとなる前はネオサイタマで個展を開くほどのワザマエを持った若きオリガミ・アーティストであり、その道を捨てた今でもその創造的なセンスは衰えていない。
彼がどのようにしてニンジャスレイヤーとなったかは意図的に経緯がぼかされており、多くの謎を秘めた人物である。
黒髪の短髪だが、その頭を頭巾で覆わない人相剥き出しなニンジャ装束も特徴的。一応パーカー的なフードはついており、これをかぶる時はある。
ある日偶然助ける事になったタキという情報屋を(半ば強引に)協力者として、彼の経営するピザ屋の「ピザ・タキ」を拠点とするようになった。
タキはハッカーであるがナンシー・リーとは異なりヘタレな二流に過ぎない。またコトブキというオイランロイドも協力者となったが、流石にニンジャ相手の戦力には不足する。
人間としてもニンジャとしてもまだまだ未熟であり、彼の成長が第四部のストーリーにおいて重要なポイントにも成っている。 駆け出しの新生ニンジャスレイヤーと仲間たちは、どんなイクサを繰り広げていくのだろうか。
人物
年若い青年であり、「天然なクソ真面目」とも言うべき先代フジキドに対し、「淡白な効率厨」とも言うべき性格の持ち主。天涯孤独の生まれもあってか、根っからのアウトロー気質であり、侠客めいた生き方を己に課している。
言葉も行動にも一切の大義名分や面白味を持たせず、子供のワガママ上等と言わんばかりに自分のしたい事だけをストレートに伝え、関心のないものは常に「どうでもいい」の一言で切って捨てる、あまりにもシンプルな在り方を貫いている。
これは全ニンジャを憎悪と復讐の対象と見なしていた先代と異なり、彼が復讐心と憎悪を向けているのはサツガイただ一人と言う点が大きく、敵対する大半のニンジャを単なる「目的達成に邪魔な障害物」としか見ていない為。
ただし、マスラダの目の前でモータルを虐げたニンジャは、サツガイと関係なしにスレイされてしまうので、マスラダもまた、フジキド同様ニンジャの暴虐を許さないようだ。
徹底的にニンジャの心をへし折るポエットなバトウやエントリーも全く使わない。「Wasshoi!」や「ニンジャ、殺すべし」の口上もナラクの影響で言わされている感が強く、使用頻度はかなり低い(逆に言えば、強敵との戦闘等、敵ニンジャへの殺意が強くなるほど使い易くなる)。
その代わり「だいたいわかった」という台詞を多用しており、主に彼が勝利を確信した時に言う事から、彼なりの決め台詞だと思われる。
善悪の狭間で苦悩していたフジキドと違って、マスラダはあまり葛藤を抱えない性分であり、世間への影響を意に介さず良いも悪いも自分で決めるタイプの人間である。
(然し、自身の身勝手な復讐に巻き込んでしまったムキョウという人物には謝罪しており、罪のないモータルを不幸にしてしまうことには少なからず罪悪感を持っていることがうかがえる)。
この点はナラクと相性が良かったようで、己がニンジャスレイヤーになったことにも深くは悩まなかった。
むしろ、想い人を亡くして自分だけが生き残ってしまった方に後悔と苦悩を抱えている。加えて初期は謎の自罰意識に苛まれており、死に場所を求めるが如き自暴自棄な面も目立っていた。
フジキドが「己の在り方」を探し求めていたニンジャスレイヤーであったのに対し、マスラダは「己の生きる意味」を探し続けるニンジャスレイヤーであるとも言えよう。
この様にぶっきらぼうで荒れてはいるが、目の前でニンジャの暴虐が行われれば強い怒りを顕にし、無関係のモータルを見捨てようと考えても結局は助けたりと、面倒見のよいお兄さんであり、善良な性質の持ち主である。
当初は打算や成り行きの関係に過ぎなかったタキやコトブキに対しても、話を追うごとにお互い気のおけない仲間と見るようになり、彼の新たな居場所となっていった。
ジツ・カラテ
ジュー・ジツやチャドー暗殺拳を振るっていた先代とは異なり、そのカラテは全くの我流(ニンジャスレイヤー流とも)である。とりわけ肉を切らせて骨を断つ、豪快かつ危なっかしい戦闘スタイルを好む。戦闘開始時にはしばしば、前傾し右腕をだらんと垂らした獰猛な体勢をとる。
最大の特徴は上記の口癖にも表れる鋭い理解力であり、相手の戦術を短時間で「理解」し打破することを得意とする。また、その天性のラーニング能力を活かしたワザのコピー・アレンジも強みの一つであり、イクサ相手にとっては大きな脅威となっている。先代のイクサの記憶からラーニングした、「イビツ」「亜種」と称される暗黒カラテも用いる。さらに、赤黒の炎に代表されるナラクの力を積極的に活用することも特徴の一つと言える。
先代とは異なりチャドー呼吸は使えない代わりに、サツバツナイトのイクサから着想を得た我流のチャドー呼吸を使用する。本来のチャドー呼吸とは異なり傷の治癒や解毒といった効果は持たないものの、呼吸によって赤黒の炎を全身に循環させ、傷を焼き塞ぐと言った芸当を可能としている。サツバツナイトの見立てでは、この我流チャドーは反チャドーとでも言うべきカラテの流れであり、極めて危ういバランスの下成り立っていることから、下手な矯正はかえって命の危険に晒すとして修正は行われなかった。
赤い雨
S2終盤のサツガイとの死闘のさなか引き起こした現象。ヌンチャク・オブ・デストラクションの鎖を首にかけた状態で呼吸を繰り返して背中から熱蒸気を発し、黒い雲を誘うことで自身の周りに赤い雨を降らせる。
さらにヌンチャクを腕の中に呑み込み、ナラクと極限まで共振することにより、赤い雨の中に蜃気楼じみたモータルの影を現出させた。モータルの影はマスラダが致命傷を受けた箇所を瞬時に補い、彼のイクサを助ける役割を果たした。これはあのナラクですら力を抑えようとした程の危険な行為であり、実際戦闘後には一時的にナラクの力を失い、そこらのサンシタに負けかかるほどにまで弱体化してしまった。
道具・装備
- 炎のフックロープ
先代が使っていた便利なアイテムであるドウグ社製フックロープを、ナラクが模して作ったもの。装備でありジツであるともいえる。
普段は右手のブレーサーに巻き付けているが、左手側でも即座に生成することができ、二本使いで敵ニンジャを撃破する事も。
- シグルーン
カタナ社の技術の粋が集められた一点物のインテリジェント・モーターサイクル。
元はシーズン2に登場したニンジャ・ザルニーツァが使用していたが、彼女とのイクサの末にマスラダたちの手に渡り、以後コトブキと二人で共用する愛機となる。
シーズン3での旅路のさなかに(特にAI部分に)色々と手が加えられている。
- ヌンチャク・オブ・デストラクション
シーズン2にてサツバツナイトより継承される。
ナラクの力を注ぎこむことで使用可能になるが、両端から超自然の炎が吹き出したり、果ては両腕に取り込んでカラテを増幅させるなど、先代とは異なる異形めいた使い方をしている。
- IRC直結能力
厳密には彼のユニーク・ジツ(固有能力)に近いのだがここに記載する。
携帯UNIXデッキも無ければ生体LAN端子を開けている訳でもないのに、常にIRC空間(作中におけるネット空間)に接続されている。タキのような「正規の手段」でアクセスしている者から見ると、彼の固有IPは文字化けした悍ましい見た目になっている。
詳しい説明はここでは割愛するが、この世界におけるネットは単なる電脳空間では片付かない代物であり、故にこそこの能力にマスラダの何よりの特異性があるのではないか、とヘッズの間では議論が飛び交っている。
関連タグ
◆以下、第4部シーズン2終盤以降のネタバレ重点◆
ディセンションの真実(ネタバレ注意)
彼がニンジャとなった(ナラクが憑依した)経緯が意図的にぼかされているのはボンモーが読者に対して施した仕掛けではなく、実はナラクがマスラダに対して施した仕掛け。
「その過去」は直視すればショックでマスラダの精神が崩壊する可能性が極めて高かったため、ナラクが意図してきっかけとなる記憶をぼかし、それに触れようとした時は敵に怒りを向けさせ、真実に蓋をしていたのである。
後に周囲の助けとマスラダ自身の成長と覚悟によって「その過去」と向き合う事となる。
アユミのまたの名は「カノープス」。その力を用いてカネを稼ぎ、自分達の居場所を守るフリーランスのニンジャであった。
サツガイ顕現の気配を嗅ぎつけマスラダの個展を襲撃したニンジャを難なく撃退したまでは良かったが、サツガイはその場に顕現。マスラダを殺し、残ったアユミに制御困難なジツを押し付け、生ける爆弾へと変えてしまう。
ナラクの憑依によってニンジャスレイヤーとして蘇ったマスラダは、ジツが暴発する前に死ぬ事を懇願するアユミの望みに従って、彼自身の手でアユミをカイシャクしたのである。
サツガイを倒したシーズン3以降での彼は、無茶の代償で失ったナラクの力を取り戻す事を考えながらも、過去の真実を受け止めた上で、アユミがネオサイタマで為したかった事と向き合っていく。