概要
『逆転裁判(無印)』及び『逆転裁判 蘇る逆転』第4話『逆転、そしてサヨナラ』に登場。年齢48才。身長168cm。
腕の立つ弁護士として、一定の評価を得ていた中年男性。かつては星影宇宙ノ介が経営する『星影法律事務所』に所属していた。よって同事務所に所属していた、綾里千尋と神乃木荘龍にとっては先輩に当たる。だが作中では所長の星影も含めた、所属者達との交流は少しも描かれていない。関連書籍でも触れられた試しが無い。
事務所を去ってから随分と時間が経っている上、千尋と神乃木と比べると、星影とは親密ではなかったらしく、第4話の事件の捜査も終盤に差し掛かった頃、ようやく星影が自分の部下だった事を思い出した位である。星影には「常に自分の利益の為だけに、弁護士として働いていた男」と評価されている。後述の担当事件での対応からして、酷薄で利己的な人物だったのは確実なので、人情家の星影、千尋、神乃木とは波長が合わず、疎遠な関係に終始していたのだろう。
第4話の事件で、犯人に呼び出された先で射殺されてしまい『ひょうたん湖』から遺体が発見された。容疑者として逮捕された御剣怜侍とは接点が無く、当初は多くの事が謎に包まれていた。
生前にはDL6号事件の容疑者・灰根高太郎の弁護を担当し、無罪判決を勝ち取った事で名を上げた。しかし生倉は依頼人である灰根の為ではなく、あくまで「自分の腕」、要するに名誉や利益の為に弁護を担当したに過ぎなかった。彼にとっては「事件の状況を鑑みるに、確実に無罪判決を獲得するには、これ位しか方法がなかった」とは言え、灰根に重度の心神喪失の芝居を強要し、強引に勝訴へと持ち込んだ。ここから灰根は、殺人罪の追求から逃れる為に「裁判開始から現在に至るまで、精神異常者を演じ続ける人生を送る事」を余儀なくされ、社会的に抹殺される事となった。原作のゲーム版では灰根が殺意を持って、被害者となった御剣信に襲い掛かっているので、半分は自業自得ではあるのだが。
物語の終盤で御剣が思い出すのだが、実は生倉はDL6号事件を通じて彼との接点が存在した。生倉の姿勢は裁判を傍聴していた御剣に「弁護士という職業への悪印象を抱かせる悪影響」も与えており、彼からは「卑怯な手段を用いて、父を殺した犯人・灰根を無罪にした」と恨まれていた。事件以前「将来の夢は父の様な偉大な弁護士になる事」であった御剣は「悪徳弁護士・生倉の実態が弁護士全体の実態」と思い込んで挫折し、敵対関係にある検事になる事で「1人でも多くの犯罪者に罪を償わせる事」に執念を燃やす様になった。
映画版では「判決後も助けを求める灰根に対して、冷酷に突き放す態度を示す様子」も見られる。灰根の生倉への強い怒りや憎しみからして、原作でも映画版の様な応酬が繰り広げられていたとしても何ら不思議ではない。それ程までに生倉は「依頼者・灰根の無罪主張」も信用せず、彼の心を蔑ろにして来た。アニメ版では悪事と冷血漢ぶりに拍車が掛かり、灰根に「もう私に付き纏うな!」と暴言を吐いたり、挙げ句の果てには情報処理会社『コナカルチャー』から「綾里家の霊媒師に頼っての極秘捜査の失敗の結果、灰根は起訴されてしまったという極秘情報」を買い取り、法廷での弁論に使用した事で、綾里家の没落の一因まで生み出している。「難事件の被告人の無罪判決を勝ち取った事で、自分の社会的地位を向上させておきながら、平気で心神喪失を利用して、依頼人の社会的地位を失墜させた事」からも、生倉が如何に身勝手だったかが解る。当然ながら灰根からは強い恨みを買っており、それが災いして自身の寿命を縮める結果に至ってしまった。
余談
キャラクターデザインを担当した、岩元辰郎は「渋い男性というコンセプトで描いた所、某俳優の様な外見になってしまった」と語っている。この俳優の代表作での役所は「正義感の強い天才刑事」なので、真逆の人間性を持つ生倉と容姿だけは似ているのは皮肉にも感じられる。