黒い記述にご注意ください。
※メイン画・記事内の画像はイメージです。
概要
2010年07月01日にニコニコ動画へ投稿された、小雨大豆と酔狂倶楽部制作【酔狂文庫:【ショートショート】うそつきオヤジ】内のショート動画『うそつきオヤジ』。
真っ黒な嘘にご注意ください。
登場人物
うそつきオヤジ
うそつきなオヤジ。子供相手でも平気で嘘をつくは(その際、頭が真っ黒でうそつき顔になる)、盗み食いをするはの噓臭い人物。
うそつきオヤジの娘
うそつきなオヤジの一人娘。時に相手をシバいてしまう元気で逞しい女性。面倒見の良い所もあり、容姿などはうそつきオヤジと似ていないが、あるところはソックリである。
あらすじ
ウチのオヤジは……うそつきだ。
うそつきオヤジの娘は、うそつきなオヤジと二人で暮らしていた。娘を産んだ後に母親は死んでしまったそうだが、オヤジが騒がしいため、娘は物心ついた頃から寂しさを感じない普通の生活を送っていた。
娘の日課は仏壇の母親の遺影に手を合わせ、その日の出来事を報告する事。
「私は今日も……今日“ は ”誰もシバキませんでした…」
噓っぽい報告を済ませた娘は遺影を見て、うそつきなオヤジがこんな美女とよく結婚できたと奇妙に思った。
そしてある日、その答えは唐突に判明する事になる。
親子で向かい合ってちゃぶ台で食事しながら時代劇を見ていた時だった。
生きているはずがない遺影の中の人が元気にお風呂に入っていたのだ。
驚愕した娘の視線に気づいたオヤジは、真っ黒なうそつき顔になると、怒った娘は盛大にちゃぶ台をひっくり返した。
そして娘はオヤジが独り身なのは浮気が原因だという事を知った。
娘はオヤジに騙されてきた昔を振り返る。
- エレベーターに乗る時は靴を脱ぐものだと教えられる。
- 「お年玉を増やしてやる」と千円札一枚を百円玉二枚に増やして騙される。
- 偽ブランド【azi-desu】のシャツがタンスに入っていた。
- 家に住み着いているネズミをハムスターだと教えられた。
そんな中で、特に恥をかいた子供の頃の出来事を思い出す。
学校の授業で「イクラは何の卵でしょう?」という先生の問いに、娘は手を挙げて元気よく「クジラの卵です!」と答えた。
嘘のような答えに先生は困り、クラスメートは大笑い。娘は恥ずかしさに両手で顔を覆う。
黒歴史を振り返った娘は、大人になって気付くよりはマシと開き直り、断言する。
「勿論、言うまでもないがイクラは……そう、マグロの卵だ」
またもや真っ黒なうそつき顔になるオヤジ。
今まで毎日うそつきオヤジに振り回されてきた娘だが、オヤジは更に娘を困らせる事になる。
ある夜、娘が寝る前に台所へ行くと、暗がりで蠢く人影を見つけた。またオヤジが盗み食いでもしているのかと思いながら近づくと…
オヤジは真っ青な顔で苦しんでいた。
慌てて駆け寄った娘に、オヤジは大量の汗をかきながら「ちょっと饅頭……食い過ぎただけだぁ…」と見栄を張った笑顔を見せるも、辛そうに呟いた。
救急車で運ばれたオヤジは入院する事となる。
病院のベッドの上で点滴に繋がれたオヤジは「全然痛くもねぇし、苦しくもねえぞ」と笑うが、大粒の汗を流していた。
ベッドで寝るオヤジを見るのは久しぶりだと娘は気付く。
娘は昼夜問わず仕事をしているオヤジとはすれ違いの生活も多かったが、「誰」のために忙しく働いているのかは分かっていたから、文句を言う事はなかった。
彼女が小さい頃は大きく見えた姿も、ベッドの上で見たら随分と縮んでいる事に今更ながら気付いた。
「な~に。娘残して死ぬわけねぇだろ」と、虚勢を張ったかのようなオヤジに涙ぐむ娘。
検査の結果が出ると、娘は医者に一人呼ばれた。
そこで娘は嘘だと信じたい真実を知らされ、それが嘘ではない事に愕然とした。
病室に戻ると、オヤジはいつもの元気な姿と何ら変わらないように見えた。
「娘残して死ぬわけねぇだろ」
オヤジはやっぱり、大うそつきだった。
娘は彼の実の子ではなかったのだ。
検査の結果で娘はオヤジの本当の血液型を知った。
オヤジはAB型で、どうあってもO型の娘が産まれるわけがないのだ。
泣いてる娘を見て、オヤジは事情を悟り、彼女が小さな頃に絵本を読み聞かせてくれた時のようにゆっくり優しく全てを語ってくれた。
娘は……“ 捨て子 ”だった。
その昔、ある警察官が巡回中に偶然、寂れた神社の境内にいる赤子を見つけた。
うそつきだけど面倒見の良い警察官は、その捨て子を引き取り、我が子として育てる事を決意したのだという。
オヤジが独り身なのは浮気が原因などではなく、全ては娘のためだったのだ。
涙を流す娘を昔から泣き虫だとからかうオヤジに、「こりゃあ遺伝だよ。」と娘が返すと、オヤジは大きく笑った。
そして「素敵な娘を神様から授けてもらって、良い人生だったよ」とオヤジは自分の嘘がばれても晴れ晴れとした笑顔を最後に……
翌日元気に退院した。
病院の前には、真っ黒なうそつき顔になるオヤジと、呆れてうなだれる娘の姿があった。
「そんなわけで本当に饅頭を食い過ぎだけだったクソオヤジは今日も我が家で元気にしています」
娘は仏壇の美人な女優に日課の報告をすると、いつものように父娘でちゃぶ台を挟んで食事をする。
人騒がせで人が好過ぎるオヤジに、娘は呆れながらも気にかけた。
当の本人は何食わぬ顔で飯をかき込みながら、隙あらば娘の分まで奪おうとするも阻止される。
" 自分が居ようが居まいがこんなオヤジがモテるわけねぇんだ。 "
盗み食いが失敗して落ち込む親父を見た娘は冷静に、そんな嘘偽りのない事実に参りつつ、これからも一緒に暮らす事と、オヤジの嘘に振り回され続ける事を決心するのだった。
ウチのオヤジはAB型で、警察官で、大洞ふきの…
うそつきオヤジだ。
「あ~あ。本当に全く…〝 大っ嫌い 〟だぜ。」
関連動画
単体動画【酔狂文庫】うそつきオヤジ オンリー - YouTube
a・血液型診断 0:00~
b・うそつきオヤジ 4:35~
余談
酔狂倶楽部震災応援ラジオ・・・小雨大豆と酔狂倶楽部が制作したラジオアニメ。ラジオの合間にある「真と違」のコーナーを『【酔狂文庫】うそつきオヤジ オンリー』に差し替えられている。
本作では、ウソは意地悪で傷つける事もあったが、傷つけないように意地を張った偽りのない愛が隠されているものがあった。
そんな真実(ホント)を、不真実(ウソ)をテーマに伝えていると解釈出来る。
関連タグ
エイプリルフールだから短編集02
うそつきオヤジ(キャラクター)
うそつきオヤジの娘