ロボとうさ吉
ろぼとうさきち
概要
2006年まで「月刊少年シリウス」で連載をしていた加藤和恵の初連載で、全5巻のSF系マンガである。今からは遥か先の未来の宇宙が舞台になっており、主人公のロビンと脱獄囚であるうさ吉の2人が地球を目指す。当初は低年齢向けの王道少年漫画だったが、次第に内容がやや複雑になり戦争描写も増え始めた。中身と絵柄にギャップがある。「第一部 完」として連載終了しており、未完となっている。
あらすじ
ガレキしかない太陽系の端の惑星に一人で住んでいる少年・ロビン。彼はいつか友達ができるのを楽しみに日々を送っていた。
そんなある日、謎の兎人種(セレノイド)・うさ吉の宇宙船が落ちて来た! 彼は軍に追われる脱獄囚らしく、船を得ようとロビンと友達になる約束をする。
だがそこに軍の追っ手が! ロビンは初めての友達であるうさ吉を守るため、死んだ父親に禁じられていたモノを取り出した!
そして、ロビンは気づく。星をも滅ぼす強大な力が自分に与えられていたことを‼
壮大なスケールと圧倒的な画力で描く、スペース・ロードムーヴィー・アドベンチャー、開幕‼
(単行本1巻より引用)
主な登場人物
- ロビン
太陽系の果ての星に孤独に暮らす少年。父親にエドガー・ドガがおり、彼の愛情をたっぷりと受けて育った。純粋で純朴な一方でアホの子な性格。
その正体はかつて軍が上古技術を元に復活させた超人兵器「太陽神(アポロ)」。脱獄囚であるうさ吉を追って来た軍と遭遇した事をきっかけに、彼の力に目を付けた軍により追われる事となり、うさ吉と共に自らの秘密を知るべく地球へ向かう事となる。
普段は心優しい少年だが、ネジと結び付くとブラックホールの如く周囲のあらゆる物を呑み込む超人兵器に変貌する。その力は凄まじく、時には自身でも制御不能に陥るほど暴走する。
- 宇佐うさ吉
冥王星刑務所に収監されていた兎人種(セレノイド)の脱獄囚。36歳のバツイチ独身。脱獄の末に不時着した未惑星707にてロビンと遭遇するが、彼の力を利用するという形で共に行動する事となる。囚人らしくならず者なタチだが、何だかんだで義理人情に厚い一面も。
「宇佐うさ吉」という名は偽名のような物であり、本名は「人(ムト)」。戦士の一族である兎人種の中でも最強の男として知られ、「月精のムト」の異名を持つ。その肩書きに相応しく作中でも屈指の戦闘能力を持つが、一方でロビンの正体に勘付く、暴走したロビンを止める方法(ネジと彼を分離)を一瞬で理解するなど頭の回転も速い。
- エドガー・ドガ
ロビンの育ての父。元軍所属の科学者。5年前、軍に脅されてロビンを生み出し、その太陽系を滅ぼしかねない力を危惧し彼の破壊を試みるも、軍の目の届かない太陽系の最果てで「人間」として育てる事を選択する。
しかしロビンの暴走を止める際に負った怪我が原因で日に日に容態は悪化し、最終的にはロビン一人を遺して研究データ抹消と仲間への償いの為に自死を決意する。
太陽系連合軍(ソル)
- 首(オブト)
太陽系連合軍特務部のトップ。階級は大佐。兎人種。軍の元帥に直接謁見するなどかなり高い立場にある。元帥の命に応じ、ロビン一行を追い回す事となる。
物腰柔らかで鷹揚とした性格の一方、命令はどんなに非情な物であっても必ず遂行する軍人としての冷酷さも併せ持つ。銃弾を足蹴りで容易く逸らすなど、その実力も地位に相応しい相当の物。
うさ吉とは何かしらの因縁が…?
- モモ
本名はモラジウモ・モンタギュー。階級は大尉。首の命を受け、スパイとしてロビン達に接近する事となる。
- 火星皇帝ネロ
火星の君主にして、太陽系連合軍の最高司令官。元帥。太陽系の実質的な支配者。
かつて「英雄」と称えられていたが、病に侵されて以降は堕落し、軍の武力を背景に太陽系中を威圧して支配する。
どうやら太陽系に新しい秩序を築く事を目論んでいるらしく、その為に「星の子」たるロビンの力を必要としている模様。
重要用語
- 太陽系
正式には「ソルムンド」と呼ばれる。本作の舞台。地球、火星、木星、土星、天王星、海王星、コロナファミリア、冥王星の8つの惑星から構成される。かつては金星や水星もあったが、作中時点では原因は不明だが既に消滅してしまっている。
- 地球
太陽系の全ての生命の起源とされ、現在よりも遥かに高度な文明「アシエンダ」が栄えていたが、約9000万年前に太陽神により滅ぼされたと言われる。
現在では太陽系連盟の管理下にある無人の惑星であり、衛星の月には軍の本部がある。文脈によっては地球自体を指して「アシエンダ」と呼ばれる。
- 天王星
「天王星牙族連邦」が統治する。現在軍と唯一真っ向から敵対している勢力。
- コロナファミリア
人工的に作られた惑星。他民族自治領の扱いで、軍や連合政府でも容易には手出しできない無法地帯。法や統治機関が存在しない為、代わってマフィアが惑星全体を統治する形態を採っている。
天王星と海王星の中間の軌道を回るが、設定によっては冥王星の外側の軌道になったりする。
- 冥王星
太陽系の最果てにある惑星。刑務所として使用されている。「魔窟」と呼ばれるレベルでその環境は劣悪だという。
- 未惑星707
現実のエッジワース・カイパーベルトに相当する辺境の領域「未惑星帯(プラネトイド)」に位置する瓦礫だらけの小惑星。ロビンの故郷で、エドガーはこの惑星に逃亡して彼を育てた。
- 太陽系連合政府
太陽系を統治する政府機関。しかし下記の評議会と軍の台頭により実権は失われている。
- 太陽系連盟評議会
連合政府の議会組織。「連盟」と一般に呼ばれる。
- 太陽系連合軍
本作の主敵となる勢力。作中では専ら「ソル」と呼ばれる。「太陽系の平和と秩序を守る」という理念の下で設立されたが、あまりにも巨大で強力な組織である故に現在では太陽系の実質的な支配者となりつつある。
その軍事力を背景に脅迫的な外交を展開する為、太陽系中から忌み嫌われている。
人種
本作に登場する人間はそれぞれの動物の外見を持つ「個体種」と、その混血である「混成種」から成る。
- 猿人種:「アルフォイド」と呼ばれる。現実のホモ・サピエンスに相当。
- 猫人種:「バステトイド」。猫の風貌を持つ。由来はバステトか。
- 犬人種:「アヌビソイド」。犬の風貌を持つ。由来はアヌビスか。
- 齧歯人種:「キューソイド」。リス、ネズミ系の風貌を持つ人種。
- 兎人種:「セレノイド」。ウサギの外見を持つ。発達した肉体を持ち、その脚力は数千~数万トンに及ぶ破壊力を持つ。男子は自らの力をコントロールする為に生まれるとすぐに武術を学ばされる。その非常に高い戦闘能力を活かして数多の戦争を戦ってきた為、「戦士の一族」とも呼ばれる。
- 超人兵器「太陽神(アポロ)」
かつてアシエンダ文明によって生み出され、地球を支配した後に滅ぼしたとされる存在。現在のロビンは発掘された記録を元に、太陽系に新秩序を築く為、神の力を求めた軍によって復元された。
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