概要
1994年11月4日生まれ。愛媛県松山市出身。
ポジションは投手、右投左打。
済美高校進学後、2013年在学時に春の甲子園選抜大会で155kmを記録、2試合で奪三振21の快投を見せ注目を浴びた。全5試合中準決勝までの4試合で完投(うち1試合は延長13回完投)。決勝では5回に力尽き7失点するも、6回まで投げ続けた結果同大会の総投球数は772球に及び、プロ入りした場合の酷使が懸念されていた。3年生となった翌2014年は惜しくも県大会敗退。
2014年オフのドラフト会議にて、東北楽天ゴールデンイーグルスから1位指名を受けプロ入り。
入団当初は先発投手で起用されたが、高校時代の酷使の影響で故障がちとなり、一時期はストレートの平均球速が130km/h台まで落ち込んでいた。2019年から中継ぎに転向し、ようやく2021年からは一軍の中継ぎローテに定着した。
2023年オフに後述の不祥事が発覚し、楽天から事実上の解雇処分を受ける。
退団後は海外で野球を続けることを決意し、メキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズと契約し現役を続けている(ちなみに、同チームではジャフェット・アマダーやトレバー・バウアーといった、かつてNPBに在籍していた選手とチームメイトであった)。挑戦初年度となった2024年には、日本と同様リリーフとして活躍(試合によってはクローザーを任されたことも)。投低打高のメキシカンリーグにおいて47試合に登板して1勝2敗4セーブ、防御率3.50と安定した成績を収め、同チームの地区優勝に貢献。ポストシーズンでも活躍し、優勝決定戦(日本プロ野球でいう日本シリーズに相当)でもクローザーを務めて2点を奪われながらもそれ以上の失点は許さず、辛くもチームの逃げ切りに成功。異国の地で自身初の胴上げ投手となった。
不祥事
済美高校時代、「カメムシを入れたり、灯油を飲ませようとする」といった野球部のいじめの体質があり、後輩をイジる性格のままプロ入り。
本人は
- 「後輩選手をいじめようと思ってしたことは一度も無かった」
- 「自分なりのコミュニケーションのつもりで後輩をイジる」
…のつもりだったが、後輩選手はコレを「解釈不一致」で「パワーハラスメント」と受け取ってしまった。外部の人間が入れないロッカールーム内で、「本人は愛あるいじりのつもりで」実態が表面化することはなかったが、周囲が注意しても「そんなことはしていない」「あいつだって悪い」などと聞く耳を持たなかったという(田中将大に至っては止めずにその様子を笑いながら見ていたという証言まで出されたため、物議を醸すことに)。
2023年オフの契約更改交渉の席などで、複数の選手が告発。これを受けて11月30日に再契約の可能性を残しながら保有者名簿から外れ自由契約(事実上の解雇)になった。
金を出すがその分口も出すことで有名な三木谷浩史オーナーは、この件については口を出さず処分を球団に一任していた(楽天グループが同じく保有するヴィッセル神戸がJ1優勝していた事も関係している…とされる)。12月3日に三木谷オーナーはSNSを通してこの問題で謝罪した。
本人はこの一件では猛省しており、楽天球団側も可能な限りサポートはするとしていた。
その後、安樂はメキシカンリーグに招待されたが、程なくして安樂は楽天側に無断でメキシカンリーグのチームと契約していたことが発覚し、またしても物議を醸すことになった(ただ、安樂側は「球団には筋を通しており、必要なサポートは受けていた」とこの報道を否定しており、球団側にもこれを裏付ける証言をしている者もいるため、どこまでが本当の話なのかは今となっては闇の中である)。
最後に…
当然、安樂の取ったパワハラは断じて許されるものではなく、非難されて然るべきものである。
一方で、彼にこうした歪んだ認識を植え付けたのは高校時代に目の当たりにした野球部のいじめ体質や、そうした体質の是正に動こうとしなかった指導者や学校側に問題があったこともまた事実である。また、高校時代に酷使されたことで、プロ入り後に無視できない程の悪影響を齎された点も決して見過ごすことのできない問題であろう。
もしも彼が、世間がパワハラやいじめ、投手の登板過多に対してもっと厳しい目が向けられるようになった、もう少し後の時代に生を受けていれば、野球人生はまた違ったものになっていたかもしれない。
そうした点では、彼はある意味で旧態依然とした日本の野球部に運命を狂わされた被害者であるとも言えるのではないだろうか…。
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プロ野球選手 東北楽天ゴールデンイーグルス 投手 ブラック上司
安楽智大(表記揺れ)