トレバー・バウアー
とればーばうあー
トレバー・アンドリュー・バウアー(Trevor Andrew Bauer)
1991年1月17日生まれ、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市出身。ポジションは投手。右投右打。
MLB時代
2011年のMLBドラフト1巡目(全体3位)でアリゾナ・ダイヤモンドバックスから指名を受け、プロ入り。
2012年12月11日にシンシナティ・レッズも含めた合計9選手が動く三角トレードにおいて、クリーブランド・インディアンスへ移籍。
この間のメジャーでの成績は2015年から18年まで2桁勝利を挙げている。特に2018年に12勝6敗、防御率2.21(リーグ2位)、奪三振221(同6位)、WHIP1.09(5位)、FIP2.44(1位)の好成績を記録し、キャリア最高のシーズンとなった。
2019年7月30日に三角トレードの一角としてシンシナティ・レッズへ移籍。結果的に5年連続2桁勝利となったが移籍後はしばしば炎上するなど振るわず、移籍後の防御率は6.39に終わった。
2020年はCOVID-19の影響で60試合の短縮シーズンとなる中、11先発して防御率1.73で最優秀防御率のタイトルを獲得した。5勝4敗、100奪三振(リーグ2位)、WHIP0.79(同1位)の好成績を残し、サイ・ヤング賞を受賞。
2021年、ロサンゼルス・ドジャースに移籍。同年5月ある女性がバウアーから暴行を受けたとして、ロサンゼルスのパサデナ市警が捜査。2022年4月29日、同日から2シーズンに相当する324試合の出場停止処分を科されたが、容疑のほうは相手のほうがモンスタークレーマーの可能性があるとして不起訴(以降の訴訟裁判では、デマであると証明された)、処分期間は194試合(=1年間)に軽減された。
なお、裁判で一応ケリがついたとはいえ、だからといって、すぐにバウアーがアメリカ球界に復帰できるかというと、そうはいかない模様。
アメリカ国内では女性や子供等へ暴行を働いた(若しくはそうしたことが疑われている)人物に対する風当たりが日本以上に強い風潮があることに加え、バウアーはそれ以外にもファンや他の選手と度々トラブルを起こしたり、球界に蔓延る粘着物質の使用問題を執拗に追求したことでMLB上層部からも煙たがられていると言われている。
球団側も彼を獲得しようものなら、そういったアメリカ球界のありとあらゆるところから飛んでくる非難の声を一心に受け止めなければならないことは想像に難くなく(最悪の場合、球団のイメージ悪化に繋がり、集客にも影響を及ぼす恐れがある)、そこまでするくらいなら…と二の足を踏んでしまっているのが現状のようだ。
NPB時代
元々親日家であり、2019年のシーズンオフには横浜DeNAベイスターズの2軍施設「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」を訪問して今永昇太ら投手陣や少年野球スクール生たちと交流するなど、NPBでのプレーにも関心があった。こういう縁もあり2023年3月、ドジャースから自由契約となるとDeNAと1年契約を結んだ。
NPB球に対応すべく2軍での調整を経て、DeNAでは1軍公式戦19試合に登板し10勝4敗(2完投)を記録。(ベイスターズの)歴代外国人投手の10勝はジョー・ウィーランド以来で最多タイとなった。
その後、怪我で一度戦線を離脱するも、シーズン終盤に復帰。クライマックスシリーズにも帯同し、第3戦での先発が予定されていたが、チームが第2戦で広島に早々に敗れたために彼のクライマックスシリーズ登板は幻に終わってしまった。
シーズン終了後に自由契約となった。
メキシカンリーグ時代
その後はメジャーリーグ復帰のために様々なアピールをするも、上記の理由から彼の獲得に乗り出そうとする球団は現れなかった。
2024年3月にメキシカンリーグの強豪:メキシコシティ・レッドデビルズと5月までの短期契約を結んだ(ちなみに、同球団には安樂智大、ジャフェット・アマダー、アリスティデス・アキーノ、ホセ・マルモレホス、ホセ・ピレラといった日本で(良くも悪くも)お馴染みの選手が多い)。
その後、契約の延長を発表し、2024年シーズン中はメキシコでプレイを続行することになり、同シーズン中のMLB復帰およびNPBのチームとの再契約の可能性は完全に消滅した。
シーズン中は83回と1/3に登板し、10勝0敗、防御率2.48、120奪三振、WHIP1.04と、打者有利のメキシカンリーグにおいて驚異的な成績をマークし、チームをけん引。
ポストシーズンの優勝決定シリーズでは、自ら志願して先発登板から中2日という強行軍で中継ぎ登板を敢行、チームの地区優勝およびメキシカンリーグ完全制覇の大きな原動力となった。
シーズン終了後の去就は今のところ不明。
レッドデビルズ側は当然引き留めに向けて奔走することは間違いないと考えられるほか、ドミニカンリーグからも勧誘が来ている模様。一方で、相変わらずMLBからの復帰の打診はないようである…。
最速159km/hのストレートに落差の大きいナックルカーブ、近年流行の真横近くに大きく曲がるスライダー(スイーパー)、カットボール、シンカー、稀にフォークに近い軌道のチェンジアップ、といった持ち球をコントロールよく投げ分ける。
高めの速球で空振りをとるMLB式の投球術は来日当初打ち込まれることもあったが、有力な日本人投手の研究を重ね、低めの投球も意識すると共にフォームのクセも克服、7回を100球で手堅くまとめる先発投手。
本人は中4日での起用をアピールしており、「外国人特有の頑丈な身体だから出来ること」と考えられていたが、本人曰く、
「ティム・リンスカムが好きで彼のフォームを真似して投げていたが当時はよく身体を痛めていた。その後解剖学を学んで取り入れ、自分にとって合理的なフォームで投げられるようになった。」
…とのこと(他にも「適切な休養と栄養を摂ること」を挙げている)。
前述したように極めて研究熱心であり、MLBで粘着物質問題が話題になった時も即時に解説動画を投稿。
同僚のベイスターズ投手陣の指導にも熱心な研究家だが、「MLBに来たダルビッシュ有に衝撃を受け、自分もこうなりたいと思った」と語っており、彼とは球団の枠を越えて野球論議をする仲。
また、横浜在籍時は今永昇太とも交流を深め、「彼なら間違いなくメジャーでも通用するだろう」と太鼓判を押していた。今永は翌シーズンからMLBに移籍し、二桁勝利を上げてチームの勝ち頭となる等躍動、バウアーの予想が見事に的中することとなった(今永もバウアーからMLBに関して様々な情報を得ていたはずで、今永が活躍できたのは前年のバウアーの存在も大きかったと言われている)。
「Momentum」の記事も参照。DeNAに移籍してからは、なんと日本語音声付の動画も配信するようになった。自身の練習風景・オフの間の散策・研究成果の公開等内容は非常に興味深い。
しかし……
「エリックテンテンテンテンテンテンバントを教えてくれませんか」
日本語は機械翻訳、かつ読み上げソフトによる音声をそのまま使っており、ものすごくシュールなことになっている。本人もそのことを自覚しているのか、明らかに不自然な音声もそのまま使っている。このシュールさがたまらないというリスナーも増えているようで、ある意味成功している。
- 読み上げソフトによる音声を「バウアーボイス」の通称で呼ぶ視聴者もいる。
- さらに、これのおかげで糞サイヤング勢といったパワーワードが生まれることになった。詳しくは「なんJ wiki」のこちらの記事も参照されたし。