概要
アメリカ北東部にあるという架空の観光地「サイレントヒル」を探索するゲーム。
町中を歩き回り、襲い来る怪物を倒し、道を切り拓いて、謎めいた物語を紐解いてゆく。
1999年に第1作が発売されて以降、陰鬱な恐怖演出や独特な世界観、重厚なグラフィックや人間の心の闇、狂気に迫る物語などによって支持を集め、多数の続編が製作された。
また二度の映画化もされており、今日もなお根強い人気を誇っている。
ファンからは「サイレントヒル」をどストレートに訳した「静岡」という愛称で親しまれている。
舞台
アメリカ北東部にある田舎町「サイレントヒル」が本作の基本的な舞台となっている。
シリーズの主人公たちは各々が何らかの理由でこの町を訪れ、奇妙な事件に巻き込まれる(あるいは事件に巻き込まれた末に、この町を訪れる事を余儀なくされる)。
不気味なほどに静かで、不自然なほどに濃い霧が常に視界を覆っているため、街の全容を把握するのは困難。元は閑静な観光地だったが、今は人の気配も感じられないゴーストタウンとなり果てており、作中でも地元住人に会うことは滅多にない。
怪しい宗教団体「教団」が存在しており、町を探索中に、その怪しさを身をもって味わう事になる。
この町は不思議な力に満ちている。
その力によって主人公たちはこの町に訪れ、通常ではあり得ないような体験をするのだ。
ちなみに街の通りの名前はホラー・サスペンス小説の作者の名前から取られている。
シリーズ共通の設定・用語
「裏世界」
シリーズを象徴する要素。作中でプレイヤーは何度かこれを経験させられる。
普段歩いている世界が突如暗転し、気がつくと血と錆で塗りつぶしたようなおぞましい「裏世界」へと変貌しているのである。ちなみにこの呼称は便宜上のもので、作中でこのように呼ばれることはない。
「裏世界」は普段の世界を基盤にしているが、そこら中が赤茶けていて終始暗く、行き来できる道筋も普通の世界とは異なる。前述した「嫌悪感」で満ちており、さながら悪夢のようである。これが発現する理由は作品によって異なるものの、大抵は登場人物の心の闇が根源となっているようだ。
更に言えば一見正常な普段の世界も、霧に覆われたり怪物が現れた時点で「表世界」と呼ぶべき異界に変わっている。
「1」の攻略本にて、スタッフからはどちらも現実ではない異世界なので、表と裏の関係は言うなれば「深さ」であり、レム睡眠・ノンレム睡眠の関係に例えられている。
教団
サイレントヒルに浸透する宗教団体。これといった名称は存在せず、地元では単に「教団」と呼ばれている。怪しい魔術や非人道的な儀式を行うカルト宗教団体である。土着の宗教観に移民の持ってた宗教やらなんやらイロイロと混ざり込んだようで、「神の復活と救済」を柱とした退廃的な教義を持つ。
ライト
闇の中を歩くプレイヤーの道標。
これがなければ落ちてるアイテムはもちろん地図すら見ることは出来ない。
だが、怪物達はその光の中の獲物を狙うのもまた事実。
時には明かりを消して息を潜めてやり過ごすのも一つの手段。
あるいは自らも闇に隠れて狩りを行うかはあなた次第。
ラジオ
プレイヤーを中心に、周囲数メートルしか視界が確保できない本作では、すぐそばにいる敵でさえ視認するのに難儀する。これを助ける働きをするのがラジオである。基本的に壊れているため放送を聴くことはないが「怪物の存在に反応してノイズを鳴らす」という不思議な動作をするのだ。これによって、離れた位置にいる敵、または接近してくる敵の存在を察知できる。
シリーズを通してだいたい序盤のうちに入手する定番の武器系アイテム。それなりのリーチとそれなりの攻撃力を誇り、それなりに隙も少ないなど、妙に有能。第3作目以降は棒状の武器を使ったガードも出来るようになったため、ますます有能になった。『サイレントヒル』序盤における文字通りの相棒である。
三角頭
本作で最も有名なクリーチャー。シリーズ第2作『SILENT HILL 2』でボスキャラクターとして初登場して以来、シリーズにたびたび姿を現している。「裏世界」と並んで象徴的な存在と言える。
赤く巨大な三角型の鉄兜を被った逞しい体つき(おそらく男性)の人型クリーチャーで、常に巨大な鉈を引きずっている。
目的や行動原理は作品ごとに異なっていて、必ずしも主人公の敵対者として登場するわけではない。
その強烈なインパクトを持つデザインやパワフルさ、ミステリアスな行動から、シリーズのファンに絶大な人気を集めている。詳細については三角頭の記事を参照されたし。
関連タイトル
- SILENT HILL
- SILENT HILL 2
- SILENT HILL 3
- SILENT HILL 4:THE ROOM
- SILENT HILL ZERO(SILENT HILL ORIGINS)
- SILENT HILL:HOMECOMING(日本未発売)
- SILENT HILL -SHATTERED MEMORIES
- SILENT HILL:DOWNPOUR
- SILENT HILL: BOOK OF MEMORIES
- P.T.
『SILENT HILL4 THE ROOM』以降の作品は海外のスタジオによって製作されており、テイストが大きく変わっている。加えてリリースされるプラットフォームの移行やホラーゲームブームの沈静化、シリーズ6作目『SILENT HILL: HOMECOMING』の日本国内での発売がなかった事(後述の「余談」の項で解説)、その後の作品であまり大きく話題をさらうような展開が無かった事で、『SILENT HILL: BOOK OF MEMORIES』以後数年に渡り、動向の無い暗黒の時代に突入する。
新たな動き
2022年10月。『サイレントヒル』の新たな公式サイトが開設された。
>> 公式サイト
併せてTwitterアカウントも2014年の更新から、実に8年ぶりに再稼働。
>> 公式Twitter
そして10月20日。特別番組がyoutubeにて公開された。
番組内で発表されたプロジェクトは以下の通り。
サイレントヒル2(リメイク)
2001年にPS2用ソフトとして発売された『サイレントヒル2』がPS5用ソフトとして完全リメイク。
ゲーム作品。
詳細不明。
おそらくゲーム作品。
詳細不明。
ゲーム作品。
おそらくシリーズ内でも異色となる、日本の寒村を舞台とした作品。
ストーリーに『ひぐらしのなく頃に』『うみねこのなく頃に』で知られる作家の竜騎士07氏が携わる。
リターン・トゥ・サイレントヒル
映画作品。
『サイレントヒル2』をベースとした作品になる模様。
そもそもこの映画の企画があり、その派生でゲーム企画が立ち上がったとの事。
ゲーム作品。2024年2月1日にサイレントヒル2リメイクの新PVと共に発表され同日ゲリラ配信。
現代社会の闇を取り扱うため従来のサバイバルホラーよりもサイコホラーを強調した異色作。
その他グッズ販売展開など
『サイレントヒル2』のジェイムス、マリア、レッド・ピラミッドシング、バブルヘッドナース、犬などのスタチュー、アクションフィギュア、ぬいぐるみなどの販売展開があるとの事。
具体的なゲーム映像や詳細説明があったのは『サイレントヒル2』のリメイクのみであるが、海外のデベロッパースタジオや多くのクリエイターが携わる事が発表され、確かな復活への動向が示された。詳細は下記動画を参照。
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余談
日本国内での発売中止
シリーズの6作目にあたる『SILENT HILL: HOMECOMING』は日本国内では発売中止となっている。この理由を販売元のコナミは「日本市場に合った商品性に至らなかったため」と説明した。これを受け「日本独自の表現規制によって発売中止にされた」との噂が起きた(あくまで噂である)。
同タイトルの楽曲
本作の開発・発売元であるKONAMIのゲームDDRに、本作と同名の曲「Silent Hill」が存在するが、名前と制作会社が同じという点以外の関連は不明。
なお、曲自体は1980年代を代表するミュージシャンである「Wham!(ワム!)」を彷彿とさせるスタンダードなクリスマス・ソングであり、とりたてて怖くも不気味でもない。
『P.T.』
さる2014年8月13日未明に謎のホラーゲームが公開された。
どこだかわからない、恐ろしい怪現象が起こる屋敷の中を何の情報も無いままに探索。謎を解いてそこから脱出するというゲームであったが、これが『サイレントヒル』シリーズ最新作『SILENT HILLs』のティザー広告(プレイアブル・トレーラー)だった(この『P.T.』自体はサイレントヒルシリーズから独立した単独作品であり、クリア後に最新作に関する告知映像が流れるだけ)。
告知映像では、ステルスアクションゲーム『メタルギアソリッド』シリーズの生みの親として知られる小島秀夫と、SF怪獣映画『パシフィック・リム』の監督ギレルモ・デル・トロ、海外ドラマ『ウォーキング・デッド』の出演俳優ノーマン・リーダスの3名がこの最新作に携わることが示唆された。
しかし、この発表から一年経たずして、コナミから『SILENT HILLs』の開発中止が宣言されてしまい、これに合わせて『P.T.』自体も配信が停止されてしまった。
当時のコナミは、ゲーム事業での方針転換、自社保有ゲーム作品やクリエイターへの冷遇姿勢が顕著になっていた時期であり、ユーザーも呆れるような大人げない騒動が頻発していた。『SILENT HILLs』制作中止も大人げない騒動のひとつであったが、小島秀夫ファンやサイレントヒルファンからの強い不興を買った。翌年2015年8月に、コナミはサイレントヒルの新作として「パチスロ作品としてのサイレントヒル」を発表し、ファンをより一層怒らせた。ネット上では「#FucKonami」のハッシュタグのもと、コナミへの批判意見が無限に相次いだ。これはパチスロというものに対する感情からの運動ではなく、サイレントヒルファンの多くは「パチスロ作品としてのサイレントヒル」を望んでいなかったし、本来望んでいた小島秀夫制作予定『SILENT HILLs』が潰され望んでいなかったものが生み出された事に対する怒りからの運動だった事をご注意いただきたい。
このような末路をたどった『P.T.』であったが、広告としても単独のホラーゲームとしても高い評価を得る事に成功したのは確かである。現在では『P.T.』にインスパイアされたインディーズホラーゲームが続々と生まれ続けている。それどころか某有名ホラーゲームの体験版にも本作の影響が指摘されている。
声
サイレントヒル1作目のオリジナルサウンドトラックに収録されている
オープニングテーマの「2:23~2:25」のあたりに
声 が 入 っ
て い
る。
元ネタ
映画版「サイレントヒル」は「雪」ではなく「灰」が降り注いでいるが、これには元ネタとなった地域がある。
それはアメリカのペンシルベニア州にあるセントラリアである。
この街はかつて炭鉱として栄えていたが1962年に坑内火災が発生。
延焼に延焼を重ねたために消火は困難だと判断され街全体が放棄された。
2002年にはZIPコード(日本で言う郵便番号)が抹消されたが、今でも少数ではあるが人は住み続けているらしい。
今でもなお地面の下では火が燻り、煙と有毒ガスがたちこめている。
道はうねり亀裂が入り、廃墟だらけとかなり不気味。
道は塞がれているものの、訪れる観光客はいるとか。
ちなみにこの火災の自然鎮火には推定であと数百年はかかると言われている…。