復活の呪文
ふっかつのじゅもん
概要
「ふっかつのじゅもん」とは、中断したゲームを再開するためのパスワードの、作中の呼び名。ドラゴンクエストシリーズにおけるものが有名。他に『月風魔伝』などでもそう呼ばれる。
バッテリーバックアップによるセーブ機能がなかった『ドラゴンクエストⅠ』、『ドラゴンクエストⅡ』で採用された方式。特定の文字の羅列を入力することで、今まで進めてきた所から再開できる。復活の呪文自体は王様、教会の神父などから教えてもらう。
その正体は名前や保有アイテムなどのデータをメモリー上で一つにまとめた保存データを圧縮後に文字に変換したもので記録として残さなければならないキャラやアイテムなどの数が増えれば増えるほど文字数はどんどん増えていく。実際、ドラゴンクエストⅠは20 文字 ドラゴンクエストⅡは52文字とゲームの規模が大きいほど増えていく(ドラゴンクエストⅢでは更に複雑になったためプログラマーの内藤さんが試算したところバックアップメモリーの内容を復活の呪文として文字変換した場合は988文字という膨大な数になるそうでバックアップメモリー採用の一因にもなっていると思われる)
パスワードさえ知っていれば、突然のセーブデータの消失に悩まされず、好きな地点からやり直しできることと、SNSなどで共有も可能なのが唯一のメリットといえる。また、別のカセットでもゲームを再開できるので、友達の家で自分のゲーム進行を披露することもできる。
さらに、パスワード方式ならではの利点として、裏技的にいきなり強い状態からスタートすることもできる。中でも主人公の名前が「もょもと」になる復活の呪文は有名。
デメリットは何と言っても中断するたびに毎回長いひらがなの文字列を紙などに正確に写す必要がある点だ。
『ドラゴンクエストⅠ』では最大20文字であるが、『ドラゴンクエストⅡ』では最大52文字となっており濁点なども混じる中、それを正確にメモする必要があり、1文字でも間違うと「じゅもんがちがいます」と言われ、ゲームを再開できなくなる。
さらには当時のTV画面(RF入力)はアナログ信号故ににじみやす、(当時10万円以上したパソコン用モニターなら滲まなかったが、初期のファミリーコンピュータにはデジタル出力のRGB端子がなかったので接続不可能)、ぱ行とば行などの同じ文字の濁点・半濁点の区別や、「ぬ・め」など形の似た文字の見分けが付きにくいのも書き間違いを起こす要因となっていた。
現在なら携帯電話とかで写真を撮ればいいという考えになるが、当時そんな技術があるぐらいなら「ふっかつのじゅもん」なんて要らないわけで…(当時はデジカメ写真1枚分=1MBにさえ満たない、小容量で作られている)。
当然、当時はノートなどに筆記する他はなく、写し間違えてせっかく進めた努力が無駄になるというトラブルは、当時リアルにやっていた人なら体験したことがあるだろう。
当時は家庭用ビデオデッキが普及し始めた頃でビデオに録画して呪文を保存する方法がとりえる唯一の補完方法として行われたもののビデオデッキがまだ高価だった時期で実施は一部の裕福な家庭に限られていた。
また、無事に書き止められたものの、そのメモをゴミと間違えた母親に捨てられてしまうと言うトラブルも多くの人が体験していると思われる。当時はメモに「チラシの裏」を使うことが多かったのも原因の一つとされている。
待望のセーブ機能、そして…
『ドラゴンクエストⅢ』からバッテリーバックアップにより、「ぼうけんのしょ」というセーブ機能が付いた。メモを取る必要がなくなり、プレイするのが楽になった一方で、カートリッジ内のバッテリー切れや、「おきのどくですが」という新たなトラウマが発生した。
なお、『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードⅡ ビクトリー』のように、以降の作品にも特別要素として「ふっかつのじゅもん」が登場している。
『ドラゴンクエスト』が発売されたのは1986年(昭和61年)5月27日。しかしそれ以降に起こった出来事を予言したような「ふっかつのじゅもん」を有志が次々と発見されている。
…まぁ実際は、無理やり探し当てたものだが。
現在はパスワードが完全に解析されており「ふっかつのじゅもんジェネレータ」を使えば、好きな言葉の入ったパスワードを作れるようになっている。「もょもと」もその一つ。
『世にも奇妙な物語 '21秋の特別編』で公開したストーリー。タイトルはひらがな表記で「ふっかつのじゅもん」。
『ドラゴンクエストⅡ』における「ふっかつのじゅもん」を題材にしたタイムループストーリー。桐谷健太演じる中岡賢一が、実家で片付けをしている最中に『ドラゴンクエストⅡ』を発見し、当時のパスワードを入れ遊んでいたところ事故死したはずの親友が子供の姿で現れ…といった内容になっている。