おきのどくですが
ぼうけんのしょ1ばんは
きえてしまいました。
概要
ドラゴンクエストシリーズにおけるセーブデータのぼうけんのしょが何らかの原因で消えてしまった時に流れるメッセージである。
「きえてしまいました」じゃねぇよ!!
ある意味『ドラゴンクエスト』最大の敵。
しかも発動すると回避不能。今までの苦労が水泡に帰す。
しかも1つだけでなく、いっぺんに全部のデータが消える場合もある、こうなったらもうどうしようもない。
消去された後は「ぼうけんのしょをつくる」メニューだけがぽつんと表示される。
BGM(音源)について
メッセージと共に嫌なBGM(呪われたアイテムを装備した時の音楽)が流れる。
更に、このBGMが音源単体では全ゲーム中最悪のトラウマ度を誇るのも、この出来事のトラウマ度を増している(しかも、ゲームを開始してから唐突に出てくるので心臓に悪い)。
「データが消えたのは呪いだからしょうがない」のを理由でわざとあんな音楽にしたそうだが、どう見てもブラックジョークの極みである。
できればクリアするまで聞きたくないものである。
尚、曲のタイトルはズバリ『呪いのモチーフ』。作曲したすぎやまこういち氏曰く「嫌われるよう一生懸命作った」「僕も嫌い」との弁。
データ消去の仕組み
そもそも、どうして「データが消えた事をソフト側が認識できているのか」だが、実は検出しているのはデータが消えているからではなく、破損しているかであり、ソフト側ではエラーを含んでいると思われるデータを判別し意図的に消去しているのである。具体的にはシステムはセーブデータ保存時にデータ保存と同時に、チェックサム値を保存し読み出し時は先にセーブデータからチェックサム値を改めて演算、保存されている値と比較、保存されている値通りなら正常データとして読み出しを開始し、差異があった場合破損データとしてして除外削除処理を行っている。
このようなシステムを搭載している理由は、何かの要因でデータが破損した場合、プログラムや他のデータに悪影響を及ぼす可能性を未然に防止するため。
つまり「きえてしまいました」 よりは「(エラーが起きてしまったので)けしてしまいました」が正しい。そのため、本当に「(電源を入れる前から)データが消えていた」場合は、このメッセージが出ない。
実際には、データに全く異常が無くてもプログラム側の誤動作や、電源の異常バス速度の低下などセーブデータそのもの以外の原因で、データが正常に読み込みができなかっただけでも『異常発生』と誤認識して消してしまい、その確率が非常に半端なかったのがおきのどく頻発の大きな原因である。
この問題が騒がれていた当時は、セーブデータを保存する為のバッテリーバックアップが世に出たばかりの新技術であり、不用心にいきなり電源を切るなどの、データを破損させる可能性が高い危険な操作をしてしまうユーザーが多かった事情も存在している。
一応、データ破損の発生率を下げる方法として、電源を切る時リセットボタンを押しながら行う が広く普及した結果、問題が多少緩和されてはいる。それでも消える時は消えるのだが。
尚、公式側は「消失の確率はそう高くないと踏んでいたので、こうも大きな問題になるとは思っていなかった」そうで、この神経を逆撫でするあまりにも無味乾燥で硬質なメッセージは「人の目にそうつくことがないから……」と見積もっていたらしい。
万が一の配慮が仇になった悪例だろう。
対象ハード
一応、後に発売される作品になるほど消え難くなっており、Play Station以降のハードではセーブデータが消える事態は稀になった。
やっぱりそれでも消える時は消えるのだが。
このメッセージが流れるのはファミリーコンピュータ(『ドラゴンクエストⅢ』以降)、スーパーファミコン、Nintendo DS、Nintendo 3DS等々……任天堂ハードで発売された作品となる。ファミコンはともかく、状況によってはまさかの Nintendo 3DSやNintendo DSでも、データが消えるトラウマが再発してしまう 。
メッセージは作品によって異なる。「おきのどくですが」ではなく「まことに ざんねんながら」などで始まるパターンもある。
Play Station、Play Station 2の作品の場合、セーブデータが壊れていると「壊れた冒険の書」が表示される。こちらは自動で消す機能がないため自分で消去する必要がある。
セーブデータの破損が酷い場合はデータが消せないばかりか、他のゲームのデータまで壊してしまう場合があり、上記の配慮が場合によっては本当に必要であると教えてくれる。
作品中の小ネタとして
オンラインゲームである『ドラゴンクエストⅩ』では実際にアイテムで『冒険の書』があり、これをとある人物にあげると、例のBGMと共に……。
おきのどくですが
ぼうけんのしょは
きえてしまいました。
と見事なまでに表示される。尚、実際にセーブデータが消えないが、それでも心臓に悪いのには変わりない。しかも嫌がらせなのか、これを体験しない限り絶対に話が進まない仕様もあって、「そっちの方がお気の毒だ」と非常に意地悪な構造になっている。
『ドラゴンクエストⅪ 過ぎ去りし時を求めてS』では街の人にウソを吐かれる縛りをしている場合、教会に神父にこのセリフを言われる。当然ウソなので安心してほしい。
『ドラゴンクエストウォーク』では、既に『ドラゴンクエストⅢ』イベントが行われていた上で2024年に要素を追加して再度イベントが開催されたのだが、その理由付けもよりにもよって「おきのどくですが ぼうけんのしょ1は ※※てしまいました。」というもの。「きえ」がバグった表記になっているのは公式表記。
何者か(イベントをクリアしても正体は判明しない)が既に攻略済みの『ドラゴンクエストⅢ』の世界に干渉した結果、再度主人公は冒険をやり直すことになる…という、再開催の理由付けとしてはかなり理にかなってはいるが、だとしてもあんまりな展開となった。
余談
なぜ「リセットボタン」ではなく「りせっとぼたん」なのか?
ファミコン時代の作品では、メモリの関係から使用できるカタカナが制限されており、「リセット」を全てカタカナで書けるほどの容量は確保できず、具体的にはドラクエだとファミコン版『ドラゴンクエストⅣ』までは、ゲーム内にカタカナの「セ」が無かったのである。厳密にはカタカナの「リ」も無いが、これはひらがなの「り」と共用になっている。だが「りせットボタン」の中途半端な表記にするのは不格好なので、あえて全部ひらがなにしたのが真相である。
なぜりせっとぼたんを押さなければならないのか?
ファミコン版『ドラゴンクエストⅢ』と『ドラゴンクエストⅣ』で採用されているバッテリーバックアップは完全にソフト側の後付け機能であり、実はハードであるファミコン自体は一切関与していない。
それどころか、ファミコンはそもそもハードの設計段階でソフト側にデータを保存する機能を想定していない。データ保存を考慮していないファミコンのソフトの保護もまた考慮しておらず、ソフトと本体が直接繋がっている。
そのため、ただ電源を切ると回路の電流・電圧が低下し、CPUが誤作動を起こす可能性が生まれた。CPUの誤作動はバックアップされたデータにも間違った信号を送る可能性があり、データ破損へと繋がる。
しかし、リセットを押している間はCPUの動作は停止するので、誤作動の可能性は大幅に減る(ドラゴンクエストシリーズ以外でもバッテリーバックアップを搭載したファミコンソフトなら、同様タイトルによっては逆にリセットを押さずに電源を切るよう指定されている例外が稀にあるものの、特に指定されていないのであればリセットを押しながら電源を切る方が無難)。
尚、前記の通りリセットを押さないまま電源を切ってセーブデータが破損した場合、更なる誤作動を起こす危険を避けるため、異常を見つけた時点でデータを自ら消去するプログラムが実装されているソフトが主流である。
つまり、破損したセーブデータは跡形もなく消える(自動で消される)場合がほとんどとなる。
尚、スーパーファミコンに移行した『ドラゴンクエストⅤ』以降のタイトルは、バッテリーバックアップに正式対応し保護機能も実装されたためリセットボタンを押す必要はない(逆にリセットを押してしまうと保護機能も止まってしまうため押さない方が安全)。
関連イラスト
関連動画
関連タグ
ドラゴンクエスト 冒険の書 トラウマ イメージレスポンス セーブ ロード
- 0%_0%_0% …… 別ゲーでの類似現象。こっちもたまに公式にネタにされる。
- 魔王(勇者のくせになまいきだ) …… 『勇者のくせになまいきだor2』では勇者がダンジョン内にセーブフラッグを設置してくるのだが「勇者のきろくなぞ、サッサと消しさるにかぎります!お気のどくそうなカオさえしとけば、ごまかせます!」と発言する。おいやめろ。