作品
人物
怪盗紳士。ルブランは彼を生み出した功績によりレジョン・ド・ヌール勲章を与えられている。
犯罪者ではあるが、その才能とユーモアのセンス、また「強きをくじき弱きを助く」紳士的な態度から、多くの国で支持されている。
変装の達人であり、「自分自身でも本当の顔がわからない」とジョークで言うほど。
ルイス・ぺレンナ、ポール・セルニーヌ(ちなみにこの2つの名前はアルセーヌ・ルパンのアナグラム)、ラウール・ド・リメジー、ジャン・デンヌリ、ジム・バーネット、オラース・ベルスモンなど、多くの偽名を持っている。
身体能力にかけては超人的といっても過言ではなく、柔道や空手などの格闘技をはじめ、種々のスポーツに精通している。しかし、最大の強さは不屈の精神力。
また、探偵役を務めることも多く、特に短編集『八点鐘』ではきわめて独創的なトリックを解き明かしている。
愛国者(悪く言えばナショナリスト、もっとも19世紀生まれの人物であるためそれは当たり前なのだが)かつ、フェミニスト。過去に本気で愛した女性に対しては、アルセーヌ・ルパンの名を捨て、堅気として生きる道を選んでいる(少なくとも3人に対しては先立たれており、悲嘆にくれたあと、ルパンとして復活する)。
殺人を嫌い、部下にもその点は徹底させている(自分のせいで3人の人命を奪ってしまった『8・1・3』では自殺未遂を企てた)。従軍中はさすがに別だったが。
この苦い経験は彼にとって一つのターニングポイントとなり、その後は怪盗としての彼よりも、窮地にいる人に手を差し伸べる「白馬の騎士」のような性格が強くなる。特に、陰謀に巻き込まれた恋人同士や女性を救う話が多くなる(『黄金三角』『三十棺桶島』『特捜班ビクトール』など。もちろん、悪党からいただくものはいただくのだが)。
ライバルはガニマール(ゲルシャール)警部、エベール刑事、エルロック・ショルメス(最初はシャーロック・ホームズの名前をそのまま用いていたが、コナン・ドイルに怒られたので、この名前にした。日本版だと直されていないことが多い)、イジドール少年など。
代表作は『8・1・3』『黄金三角』『奇巖城』『虎の牙』『ルパンの告白』『カリオストロ伯爵夫人』など多数。
なお、ポプラ社版は子供向けに翻訳されているので、原典に忠実な作品を楽しみたい人は早川書房版などを読んだ方がいい。