概要
物語の「地の文」を務める語り手の中で、読者が事実と異なる印象を持つことを誘い、色々な意味で信用できなくなる語りのこと。
「信用できない」「実態と違う」といってもその理由は千差万別で、
など、作品ごとに大きく異なる。
作者が語り手を描くのが下手なのではなく、脇役だけは読者の印象と作中の設定が一緒な点、構成が上手く人物の行動が一貫していて読み進めやすく話がテンプレ通りではない点、「不自然なぐらいに」違和感を強調している点が裏テーマやミスリードを含む最大の伏線となっている。
ぼっちや難聴系主人公などが代表格だろう。彼らは自分が長所のない人間と自嘲しているが、他の語り手を通して実は有名人かつ人気者らしいことが分かり、その逆もあり、ミステリー以外では主人公よりも転生者の問題なパターンもあり、必ずしも主人公の視点というのはアテにならない部分がある。
アーマード・コアやSkyrimなど、信頼できない語り手や資料の方がほとんど、という作品もある。
この場合は世界観が壮大かつ混迷になりすぎて、真実を把握している人物自体が殆どいない上、敵対している各陣営のプロパガンダがそれぞれ加わることで、どの陣営を信用すべきか判断つきかねるといった所。
特にこのように呼ばれる語り手の典型は叙述トリックで、代表格は「アクロイド殺し」等だが、もはや古典の名作と言って良いこの作品も未だにトリックには賛否が分かれがち。
物語を作るとき、どこまで語り手を正直にするか、というのも大事な要素なのだろう。