概要
何らかの謎を作中で提示し、その解明または解明を仄めかす描写を展開させることを趣旨とする作品群のこと。
元々は神秘、謎、不可思議を表す単語だったが、転じてそういった要素を扱った創作作品のジャンルの総称となった。
謎解きに使用される手段にちなんで『推理モノ』と呼ばれることもある。
pixivにおいては謎を用いた作品やそれ自体が謎な作品に付されるタグである。
多くの場合、作中で何らかの事件が起こり、その事件の真相を隠蔽しようとする『犯人』と、真相を暴こうとする『探偵役』の間で物語が展開される。
上記のような定義が含まれていれば基本的にミステリーとなり得る為、ホラーミステリーや医療ミステリーなど、様々なジャンルのミステリーが存在している。
基本的には小説を媒体とする『推理小説』が有名だが、テレビやゲームなどでも使用され種類は幅広い。
『ミステリ』と語尾を伸ばさずに呼ぶことも多い。
約束事
ミステリーは謎解きを趣旨としていることから、いかに読者に理解しやすい、または受け入れられやすい物語にするかが創作にあたっての課題となっている。
その為、よりよいミステリー作品を作るために様々な約束事が生み出された。
推理モノの三本柱
多くのミステリーに含まれる三大要素。
どれかが含まれていなかったり、どれかの要素が薄い作品も存在する。
フーダニット
『Who done it?(誰がやった?)』を表す用語。
誰が事件を起こしたのか、すなわち犯人役の必要性を訴える柱。
ハウダニット
『Haw done it?(どうやってやった?)』を表す用語。
どうやって事件を起こしたのか、すなわちトリックの必要性を訴える柱。
ホワイダニット(ワイダニット)
『Why done it?(どうしてやった?)』を表す用語。
なぜ事件を起こしたのか、すなわち動機の必要性を訴える柱。
推理モノの掟
推理作家ロナルド・ノックスが制作した、ミステリー制作への十のルール。
同じく推理作家であるウィラード・ハンティトン・ライト(ペンネームS・S・ヴァン・ダイン)が制作した二十のルール。
ファンタジーとの相性
ミステリーはその性質上、現実的・合理的な世界観を求める傾向が強い。
故に魔法や空想科学などの非現実的な展開に長けているファンタジーとは相性が悪いとされている。
が、現実的には以下のような方法をとることで、ファンタジー要素をミステリー作品に登場させることが可能であり、実際にそのような推理モノも多く制作されている。
また逆に、ミステリー要素を組み込んだファンタジー作品なども登場している。
・ファンタジー要素を『実はトリックで作られた偽物』として登場させる(『うみねこのなく頃に』など)
・ファンタジー要素の仕組みをあらかじめ読者に明かして理解させ、その仕組みの範囲内でミステリーを進める。(『新本格魔法少女りすか』『空の境界』など)
アンチミステリー
上記のような定義や要素を含んでいるにも関わらず、それを皮肉った作風をしている、または作品自体がミステリーであることを否定している作品をこう呼ぶ。
ファンタジーを組み込んだミステリーとも異なる作風をしており、いわゆる中毒性を伴った作品も存在している。
日本三大アンチミステリー(三大奇書)
精神疾患をテーマにした幻想描写と、常軌を逸した展開が特徴。
『読めば発狂する小説』という触れ込みで有名。
黒死館殺人事件
物語の9割が雑学に彩られており、それをもって真相解明を難解にさせるという大胆な手法がとられている。
一部シーンにおける探偵役の思考回路や行動原理にも一種の超展開が見受けられる。
虚無への供物
登場人物自らが、実在する推理小説や前述のノックスの十戒などで推理をするというメタな展開になっている。
その内容から制作時、選考会の委員は当作を冗談で作られた小説とすら思ったという。