概要
講談社の文芸誌『ファウスト』にて連載されており、講談社ノベルスより単行本が刊行されている。
全4巻。
西尾維新は速筆の作家として知られ、本シリーズも1~2年ほどのペースで単行本が出ていたが、2007年の3巻目以降刊行はストップしていた。
その後2020年4月に配信の『メフィスト』2020年 VOL.1および8月のVOL.2に新作が掲載され、12月に最終巻が発売された。
小説以外の展開として1巻の内容を様々なキャスト(1話を3組の声優が担当)で朗読する『詠唱劇「新本格魔法少女りすか」』がある
概要
心に茨を持った小学5年生・供犠創貴と、“魔法の国”からやってきた転入生・水倉りすかが繰り広げるファンタジック・アドベンチャー。
魔法少女ものだが、水倉りすかの変身が血液を利用したものであったりと魔法少女ものにしてはややハードな描写が多い。
また、タイトルの「新本格」は日本のミステリー史におけるムーブメントに由来し、ただ強い魔法で敵を倒すのではなく、魔法の特性をどう使いこなすかがストーリーのポイントにもなっている。
魔法の呪文や固有名詞にはクトゥルフ神話からの引用がある。
登場人物
メインキャラクター
『赤き時の魔女』
魔法の王国・長崎県からやって来た転入生。
小学5年生。クラス委員長を務める優等生だがその反面で自分以外の全ての人間を見下すといった傾向があり、残虐性が垣間見える。
作中では語り部であり、りすかとともに行動する。
通称・イタチ。属性は「肉」、種類は「分解」の魔法使いにされた少女。
体中に魔力を吸収・分解することのできる512個の口を持っている。
魔法使い
『魔法の王国』長崎県に住む異能力者。
魔法の扱いには免許が必要であり、県外への往来は厳しく制限されている。
『影の王国』 影谷蛇之
五つの称号を持つ強大な魔法使いであり、同時に犯罪者としても悪名高い男。
『矢』を影に突き立て、その対象を固定する物体操作の魔法使い。
『迫害にして博愛の悪魔』 水倉破記
りすかの従兄弟にあたる高校生。お兄ちゃんと呼ばれ慕われている。
血液を浴びせた相手に不幸をもたらす運命干渉系の魔法使い。
『火祭り』 火住峠
2m近い巨漢。火の属性を持つ魔法使い
『ニャルラトテップ』 水倉神檎
りすかの父親であり665の称号を持つ万能の魔法使い。
海を渡れない魔法使いを開放するべく、『箱舟計画』を画策する。
六人の魔法使い
水倉神檎の計画完遂のために選ばれた魔法使いたち。
『眼球倶楽部』人飼無縁
カイゼル髭を蓄えた壮年の男性。
目を合わせた相手を死に至らしめる究極魔術『魔眼』をもつという。
『回転木馬』地球木霙
自身の肉体を自由自在に変形、増大させられる武闘派の魔法使い
『泥の底』蠅村召香
対象者に所有権のない物体を完全に固定してしまう魔法使い。
部屋を固定すると、出入りが完全に不可能になる。
『白き暗黒の埋没』塔キリヤ
対象者を夢に引きずり込み、並行世界を作りだす魔法使い
『偶数屋敷』 結島愛媛
熱による化学反応を用いて、空気中から物質を生成する魔法使い。
『ネイミング』水倉鍵
魔法封じの能力を持つ人間。
魔法使いではないが、6人の魔法使いとして数えられる特殊な存在
用語
長崎
九州地方長崎県。
作中の魔法使いは全員がここの出身。
すべての魔法使いは長崎県に集められており、隣接する佐賀県との県境には城門と呼ばれる壁があり往来は制限されている。
城門管理委員会
長崎と佐賀を隔てる壁『城門』を管理する組織。
魔法使いの往来や、県外に現れた魔法使いの監視を主な任務としている。
魔法使い。
生まれながらにしてその身に魔法を宿す異能力者たち。
海を渡ることができず、城門によって隔てられているために長崎県から出ることができない。
魔法
魔法使いが持つ異能力。
属性(パターン)・種類(カテゴリ)・顕現(モーメント)の三要素で構成されている
属性
それがどのような属性を持つか。何を媒介にして発動するのかを表す。
火や水、雷といったよくあるものから獣、夢など珍しいものまで多種多様。
種類
属性がどのような現象に干渉するかを表す。
りすかは『水』である血液を流すことで『時間』の流れに干渉する
顕現
属性・種類によって方向づけられた力をどの様に発現させるかを表す。
他二つの要素が先天的に決まっているのに対して、顕現は魔法使いの人格が反映されやすい。
詠唱劇キャスト
りすか、創貴の順に表記。
- 1話『やさしい魔法は使えない』
- 2話『影あるところに光あれ。』
- 3話『不幸中の災い。』
余談
詠唱劇1話、act.1のキャストは作者の別作品の主人公&ヒロインと同キャスト。