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路面電車の編集履歴

2019-07-13 19:58:50 バージョン

路面電車

ろめんでんしゃ

路面電車は、主に一般道路の路面に設けられた軌道(併用軌道)を走る鉄道。

この形式は併用軌道、すなわち道路と共用になった線路を走る鉄道のうち、電車を用いる形式の事である。ただし、一部あるいは全線(東急世田谷線)が専用軌道(道路が存在せず線路のみ)になっていても路面電車のカテゴリーに含まれるものも存在する。もちろんモノレールAGTなどは含まない。

日本においては一般的な鉄道法律である鉄道事業法と異なる法律である軌道法により運用される。具体的に言うと、「鉄道事業法」は鉄道省→運輸省の管轄であり、「軌道法」は内務省→建設省の管轄であった。現在はどちらも国土交通省の所管となっているが、軌道法はなおも鉄道局と道路局にまたがっている。


この形式にて使用される車両は通常の鉄道で使用される鉄道よりも床が低い形式の車両を用いることが多い(これはを用いる鉄道と異なり路面より直接乗車することを想定するためである)。

基本的にはバスよりも輸送人員が多く、鉄道よりも少ないとされる。


歴史

この路線は都市内に敷設された馬車鉄道(馬車を軌道上で用いる形式、道路で運用するよりも乗り心地もよく、高速大量に輸送可能であった、ただし生き物であるため、いろいろと面倒な点が存在した)路線を、19世紀の終わりごろ開発された電車により運用する事が行われた、当時用いられた蒸気機関車と異なり煙を出すことも途中で水と燃料を補給することもなかったため有効として使用された。

なお電車以外に気動車機関車牽引の客車貨車などでも一応は運用可能であるが、あまりその例はない(現在の日本では伊予鉄道の坊ちゃん列車が唯一の例である)。

当初はアメリカ合衆国が最大の路線を抱えていたものの他国よりも一足先に自動車化が進み路線が破棄されたため、ソビエト連邦にその座を奪われ、これらは特にソ連および東欧、そしてドイツがこの形式を特に用いることとなった。


日本において

日本においては1910年の軽便鉄道法(1919年廃止)により、多くの併用軌道が百花繚乱のごとく建設され、大都市から地方都市に至るまで長く一般市民の脚として活躍した。

しかし、戦後大都市圏では、利用者の減少および道路の自動車の通行量の増加から、地下鉄(特に公有路線)や路線バス(私鉄路線が多いが、公有路線の一部も存在)へと切り替えが進み、路面電車は相次いで廃止されていった。


日本においては路面電車よりも郊外電車の導入の方が先だった(甲武鉄道→元JR中央本線)。ただ技術的に日本では独自開発できる時代ではなかったため、路面電車様式の電車がそのまま鉄道線に投入されていた。

電車の直訳語であるElectric Car(略してEC)は、本来路面電車のような軽軌道用の車両を指した。高速鉄道用の電気旅客車は、Electric Multiple Unit(略してEMU)という表現が世界的には一般である。しかし、日本の電車はその発祥が上記のようであったため、すべてがECとされる。なお新幹線も例外ではない(新幹線用電車はTrunk-line Electric Car、略称TECとされる)


関西の準軌私鉄や、京急などは当初より本格的なインターアーバンを目指したが、開業当初軌道条例(→軌道法)に根拠法をとり、わずかながらあるいは開業当初の区間に併用軌道を持つものが多かった。現状において、これらは勿論路面電車ではない。


近年の状況

1970年代の北米で、路面電車や市内を走行する鉄道路線を「ライトレール(LRT)」として再整備・開業させる動きが生まれた。1980年代のフランスや西ドイツでは中小都市を中心に盛んに路面電車が開業・復活する動きがあり、車両の低床化などの新機軸の導入も精力的に行われた。これらの影響は1990年代頃から日本にも及び、広島電鉄などで低床車両の導入が進み、2006年には「富山ライトレール」がLRT(実際には高規格路線を路面電車が走行するトラムトレインという分類になるのだが)として新規開業。2015年には札幌市電が路線を一部延長し環状運転を復活させるなど、路面電車の価値を見直す動きが見られる。(LRTの定義は「輸送力が軽量級な」都市旅客鉄道であり、普通鉄道でもLRTに分類される路線はある)


なお執筆時点では広島電鉄が日本最大の路面電車路線網を保有している。これは広島の地質上の理由で地下鉄が建設できないことが理由とされている。


集電装置

過去においては集電装置にトロリーポールビューゲルを採用していた。しかし日本では路線の分岐や折り返し等があるためこの形式では運用が面倒であり、またこれらの形式は架線より離線しやすく高速化にも向かないため1920年ごろよりパンタグラフを採用するようになり、現在の日本においては保存鉄道で用いられる車両以外はすべてパンタグラフになったが、シングルアーム式のパンタグラフの電車も増えており、デザイン的には原点回帰したような形になってきている。


現在日本国内で運行されている路面電車

公営

札幌市電(札幌市交通局)

函館市電(函館市交通局→函館市企業局交通部)

東京都電(東京都交通局)

熊本市電(熊本市交通局)

鹿児島市電(鹿児島市交通局)

民営

東京急行電鉄(世田谷線。ただし、東急玉川線の専用軌道区間のみが残った経緯から、路面電車であるにもかかわらず併用軌道区間がない)

豊橋鉄道(東田本線)

富山地方鉄道(富山市内線、ただし2009年開業の富山都心線「セントラム」は富山市によって建設された)

福井鉄道(福武線。福井市内の一部区間を除き鉄道)

京阪電気鉄道(京津線・石山坂本線。この2線を合わせ大津線とも呼ばれる。なお、京阪本線ももともとは路面電車発祥の路線であり、三条~七条間の地下化も軌道のまま実施された)

京福電気鉄道(嵐電)

阪堺電気軌道(阪堺電車、阪堺)

岡山電気軌道(岡山電軌、岡電、岡軌)

広島電鉄(広電、宮島線は鉄道)

伊予鉄道(市内線。ただし城北線は鉄道)

長崎電気軌道(長崎電軌)

第三セクター

富山ライトレール(ポートラム。JR西日本から富山港線を引き継ぎ開業。富山地方鉄道に吸収される予定。旧富山港線区間は鉄道)

万葉線(加越能鉄道から路面電車線を引き継いだ。新湊港線は鉄道)

とさでん交通(旧社名土佐電気鉄道。ただし旧社名の正式表記は「土佐電氣鐵道」と一部に旧字体を用いる。土佐電、土電)高知県高知市の出資で事実上の公営


参考・路面電車に類似する鉄道路線

路面電車ではないが、一部併用軌道が存在するか、路面電車規格の車両が運転されている路線。

江ノ島電鉄(江ノ電。併用軌道区間がある)

筑豊電気鉄道(路面電車タイプの車両が運行されているが、立派な鉄道線である。なお一部区間は2015年まで西鉄所有、うち2000年まで軌道線であった)

熊本電気鉄道(藤崎線)

えちぜん鉄道(三国芦原線。鉄道線であるが、福井鉄道との相互直通運転のため、路面電車タイプの車両が乗り入れる。)


戦後に路面電車やそれに準じた鉄道路線を保有していた、現在も鉄道を運営する事業体

公営

仙台市交通局(仙台市電。現在は地下鉄を運営)

横浜市交通局(横浜市電。現在は地下鉄を運営)

名古屋市交通局(名古屋市電。現在は地下鉄を運営)

京都市交通局(京都市電。現在は地下鉄を運営)

大阪市交通局(大阪市電。現在は地下鉄と新交通システムを運営、なお地下鉄は一部区間を除き現在も軌道法で運営)

神戸市交通局(神戸市電。現在は地下鉄を運営)

私鉄(インターアーバンとして後に鉄道線に昇格したもの等は除く)

東武鉄道(日光軌道線、伊香保軌道線)

箱根登山鉄道(小田原市内線)

伊豆箱根鉄道(軌道線)

松本電気鉄道(浅間線)

静岡鉄道(静鉄。静岡市内線、清水市内線)

名古屋鉄道(名鉄。岐阜市内線、岡崎市内線、この他に犬山線の犬山橋。豊川線は法律上は軌道線扱い)

北陸鉄道(金沢市内線)

阪神電気鉄道(北大阪線、国道線など)

南海電気鉄道(大阪軌道線、和歌山軌道線。なお大阪軌道線の一部は阪堺電気軌道に移行)

阪急電鉄(北野線、事実上の廃止。名目上は休止の後、京都線の梅田乗り入れに転用)

山陽電気鉄道(電鉄兵庫駅発着路線など)

西日本鉄道(福岡市内線、北九州線、大牟田市内線、福島線。北九州線の一部は筑豊電気鉄道に移行)


戦後に路面電車やそれに準じた鉄道路線を保有していた、現在は鉄道を運営しない事業体


公営

秋田市交通局(秋田市電)

川崎市交通局川崎市電

呉市交通局(呉市電)※バスも広島電鉄に譲渡して事業部署消滅


私鉄

旭川市街軌道(一条線、四条線、近文線)※バス事業も旭川電気軌道に譲渡して会社消滅

新潟交通(電車線)

茨城交通水浜線)※鉄道で残っていた湊線はひたちなか海浜鉄道に譲渡

山梨交通(電車線)

大分交通(別大線)



関連イラスト

阪神間モダニズム これは阪神電気鉄道の場合。


関連タグ

ちんちん電車 鉄道 LRT インターアーバン

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