概要
一度死んだ人間が覚醒し蘇ることで生まれる人類の進化形態。
濃淡は異なれど、全身グレーの体色がシリーズでも異彩を放っている。ただしライノセラスビートルやスカラベ、ウルフのように体の一部に色が付いている個体も存在する。
動植物を彷彿とさせる能力と形態を持ち、銃弾も通用しない強靭な肉体を有するが、普段は生前の姿を引き継いだ人間態をとって生活している。自らの意志で細胞の配列を組み替えることで地球上の動植物一種の性質や外見と、それに見合った特殊能力を具えた異形な姿へ変化する。
どの個体も体色は灰色が基調であるが、これは「死」や「滅亡」のイメージ(具体的には「死体」)を表している。
人間態でも身体が丈夫で、高所から転落しても傷一つ負わないが、風邪をひくこともある等、一切傷病を負わぬ訳ではない。
人間態では人間並みの力しか発揮できないが、高い実力を持つオルフェノクは人間態のままでも己が力を発揮することが可能であり(琢磨や村上など)、特に北崎は強力すぎて人間態のままでも力を抑えられず、触れたモノを灰化させてしまう。
死ぬ際は、青白い炎を噴き出して(デルタに倒されると赤い炎となる)灰になって死を迎え、寿命が近づくことでも時々身体がわずかに灰化し、死ぬと一気に灰と化す。
発生方法
普通に死亡した人間がオルフェノクへと覚醒する(=自然発生)か、オルフェノクが対象に接触して相手の体内に眠る「オルフェノクの記号」を活性化・覚醒まで至らせる人工的な方法で誕生する。
後者の場合、オルフェノクの繰り出す「触手」や武器を用いて人間の心臓を破壊する「使徒再生」を行う必要があるが、この「触手」は指など突起物が変化するパターン(口から出すパターンもある)と、光の触手とでも呼ぶべき物を繰り出すパターンとに分かれる(なお、この触手はガラスは貫通する模様)。正確には「オルフェノクエネルギー」とも呼ばれる蒼い炎状の「何か」を人間の心臓に注ぎ込み、これを焼滅させる事で「記号」の活性化とオルフェノクとしての体組織の再構築を行う。オルフェノクに心臓が存在しない訳では無い点に注意。
「オルフェノクの記号」を埋め込まれ蘇生したことが原因で覚醒する人造オルフェノクもおり、劇中では澤田亜希がこれに該当する。
なお一度死亡してから自然に甦ってオルフェノクになった者は「オリジナル」と呼ばれ、オルフェノクの中でも一際高い能力を持つことが多い。一方後者の場合ほとんどは失敗に終わり、オルフェノク化に至らなかった者は灰と化して消滅する(ただし『仮面ライダーディケイド』第1話では灰化したはずの人間がオルフェノクになったと思わしき描写が見られる)。
というのも全ての人間がオルフェノクの「記号」を有している訳ではなく、なおかつ『「記号」持ち』でもその活性化率の個人差が激しく、血縁者でもオルフェノク化の有無は同率ではないという事情ゆえ。「記号」の正体については劇中では明かされていないが、遺伝子上に存在する「何か」として言及されており、スマートブレインは流星塾関係者に人為的に「記号」を植え付ける研究を行っていた。
ちなみに即座に灰化する場合もあれば、ある程度生前をなぞる行動を取った後、灰化する場合もある。後者の場合、劇中で検死が行われた事を示す描写があり、その際に「異形の内臓」の残留が確認されている。
実質的な殺人行為である使徒再生だが、これは既に覚醒済みのオルフェノクにも一種の劇薬として働くらしく、オルフェノク同士の戦いでこれを受けて敗北したオルフェノクもまた、蒼い炎を上げて灰化する。『仮面ライダー913』第1話では、心臓に刺さらなければ灰化が起こらないのではないと思われる描写があるが…(劇中でも澤村刑事がバットオルフェノクの弾丸を足に浴びて何も起こらなかった)。
漫画版によれば使徒再生の方が覚醒する可能性が高いらしく、『仮面ライダー913』3,4話において明示されたオルフェノク化の確率はオリジナルが0.1%未満、使途再生が3~5%らしい。この確率は他作品のオルフェノクも同じなのかは不明だが、その低確率を物語るかのように使徒再生の個体と明らかになっている者は劇中3人しか確認されていない。
後述の小説版の設定においては人間との交配個体が登場している為、(少なくとも小説版においては)やはり従来の生物と同じような方法で繁殖できる模様(あくまで使徒再生とは人間をオルフェノクに変える為のものなので、こうした繁殖機能が備わっていないと絶滅してしまう)。
余談だが、使徒再生は「死と再生」とのダブルミーニングになっているものと思われる。
人間態関連
オルフェノク化しても、個体の記憶や人格は生前のものが引き継がれる。
先述の通り強靭な肉体を持ち、高層ビルから落下しても死亡するどころか大きな負傷すら見られないケースも存在するほどであるが、ライダーやオルフェノクとの戦いで負傷したり、普通に風邪を引いたりと全くの不死身という訳ではない。しかし中には常人より感覚が鋭敏になっていたり、高エネルギーの調律・放出制御を可能とする等、人間態でも超人的な能力を発揮する者も存在する。
人間体からオルフェノクに変化する際には瞳が灰色になり、オルフェノクのモチーフとなった動植物の顔や身体の一部、またはオルフェノクの顔そのものが浮かび上がる。また、オルフェノクの姿で他者と話す際には影が裸の人間態の姿に変化する。女性であっても容赦なく。(当然ながら胸部にぼかしはかけられているが。また東映公式によれば、演者がチューブトップを着た状態で撮影していたとのこと)
これらのオルフェノクの能力はどうも基になった人間の負の感情に反応しているかのような節があり、主要人物の中で過去が判明している人物の殆どが、凄惨な過去を経験していたり、不幸体質持ちが多い。
ただし、アークオルフェノクの能力で完全体に進化した場合、人間態は消滅し永久に怪物の姿のままとなる。
活動目的
組織化された存在ではないものの、スマートブレイン関係者は一部旧人類を世界から廃し、オルフェノクだけの世界を生み出そうと暗躍している。
そのため旧人類との共存は不可能だと割り切る者が多く、また善良な人間でさえも力に溺れてしまうケースがある一方で、木場勇治など共存を望む穏健派も僅かながら存在はしている。しかし、穏健派の存在をスマートブレインは快く思っておらず、使徒再生(実質的な殺人)を行おうとしない者は「裏切り者」と見なして始末する方針をとる。
そしてもう一つ、彼らは急激に進化し過ぎたがために肉体の寿命が短い。ゆえに、その問題を解決できるオルフェノクの王の存在を探し続けている。
※劇場版では寿命や、それに関する問題の解決策としての「王」の存在については触れられていない(制作時点でTV版終盤に至る設定が詰められていなかった為と思われる)。この段階でオルフェノクが人類よりも個体数が多い事(オルフェノク間で設けた子供も確認されている)も考慮すると、「人類とオルフェノクの存在比率が一定の閾値を越えると、オルフェノクは生命体としての存在が安定する可能性がある」と考える事も出来る(一部の同人作品では、これを論拠にしたオルフェノクに関する思考実験を行っている)。
ただしネズミのように成熟や繁殖のスピードが早ければの話であり、短すぎる寿命と繁殖のスピードが釣り合っていなければやはり早期に絶滅してもおかしくないと思われる。
「555補完ファイル」では有史以前の記録とも未来の予言とも言われる、“人類”と称されるこの星に棲む唯一の生命体が滅んでしまった数多くの生命たちを象った“鎧”を身につけ、この星の覇権を賭けた戦い挑む姿が描かれている。
しかし、彼らの戦う”敵”が何なのかは語られていない。
その戦いは人ならざる力を手にした人類が神々に叛逆した太古の争いを意味するのかもしれないし、未来に起こりうる脅威に備えて人類に与えられた力がオルフェノクである事を表しているのかもしれない。また、地球意思が人からさらに次元の進んだ存在を造り、人と競わせて進化を促しているという説や、オルフェノクが地球上全ての生物種の運命を背負ったノアの方舟としてデザインされたという説も存在する。
モチーフ
何がモチーフになるかはまったく法則性がなく、サンゴだのナマケモノだの、果ては植物のオクラだのと言った今までの仮面ライダーシリーズではまず選ばれないような奇抜なモチーフの怪人もいる。
そのため、同一デザインの個体が複数存在すると考えられており、この事を示すように同じ種類のオルフェノクでも作品によって人間態となる人物が異なるケースが多い。特に桜庭一樹による映画ノベライズでは最大最強のオルフェノク「エラスモテリウムオルフェノク」が複数個体登場した。
デザイナーの篠原保氏いわく、オルフェノクの姿は「その者が意識の奥底で潜在的に抱いている『戦う姿』が具現化したもの」とコメントしているが、これが単に篠原氏のデザインの方針なのか、劇中世界における事実であるかは不明。
(仮に劇中でも同じ設定だとすると、オクラやナマケモノを「戦う姿」として抱いてる者というのは……)
基本的に動物がモチーフに採用されるが、無論植物モチーフの個体もちゃんといる。
後に篠原氏は雑誌のインタビューで、オルフェノクのマークである3つの矢印オルフェノクレストが示しているのは「人間がオルフェノクへと進化する段階」であり、1つ目は『新たな命』、2つ目は『戦う姿』で本人のイメージする戦士や、スポーツ選手などの姿、3つ目は『動植物』でこればかりは「運命のルーレット」で決まるとコメントした。…ただ、イールオルフェノクの『戦う姿』が送気式潜水服で『動植物』がウナギ、と言うドはまりぶりから考えると2つ目と3つ目は全くの無関係とは言い切れないフシがある。
動植物が決まる方式も実は完全にランダムでは無く、一部の人物についてはその人間の心理や本質が反映されているのでは?と思しき描写がある。
オルフェノク | モチーフ | 変身者 | 備考 |
---|---|---|---|
ローズオルフェノク | バラ | 村上峡児 | バラは純潔の象徴。村上は高い自尊心の持ち主である。 |
ゴートオルフェノク | ヤギ | 花形 | モチーフとなったヤギと花形には共通して悪魔としての側面と、人々を育てる慈悲深い二つの側面がある。 |
ホースオルフェノク | 馬 | 木場勇治 | 人を減点方式で見ている節がある他、怒りの感情にとらわれると暴走しやすい。モチーフであるユニコーンは処女厨で憤怒の象徴とされる。 |
スネークオルフェノク | 蛇 | 海堂直也 | モチーフとなった蛇と海堂にはトリックスターとしての側面がある。 |
クレインオルフェノク | 鶴 | 長田結花 | 受けた恩や仇は必ず返す性質がある。鶴に関しては人間に恩返しする昔話がある。 |
ロブスターオルフェノク | エビ | 影山冴子 | 永遠の命を求めている節がある。また、ロブスターは脱皮する毎に体が新しくなる。 |
クロコダイルオルフェノク | ワニ | Mr.ジェイ | チャコを守りたいという願いがある事が、子煩悩で人が怖がって近づかないワニのイメージに繋がる。 |
センチピードオルフェノク | ムカデ | 琢磨逸郎 | 強い力を持っているがヘタレ。ムカデも同じように毒を持っていながら、その実臆病な日陰者。 |
ドラゴンオルフェノク | 龍 | 北崎 | 自分を絶対的な王様と信じている。珍しい幻獣モチーフで、龍は王の象徴。 |
オウルオルフェノク | フクロウ | 音大教授 | フクロウには学問の神と死の象徴としての側面がある他、闇夜に紛れ音も無く飛行し獲物を狩るという点から、音大教授の陰で教え子の夢を断つ卑怯者としての側面が表れたものと思われる。 |
スネイルオルフェノク | カタツムリ | 空き巣犯 | 自分に自信を持てない性質が殻にこもるカタツムリを連想させる。 |
アルマジロオルフェノク | アルマジロ | 森下義正 | 自分の中の妹のイメージを守る為に人間を襲う点が、防御の為に体を鎧で覆うアルマジロの姿に重なる。 |
トードスツールオルフェノク | キノコ | ピエロ風の男 | 劇中のセリフから「友達が欲しい」という心理があったものと思われる。キノコも胞子をばら撒いて仲間を増やす。 |
ドルフィンオルフェノク | イルカ | 青木(野間)茂久 | ピザ屋の店長として人の間に平穏に暮らしている。イルカは平和主義の象徴に成る程の人慣れしやすい性質持っている。 |
スパイダーオルフェノク | 蜘蛛 | ??? | これに関しては公式発言あり。詳しくは該当記事参照。 |
ウルフオルフェノク | 狼 | 乾巧 | 怪物と人の側面を持った古典的な例であるので自らの力に悩む主人公のモチーフとしてはピッタリである。また、一匹狼に見えて孤独を恐れ、仲間を想う側面も影響したか。 |
小説『異形の花々』では
二次精製に関しては言及されておらず、総てがオリジナルオルフェノクとして登場する。
また、『小説仮面ライダー鎧武』においては、「ヘルヘイムとは異なる進化の道を歩んだ者」と記されている。
この作品では、オルフェノクとなった者の多くが人間の殺戮を求める強い本能的衝動(オルフェノク達はこれを「声」として認識している)に飲み込まれ、理性を失って人間を襲い続ける怪物になると明言されている。
そのためかTVドラマ版とは異なり、仲間同士で集まったり戦闘時に協力したりする描写はあるものの、スマートブレインのように大きく組織立って行動する様子は見られなかった。
小説版だけの設定かと思いきや、TVシリーズにもそれらしき設定が残っており、澤田曰く、大切な人物を殺して人間を捨てろとオルフェノクの力が自身に命じているという趣旨の発言をしている。
主要キャラのオルフェノクたち
スマートブレイン
ラッキークローバー
流星塾
木村沙耶/仮面ライダーデルタ(劇中の描写から覚醒していた可能性が高い。なお小説ではドラゴンオルフェノクに覚醒していた)
オルフェノクの王
その他オルフェノク
スマートブレイン傘下
井沢博司/スティングフィッシュオルフェノク
ロングコートの男/エレファントオルフェノク
青木/オックスオルフェノク
赤井/カクタスオルフェノク
緑川/マンティスオルフェノク
戸田英一/スクィッドオルフェノク
眼鏡の男/スカラベオルフェノク
自転車の男/フライングフィッシュオルフェノク
ピエロ/トードスツールオルフェノク
クラブの男/フロッグオルフェノク
村上の部下のスマートブレイン社員/ライノセラスビートルオルフェノク
村上の部下のスマートブレイン社員/スタッグビートルオルフェノク
眼鏡のスマートブレイン社員/バーナクルオルフェノク
元流星塾生・青沼/スロースオルフェノク
サングラスの男/バットオルフェノク
革ジャンの男/コーラルオルフェノク
スマートブレイン特殊部隊/ライオトルーパー
ラッキークローバーの配下
大野木/スコーピオンオルフェノク
サラリーマン風の男/シーキュカンバーオルフェノク
浩一/ワームオルフェノク
ゴージャスな男/ソードフィッシュオルフェノク
琢磨の部下の男/ピジョンオルフェノク
野良の個体
「●」は人間を襲わなかったため、粛清された個体
音大の教授/オウルオルフェノク
覆面の空き巣/スネイルオルフェノク
森下義正/アルマジロオルフェノク(使徒再生の個体)
青木(野間)茂久/ドルフィンオルフェノク
小林義雄/ラビットオルフェノク(使徒再生の個体)
ボクサー風の男/オクトパスオルフェノク
所属不明の個体
劇場版に登場した個体
レオ/原典では不明(『S.I.C. HERO SAGA MASKED RIDER 555 EDITION -ロスト・ワールド-』ではライオンオルフェノク
スマートブレインOL/バタフライオルフェノク
スマートブレイン社員/ペリカンオルフェノク
スマートブレイン社員/スラッグオルフェノク
スマートブレイン社員/ワイルドボアオルフェノク
アベックの男/ロングホーンオルフェノク
アベックの女/ジラフオルフェノク
ライオトルーパー隊員/ムースオルフェノク
ライオトルーパー隊員/モールオルフェノク
ライオトルーパー隊長/ライオンオルフェノク
他媒体に登場した個体
小学一年生版で登場
惜しくも大賞を逃したが、ファイズ賞/カイザ賞に入賞した事で、漫画版に登場できたオルフェノク達。
なお、オクラオルフェノク は名称が異なっている。
スワローテイルオルフェノク(アゲハチョウの幼虫)
仮面ライダーディケイドで登場
百瀬/タイガーオルフェノク
仮面ライダー913で登場
棟宮のぞみ/クリオネオルフェノク
明智零/レイブンオルフェノク
響銃吾/ピーコックオルフェノク
小説・ヒーローショーなどで登場
元幻夢コーポレーションのプログラマー/エグゼイドに似たオルフェノク(ひらかたパークヒーローショーに登場)
ゲーム病に感染して死亡したプログラマーが覚醒。見た目はダブルアクションゲーマーに似るが、ゴーグル部分に瞳は無く、側頭部に鳥の目らしき物が確認でき、髪の毛部分は嘴とも取れるような造形をしているのでなんらかの鳥類の特質を備えていると思われる。
ガシャットを使って王のために人間のオルフェノク化を進めようとした他、過去に死んだファイズとカイザを蘇らせようと企むが、ファイズとカイザに自我が宿り、デルタが救援に駆けつけると形成が逆転。3大ライダーのキックを受けて灰化した。
せんとオルフェノク(よみうりランドショーに登場)
生物どころかマスコットキャラであるせんとくんの特性を持つオルフェノク。パンドラパネル強奪のためセントオルフェノク、銭湯オルフェノクと共に送り込まれた。3体の中ではまとめ役を務める。見た目に反してかなり強い。
セントオルフェノク(よみうりランドショーに登場)
アメリカの1セント硬貨の特性を持つオルフェノク。パンドラパネル強奪のためせんとオルフェノク、銭湯オルフェノクと共に送り込まれた。アメリカンな口調をしており、回転技や銃撃を得意とする。
銭湯オルフェノク(よみうりランドショーに登場)
銭湯の特性を持つオルフェノク。パンドラパネル強奪のためせんとオルフェノク、セントオルフェノクと共に送り込まれた。戦闘時はタオルを武器に使う。
余談
ネーミングに関する逸話
オルフェノクという名前は、脚本を担当した井上敏樹氏によるもの。
当初スタッフ内で、怪人の名前を「オルフェ」にするか「エノク」にするかで意見が割れて悩んでいたところに、井上氏の「そんなの『オルフェノク』でいーじゃねえか」の鶴の一声で決まったらしい。
- ちなみに、オルフェウスは「冥界から帰って来た」という神話が、エノクには「人間から天使になった」という神話が語られており、死から蘇り、超常的な力を手にした彼らに相応しいネーミングだと言える。
- 顔に文様が浮かぶ表現にはテクスチャマッピングが用いられており、口の動きにも違和感なく対応している。パイロット版監督の田崎竜太氏は「技術の進歩によって表現可能になったアイデア」と評している。
- オルフェノクの影が喋るという案は、白倉Pの「口をパクパクさせる以外の方法で怪人が喋る表現を考えて欲しい」という要望を受けて田崎氏が考えだしたもの。
- 初期の段階では名前や配置、死者がオルフェノクとして蘇るといった設定は決まっていたが、外見は指定されておらず、半人半獣のケンタウロスのようなものというオーダーに従い、メイン3人のモチーフは分かりやすく馬、鳥、蛇となった。『クウガ』から連続して登場怪人が動物モチーフだったため、新鮮味を出すべく動物の骨や死骸をモチーフとする案が浮かび、「死と再生」を表す「全身白色」のコンセプトも固まっていった。諸事情で骨の要素がなくなったが全身白一色の案は通った。現場からは「見分けがつかない」「とにかく地味」「人形が売れていない」と不評も続き、篠原氏も「常にヘコまされていた」とのことが、動物モチーフの表現に限界を感じた氏が”質感の追及”を止め、”そこにあるものの「意味」だけを見せる”ような連作を希求し、造形や撮影をはじめとした全方位に迷惑がかかるのを承知の上で1年間オルフェノクのデザインをやり通した(『完全超悪』p.142,145)。
オマージュ元
オルフェノクのオマージュ元は『仮面ライダーX』のGOD怪人、『人造人間キカイダー』のダークロボット、『キカイダー01』のハカイダー部隊やシャドウ殺人部隊なのではないかと言われているが、現時点で実際に明言されているのは次の通り(『完全超悪』pp.142-144)。
オルフェノク | オマージュ元 | 備考 |
---|---|---|
スティングフィッシュオルフェノク | ネプチューン | 共通点は三又の槍、半魚人、第1話怪人という点 |
ゴートオルフェノク | パニック | 同じくヤギモチーフ |
エレファントオルフェノク | 怪力ヘラクレス | パニックの代わりに怪力ヘラクレスとなった |
オックスオルフェノク | 鉄腕アトラス | 篠原氏自身もうろ覚えの節あり |
ホースオルフェノク | アポロガイスト | 盾を持った主人公のライバル怪人という共通点あり |
ローズオルフェノク | ハカイダー | 厳密には事情が複雑である。詳しくは項目にて |
ラッキークローバー | ハカイダー部隊 | なお、青ワニをモチーフとしたクロコダイルは元ネタ同様に鳩の怪人に改造された。また、センチピードオルフェノクの身体は『ロボット刑事』のワッカマンを意識している。 |
ピジョンオルフェノク | キチガイバト(クレージーピジョン)、テングムササビ等 | 改造元は意図されたもの |
篠原氏曰く、出渕裕氏が『仮面ライダーアギト』でアンノウンに機械合成怪人の要素を組み込んだようにGOD怪人を意識したとの事である。
余談だが、オルフェノク以外では仮面ライダーカイザがハカイダーの要素(肩)を組み込んでいる。
以上のように「仮面ライダーX」、「キカイダー」がデザイン面などで「555」に影響を及ぼしていることそのものは事実なので、このような説が流れたと考えられる(クラブオルフェノクとキカイダーのように明言はされていないが、姿形によく似た特徴を有していたり、人間態の名前にダークロボットの命名法則を思わせる色が入ったオルフェノクがいるなどそう思わせる要素はそこかしこに見受けられる。)。
この関係性は二次創作の元ネタになる事もしばしばある(下のイラストは白骨ムササビをモチーフとしたオリジナルオルフェノク)。
関連タグ
着ぐるみ使い回し:平成一期の中でもスーツの改造頻度が非常に高い
シアゴースト:篠原氏による単色で怪人デザインが成立するのかというプロトタイプ。
新帝国ギア:メカジャイガンのほとんどが単色デザイン。
アンノウン:こちらは本物の天使で、動物達の祖先である。その性質上、オルフェノクとは違って植物モチーフは存在しない。
AGITΩ:こちらも人類の進化系だが、基本的にこちらは生者が進化する。
ファンガイア:こちらも人間との混血が可能な怪人。
ファントム:過程やメカニズムは違えど、こちらも人間の死を以って誕生する怪人。
トリプルファイター:当初は色は黒で統一するつもりだったが、篠原氏はデーモン怪人に先を越されたので没ったと冗談めかして語っている。
キュウレンジャー:一部のメンバーのモチーフが共通するスーパー戦隊