カタログスペック
頭頂高 | 23.0m |
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全高 | 25.6m |
本体重量 | 30.5t |
全備重量 | 71.2t |
ジェネレーター出力 | 3,960kW |
装甲材質 | ガンダリウム合金 |
スラスター総推力 | 133,000kg |
概要
キャスバル・レム・ダイクンことシャア・アズナブルを総帥として、サイド1のスペースコロニー「スウィート・ウォーター」に集結した新生ネオ・ジオン軍が、シャア専用機として開発したモビルスーツ。設計段階から総帥専用機として開発されているため、全身が赤を基調としたカラーリングで彩られ、スカートアーマーには「C.D.(キャスバル・ダイクン、またはシャア・ダイクン)」をモチーフとした金色のマーキングが施されている。
そしてまた、型式番号MSN-04は、MSN-02(ジオング)からMSN-03(ヤクト・ドーガ)を経て開発された、正統なジオン系ニュータイプ専用機である事を謳う。
機体設計には旧ネオ・ジオン(アクシズを前身とするハマーン・カーン指揮下のネオ・ジオン)の技術者達が呼び集められ、メイン・スタッフを担ったニュータイプにしてエンジニアであるアルレット・アルマージュが「大佐のわがままをなるべく叶えてあげたい」として作り上げた。
建造については、組織として充分な設備を有していなかった事から、かつてジオン公国が月面拠点としていたグラナダ市のアナハイム・エレクトロニクス社工場が用いられ、更に新生ネオ・ジオン旗下のニュータイプ研究所所長であり、シャアの愛人でもあったナナイ・ミゲルが構想、ヤクト・ドーガ開発でデータを収集した新型のサイコミュ・システム――サイコフレームを完全な形で組み込むことで、宇宙世紀0093年にロールアウトしている。
高出力ジェネレーターとそこに(メガコンデンサを介して)直結したメガ粒子砲、サイコミュによる機体管制と武装を搭載した第四世代モビルスーツに分類されるが、第一次ネオ・ジオン抗争期の同世代機群に比べれば出力・火力共に控えめであり、高機動と長時間経戦能力を重視した仕様となっている。
組織の戦略目標「地球寒冷化作戦」において縦横無尽に戦場を駆け巡り、ロンド・ベル艦隊を翻弄。小惑星アクシズの核パルス・エンジンの点火を成功させた後に、そのままアムロ・レイの駆るνガンダムと因縁の一騎討ちを展開する。しかし第四世代機として火力でνガンダムを押し切れず、武装をすべて失った結果、徒手空拳による格闘戦へともつれ込み、最終的には出力不足に陥り力負けしてしまう。
開発経緯
当初はギラ・ドーガをベースとして開発が進められていたが、ギラ・ドーガのムーバブルフレームはサイコミュ関連の装備を内部に組み込むのにはサイズが不足しており、総帥専用機として開発部から要求された通りのスペックを満たす事は出来なかった。
その後、何度かの試行錯誤を経た結果、より大型の機体を新規に開発する事が決定される。
開発の際にはモビルアーマー 級のサイズを持つ機体も考案されたが、サイコフレームの採用により25m級という現在のサイズに落ち着いた。
尚、この際に開発された機体はヤクト・ドーガとして完成し、2機が実戦に投入されている。
一方、新規設計の際に考案されたMA級の機体は開発プロジェクトが別の部署に移管され、後にα・アジールが完成している。
新生ネオ・ジオン軍内では基礎設計は可能であったが、実機の製造・試験の為の施設が不十分であったため、開発自体はアナハイム・エレクトロニクス社に委託される事となり、かつての旧公国軍指揮下にあり、現在も影響が強いグラナダ工場において製造が行われた。
機体解説
サザビーはMSとしての基本性能を高いレベルでまとめた上でニュータイプ専用機としての機能を付加させていくという理念の下開発され、その結果MS単体での基本性能とニュータイプ専用機としてのサイコミュ関連の性能が共に高く、双方のバランスが取れた優秀な機体として完成した。
本来搭載に膨大なスペースを必要とするサイコミュ関連装置は、サイコフレームの採用により小型化されている。
従来の重MSの様な多数の武装は施されておらず、大型化による内部スペースの余裕を利用して機体性能の総合的な向上が計られている。
コクピットは頭部にあり、緊急時には機体から分離させる事が可能。
更にコクピットブロックには小型スラスターも内蔵されており、戦線を早急に離脱する事が出来る。
また、他のMSと同様にリニアシートを標準採用している。
本機のメインカメラにはモノアイが採用されているが、これはリック・ディアスに採用されていたものに改良を加えたものであり、性能も向上している。
コクピットを頭部に置いた事による胴体部の内部スペースの大きな余裕を利用して高出力のジェネレーターとサイコミュのメインユニットを装備している。
ネオ・ジオンの指導者が自ら搭乗する機体である事を鑑み、可能な限り破壊され難い事が要求された為、機体の耐久性は非常に高く、かつてのシャアの乗機であった百式とは真逆の設計思想となっている。
装甲に用いているガンダリウム合金は技術発展により従来型よりも強度が増している為、機体の耐弾性を低下させる事無く装甲厚を削減する事が可能となり、軽量化と同時に運動性の向上ももたらした。(劇中ではνガンダムがギラ・ドーガから鹵獲したビームライフルが、腹部をかすめるも本体にダメージがない様子を示すカットがある)
更に装甲自体に姿勢制御スラスターやプロペラント等各種機器を内蔵する余裕も生じた。
バックパックのスラスターは機体の大きさと比べると小型で3基しか装備されていないが、この3基でリック・ドム1機分に相当する推進力を持ち、肩部にはフレキシブルショルダースラスター、機体全体に多数の姿勢制御用スラスターを装備する。
また、オプションとして2基のプロペラント・タンクを装着する事が可能であり、最大戦闘出力の継続時間を90秒以上延長する事が可能。
これにより大型の重MSでありながらも従来機を越える高い機動性・運動性を誇り、稼働時間も通常のMSを大きく上回る。
アクチュエーターを始めとする機体制御システムも高性能なものを採用し、サイコフレームの装備により追従性も高い。
手足の稼動範囲も広く、武装を使わずにマニピュレーターや脚部で直接敵を攻撃する事も可能。
ヤクト・ドーガと同型のファンネルを6基装備しているが、ヤクト・ドーガが肩アーマーに直接ファンネルを搭載していたのに対し、こちらはバックパックに設けられたファンネル・コンテナに収納されている。
コンテナにはファンネルのエネルギー及びプロペラントの補給機能が備わっている為、連続使用が可能となり、ファンネルの運用能力の向上と使用可能時間の延長に貢献している。
武装
ビームショットライフル
型式番号ALB-BSR-N4。アルバート社が開発した高機能型ビームライフル。
Eパック型でありながら10.2MWという高出力を誇る。ダブルビームライフルのが10.6MW×二門やドーベンウルフの同じくEパック式ながら12.4MWの出力を持つライフルに比べれば控えめだが、第二次ネオジオン抗争期の機体群と比較すれば、破格の高出力といえる。
先端部に二門の砲口を有し、上部砲からは長距離狙撃にも対応した高収束ビームを、下部砲からは名称から連想させるショットガンのような拡散メガ粒子を射出する。なお、銃身側面にはセレクターが備えられているが、MSはマニピュレーターに内蔵されたコネクタによって、各種データの送受信を行うため、フェイルセーフ用と思われる。
Eパック方式を採用しているため他機種でも運用が可能であるらしく、宇宙世紀0096年に量産機向けに再調整されたモデルをアンジェロ・ザウパー大尉専用のギラ・ズールが運用していた。
メガ粒子砲
腹部に固定装備された、サザビー唯一の内蔵武装。出力8.8MW。ゼロバレルの拡散メガ粒子砲であり、複数機のジェガンを、シールドを構えた機体も含めて文字通り薙ぎ払った。
腰部を取り囲むように配されたエネルギーパイプによって、ジェネレーターと直結されているが、サザビーは既述の通り第四世代機としては洗練されている=第一次ネオ・ジオン抗争期の機体(多くが5,000kWオーバー)ほどには余剰出力が潤沢では無いため、戦闘高機動や複数武装のドライブ中はメガコンデンサへの充電が間に合わず、パワーダウンを起こしてしまう。
ビームトマホーク
特殊モデルのビームサーベル。トマホーク(両刃斧)型の大型発振機から、状況に応じた形状のIフィールドを形成、メガ粒子を発振する。最大出力時は、両刃ビームトマホークの頂点から更にサーベルを伸ばした大型ビームサーベルとなる。他、ビームトマホーク(両刃)、ビームトマホーク(片刃)、ヒートホークとしても使用可能であり、後者になるほどエネルギー消費が小さい。開発年代に従い、アイドリング・リミッター機能を標準装備。非使用時は柄を縮小してシールド裏、または背部スカートアーマー裏にマウントしている。
高機能武装ではあるが、シャアは投擲することでνガンダムのライフルを破壊した。
ビームサーベル
多くのアクシズ系機に見られる、両腕袖口の内側に収納されたサーベル(本機のものは、ビームガン機能は無い)。マニピュレーターへと射出するようにして取り出し、柄が伸長してアイドリングとなる。
これといった特徴の無い通常モデルだが、νガンダムとの近接戦では二刀流で使用し、交互に振り回すことで攻勢に立った。
ファンネル
円筒型をしたヤクト・ドーガと同モデルを、背部コンテナに六基格納。使用時はコンテナ上面が左右に割れるように展開し、ファンネルを放出する。サザビーのコンテナには、ファンネルを帰還させることでE-CAP再充電と推進剤を補充する機能が備わっているため、ヤクト・ドーガ(及びνガンダム)と異なり、ファンネルを“使い捨て”とはしない設計である。
しかし、実戦においてはキュベレイのようなファンネルのローテーションは行われなかった。
ファンネル自体は、放出後に後部が展開して全方位機動用アポジモーターが露出、更に前部中央の低出力レーザービーム砲口が伸長して、アクティブとなる。
宇宙世紀0093年最新の技術で製造されたファンネルではあるが。かつて量産型キュベレイがファンネルの搭載数に比例した戦果をあげられなかったことを鑑み、パイロットへの負担を考慮して、あくまでも「補助武装」として搭載されている。(事実このファンネルでは、戦略的推移の都合もあったが、MSを一機も撃墜できていない。)
壁面演出特別映像ver.
実物大νガンダム立像の壁面演出特別映像で登場するファンネル。従来のファンネル六器から一転して、大型のファンネルを背部コンテナに二基接続し、ガンキャノンなどの砲撃用MSや後のVダッシュガンダムを彷彿とさせるキャノンを背負っているような搭載方法となっている。
νガンダムのロングレンジ・フィンファンネルと似た性能を持つようで、先行PVにおいては搭載状態のまま発射したり、放出後に二基を並べて大出力ビームの発射、手持ちで大型ビームサーベルにしたりしている。
なお、動力がフィンファンネルと同様の小型ジェネレーターなのかは不明(高出力ビームが発射が可能なファンネルの動力は大半がジェネレーター駆動である)。
ちなみに、背部コンテナは見た目こそ従来のものと遜色無いが、ファンネル格納部だった場所にカバーが施され、側面に大型のファンネルを接続する箇所を持つ。
シールド
厚いガンダリウム合金に、多重の耐ビームコーティングを施した専用シールド。兵卒の戦意高揚のため、ネオ・ジオンの紋章が大きく描かれている。
可動式アタッチメントで前腕に直接装備されるため、腕部の稼働を阻害しない。
宇宙世紀0090年代のシールドのトレンドとして、サブウェポンラックを兼ねており、裏面に上記の大型サーベル一基をマウント、小型ミサイル三発を搭載している。
ロングライフル
イメージボードにおいてのみ描かれた武装で本編未登場。しかしイラスト共々人気があり、MG ver.kaやHG/RG(ガンダムエース付録)で立体化されている。
劇中の活躍
機動戦士ガンダム逆襲のシャア
U.C.0093、新生ネオジオン軍総帥となったシャア・アズナブルの乗機として登場。
5thルナ地球投下作戦で苦戦するギュネイ・ガスのヤクト・ドーガを救援の為出撃、リ・ガズィに乗ったアムロ・レイの前に現れる。
リ・ガズィに若干の手傷を負わされたものの、無事にギュネイを救出して、5thルナから離脱する。
スウィート・ウォーターでの演説後、地球へのアクシズ投下を開始。ロンド・ベルによるアクシズへの核ミサイル攻撃をファンネルを使って瞬時に撃破するなど高い能力を見せつける。
終盤では、アクシズでνガンダムに乗り換えたアムロと再び対峙する。
ファンネル同士のドックファイト、アクシズ坑道内における生身での戦闘など、激しい死闘を繰り広げる。
最終的に互いの武装の全てを使い尽くした所でMS同士の肉弾戦に移行。
ほぼ互角の戦いを繰り広げるが左腕をνガンダムのビームサーベルにより破損し、形勢不利の状態に追い込まれる。
この状態でもかなり粘っていたが、心配したナナイの思惟に気を散らした隙を突かれ、背部から体当たり攻撃を喰らいアクシズの岩盤に激突、機体が大破した衝撃で頭部のコックピット・コアが射出された。 そこをνガンダムのトリモチランチャーで勢いを失速させられ捕縛。
ブライト・ノアを含めたラー・カイラム一員の作戦で寸断されたアクシズだったが、爆発の勢いがありすぎて後部部分が地球に落下を始めてしまった。その事をコンピューターで計算し勝ち誇るシャアだったが、アムロは諦めず押し返しにかかり、この時サザビーのコックピット・コアはアクシズに埋め込まれる。
アクシズを押し返しにかかるνガンダムと連邦軍のジェガンやジムⅢ、ネオ・ジオンのギラ・ドーガ、そして地球圏の人々の想いを受け、νガンダムとサザビーのサイコフレームが共振し緑色の光が発生。
虹色の光へと転じたその超常的な力場は、アクシズは地球への落下コースから押し戻した。
この際、ギラ・ドーガやジェガンは光が発生した際に弾き飛ばされ、νガンダムに乗っていたアムロ、サザビーに乗っていたシャアは行方不明となった。
機動戦士ガンダムTwilightAXIS
U.C.0096、シャアの反乱から3年が経過したこの時期、サイコ・フレームの精製法が地球連邦政府により厳重に管理されていた。地球へ落下しなかった片割れのアクシズ内部には、サイコフレームの研究資料が残されている可能性があり、地表にはサザビーの本体部分がそのまま放置されていた。
関連動画
バリエーション
サザビー・プロトタイプ
小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』、小説『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー 1 アムロ編』で登場した機体。劇中、サザビーとしか表記されていない。 パイロットは、シャア・アズナブルとナナイ・ミゲル。
この状態のサザビーはテスト中の段階にあった為、本来なら頭部に設置される正式なコックピット・コアを装備しておらず、腹部に複座のコックピット・コアを取り付けていた。この仮設コックピットに使われている360度モニターは、ギラ・ドーガの流用だが性能は悪くなかった。
戦場で、ジェダに乗ったアムロと遭遇した際にシャアは性能は圧倒的にこちらの方が上だという旨の警告を行い、アムロはサザビーの火力も出力も圧倒的だからジェダでは簡単に敗北すると理解して、二人が戦うことは無かった。
そしてシャアはアムロへ宣戦布告を終えると、サザビーに急速加速をかけて、星々の光の間に消えていった。
模型誌『B-CLUB』に掲載された出渕裕によるサザビーの初期デザイン稿では武装や外観について小説よりも詳細に書かれている。
右腕に大型ハンド式メガ粒子砲が装備、腹部アーマー(後方)にはキュベレイ式の試作型ファンネル・コンテナを装備している。背面にはプロペラントタンクを搭載。頭部はシャアのヘルメット、フェイスマスクは百式に似ている(決定稿ではフェイスデザインは変更されている)。
『B-CLUB』30号ではこの初期デザインを「MSN-04X サザビー・プロトタイプ(試作型)」として立体化した。同作例では、MSN-04Xは小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア 前編』に登場するテスト中のサザビーに相当するものと位置付けており、小説の設定と同様にコックピットは腹部に複座型を仮設しているという設定。
ナイチンゲール
小説・漫画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場するサザビーに該当する機体。
同作に登場するHi-νガンダム(小説版νガンダム)のライバル機として激しい戦いを繰り広げた。
詳細はナイチンゲール(MS)を参照。
陸戦型サザビー
近藤和久作のガンダム作品に登場するサザビーの量産型。型式番号MSN-04B。
通常指揮官用MSとして実験的に量産され地上戦に投入された機体であり、一般パイロットにも扱えるようファンネルコンテナは廃されている。
ウェイトバランスを調節した事で地上での走破性は向上しているが、シャア専用機と比較して性能面で劣る。
主なパイロットはクルツ大尉。
サザビー(GPBカラー)
『ガンプラビルダーズ』に登場するサザビーのガンプラ。
サカザキ・ケンタが使用し、塗装も赤から二種類の白に変更されている(これはケンタが赤は女の子の色だからと嫌っている事に起因する)。
変更点がカラーリングのみであるという事もあり、基本的なギミックは原作基準となる。
ミスサザビー
『ガンダムビルドファイターズ』に登場するサザビーの改造ガンプラ。
詳細はミスサザビーを参照。
バルギル
『機動戦士MOONガンダム』に登場するサザビーのプロトタイプ。
外観が全体的にサザビーと極めて近かったが、作中で頭部が中破しそこにティターンズのG-ドアーズの頭部を代替として付けたことでガンダムとして扱われることとなった。いわば、Zザクの逆版とも言える。
詳細はムーンガンダムを参照。
SDガンダムにおいて
基本的には敵キャラとしての登場となるが、『グレイトバトル』の騎士サザビーや『三国創傑伝』の張遼のように味方になる事も稀にある。
- 『SDガンダム外伝』:騎士サザビー
- 『SD戦国伝』:武者漣飛威
- 『SDコマンド戦記Ⅲ』:フレイムサザビー
- 『SDガンダムフォース』:コマンダーサザビー
- 『SDガンダム三国伝』:司馬懿サザビー
- 『SDガンダム三国創傑伝』:張遼サザビー
関連イラスト
星野之宣版(ハイ・ストリーマー版)サザビー
関連項目
開発スタッフ
宇宙世紀作品外
ミスサザビー……「ガンダムビルドファイターズ」に登場したサザビーがベースのガンプラ。