概要
ニュムペーのアレトゥーサ(Ἀρέθουσα)は誰もが褒め称えるほどの美貌の持ち主だったが、処女神アルテミスに仕える身として恋には無関心で、女神のお供として狩りに励む日々を送っていた。
ある日、川で水浴びする彼女の魅力的な肢体を見てその川の主・河神アルペイオスが口説き、それが通じないと見るや手籠めにしようと彼女に襲い掛かった。アレトゥーサは服を着る間も無く必死で逃げたが、やがて走り疲れて体力も尽き、いよいよアルペイオスの魔手が迫ったところでアルテミスに祈り、救いを求める。その途端アレトゥーサの身体はみるみるうちに溶け出した。祈りに応えたアルテミスの助けで、彼女は水に変じたのだ。
アルペイオスは驚き一瞬立ち止まったが、自らも水に変じてアレトゥーサと混ざり合おうとする。するとアルテミスは大地に裂け目を開いて逃げ場を用意し、地面に広がっていたアレトゥーサはその中に流れ込んで逃げる。地中に流れたアレトゥーサは地下水となって海底の下をくぐり、やがてオルテュギア島から湧き出した。
こうして純潔を守り切ったアレトゥーサであったが、その後も水に変じたまま元には戻らず「アレトゥーサの泉」としてこの地の泉となった。ただし随時ニュムペーとしての姿も取り戻せるようで、元の姿でこの地に来ていた女神デメテルと会話した事もある。