概要
ファイアパンチに登場する強力な再生の祝福者。
年齢は約300歳以上で非常に熱狂的な映画マニアであり、下ネタ好きで子供っぽくて自己中心的でひょうきんな性格をしている。読者視点で見れば非常に面白い人物だが、劇中の登場人物達からは「イカレた女」と敬遠されている。
先祖代々「映画」という映像作品を全てが終わりに向かっている世界でも先祖代々奪われずに守ってきた家系の生まれだったがベヘムドルグの信仰による侵略、自身の信念を否定されたドマの「焼け朽ちるまで消えない炎」によって全てを燃やされる。
その事をきっかけに、ただでさえ「再生祝福者は長生きすればするほど感性が死んでいってしまう人間としての特性」に唯一の「生きていく糧」である映画も失ってしまい生きる気力を失くし。自殺を計る程に絶望し、堕落してしまった。
だが生涯の警護の契約を交わした部下たちによる計らいのカメラを受け取り、「燃えている男がいる」という今までにない感動の出会いをきっかけに「史上最高の映画をつくろう」と再び生命の灯を心にともす。
非常に長生きしているため、寒くなる前の世界を少しだけ知っている。また、肉体が女性だが心が男性のトランスジェンダーでもある。
戦闘能力はかなり高く、一方的にベヘムドルグの兵士を倒せる。
「格闘術なんて失われた今の時代、身に付ければ敵なしだよ」
先述にあったように住居をベヘムドルグの尖兵に爆破されて映画のデータを失い、絶望し、自殺を図るも、自身の再生能力ゆえ死ねずにいたが、配下の男性たち(ゲイカップル)が偶然撮影したアグニの映像を見て彼を主役にドキュメンタリー映画を取ろうと思い立つ。その途中でネネトを拾い、彼女をカメラマンに抜擢した。
自主制作映画のためアグニに格闘術を教える等の支援をし、彼の想いを汲み取りアグニ教を作り上げた。
「馬鹿の行動は分かりやすい」という言葉を表すようにこの作品の世界は「教養がない」為、行動予測がしやすい
映画によって身に付けられた心情想定、宗教観、行動予測、結果論、そしてメタ的な内容含む膨大な知識と皮肉、常にトガタから発せられる言葉は結果的に「冷え切った世界」では見事的中してしまい、そうなってしまう出来事を楽しんでもいるし(やっぱこうなるよね・・・)と達観している。その事実を楽しんでいるかどうかはトガタ自身しか知らない。
英語は映画を楽しむために堪能になった。 が本人が英語を教えるときはそのひょうきんな性格で下ネタばっかり教えて反応を楽しんでいる。
ファイアパンチという作品の方向性を決定づけたターニングポイントと言えるキャラクターであり、彼女の登場によって物語はメタ視点やシュールギャグを交えた混沌の坩堝と化して行くことになる。
最期(ネタバレあり)
読心能力の祝福者であるバットマンにより自身が体は女性だが心が男性であることをバラされたショックで、アグニの元を去ろうとするが、アグニがドマとの決着をつけることを条件に説得される。
しかし、様々な人々の想いと自身の根幹の憎しみが処理できず正気を失ったアグニがドマ以外の家族も全員皆殺しにしたことに「自分もドマと同じことをした」とショックを受けたアグニが自殺を図って海に身を投げたのを助けるために自らも海に飛び込む、
アグニを助け「消えない炎」に触れたことで引火する。
アグニ「人は死んだらドコへいく?」
トガタ「映画館に行く!」
そして映画館で座るはずだったアグニの席を強引に横取りしてトガタ自身がその席に座る。
ー生きていたって苦しいだけだ・・・なぜアグニを助ける・・・?
ー・・・そっか・・・
そしてトガタはアグニにルナと同じく「生きて」と告げ焼死する。
余談
「映画マニア」という設定はかなり藤本タツキ先生の趣味が出ており、
作中でも「ダイ・ハード」や「コマンドー」のセリフを引用したり(コマンドーとは違い、ダイ・ハードに関しては有名な野沢那智版ではなく通常のDVDに収録されている樋浦勉版のセリフを使っているが、この作品での世界ではほとんどの映画がロストメディアな為、すでに喪失している説得力がある。)
トム・クルーズの宗教関連のスキャンダル系統に言及をしたり、映画館でのマナーを話したりしており、同じ映画ファンやマニアなら共感できるセリフやにやりとさせられるシーンも多いだろう。