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概要

「ヘテロゲニア リンギスティコ 〜異種族言語学入門〜」とはKADOKAWAヤングエースUPにて連載中のファンタジー漫画。

作者:瀬野反人

作品紹介

ファンタジー作品でも珍しい異種族の『言語』や『コミュニケーション』に学術的な考察という形で焦点をあてた作品。

本作の長くて滅茶滅茶覚えにくいタイトルは、英語で『異種、異質』を意味する『heterogeneous』と『言語学』を意味する『linguistics』を掛け合わせたものと思われ、副題にもある『異種族言語学』という意味となる。

ハカバという若手言語学者の主観を通し、モンスターたちの独自の社会やコミュニケーションの方法をどこかのどかな雰囲気で描いていく。

あらすじ

学術研究の舞台は…魔界!? レッツ異種族コミュニケーション!

怪我をした師匠に代わりハカバ君が派遣されたのは、モンスターが暮らす「魔界」。

ガイドのススキと共にモンスターとコミュニケーションを取りながら旅をする、新人研究者の苦悩と日常をエッセイ風に描いた魔界探索研究コメディ!

(公式サイトより引用)

登場人物

若き言語学者 ハカバ

本作の主人公である言語学者の青年。腰をやってしまった教授に代わってモンスターの暮らす「魔界」での調査を任されることとなる。ワーウルフ語は喋れるが、共通語のない魔界でのコミュニケーションに奮闘の日々を送っている。本作は彼の主観を通して進むため、彼が理解できない言葉は黒塗りや聞こえた音そのままで表現され、喋っている言葉もある意味教科書的な文章。

性格は争いを好まなず穏やかで善良。「魔界」の常識の違いに苦労することも多いが、彼らの言語を学び、文化を理解しようと努めている。ススキなどのある程度交流を持った相手からは「センセイ」と呼ばれている。ちなみに来年までは帰れないらしい。

ワーウルフと人間のハーフ ススキ

教授が手配していた「魔界」のガイド。ワーウルフと人間のハーフで、実は教授の娘。ワーウルフ語を初めとする魔界のいくつかの言語と人間の言葉を話すことができる。外見は一見すると人間の幼い少女だが、顔を除いた体の多くは体毛に覆われている。

教授とは離れて暮らしている魔界の原住民。ガイドの仕事に忠実で役に立とうと一生懸命。ハカバにもよく懐いている。

教授と同じ言語学者を目指してるらしいが、『エーゥ』になるのもいいかなと思ってる。

お風呂は苦手。

大きなアゴの姉弟 カシューとケクー

道中の洞窟で出会ったリザードマンの姉弟。目的地が同じだったため、旅に同行することとなる。

一応ワーウルフ語は喋れるが、発声器官の異なるリザードマンのワーウルフ語はかなり違いがあり、ハカバを悩ますこととなる(教授の発音対応表である程度解消された)。

初対面のハカバやススキにも親切で、研究にも付き合ってくれたりと基本的に気のいい姉弟。ただしカシューは疲れていると怒りっぽくなり、ケクーは無自覚な不器用という一面を持つ。ちなみにハカバの言語力ではわかっていなかったが、実は結構荒くれ者な喋り方をしているらしい。

現地の同業者 モウ

ハカバが『死の街』と呼ばれる街で迷子になった際に出会ったミノタウロス。

ススキによればハカバと同じ仕事らしく、どうやら『言語学者』に相当する人物らしい。

事実、魔界のかなりの言語を知っているようだが、ワーウルフ語だけは話せないらしく、当初ハカバは何を言っているのか全く分からなかった。カシューとケクーを通じてようやく意思疎通が取れ、いつの間にかハカバたちに同行することになる。

ハカバが持ってきた教授の手記に興味を示して中を読んでいる。

ススキの母ワーウルフ 枯れ草

ススキの母親。つまりは教授の妻であるワーウルフ。ハカバが訪れた最初の村で彼をもてなした。夫の影響で人間の言葉も聞き取りならばできる。若い頃に村を訪れた教授に興味を持ち、もてなしやコミュニケーションの手伝いなどをしていた。

ススキと共に「魔界」に住んでいるため教授とは別居状態だが、親子そろって暮らすことを望んでいる(ただしそのことを聞いたハカバは複雑な表情で黙ってしまっている)。

ハカバの師匠 教授

ハカバの師にあたる言語学者。移動用の気球から降りる際に腰をやってしまい、現在は療養中。

穏やかな好々爺という風情だが、世間からは「モンスター」への無理解や偏見、自身の研究への不当な中傷に晒され続けている。

なお、若い頃は言葉も理解できないまま現地に飛び込み、ワーウルフである枯れ草を口説き落とした猛者。単行本の巻末では若かりし頃の彼の紀行が描かれている。

「似た人」 エンコバナ

ハカバたちが訪れた集落で出会った、恐らく人間とモンスターのハーフと思われる人物。一行の旅に同道することになる。外見は中性的な人間といって差し支えなく、ススキとほぼ同レベルで人語を話すこともできるが、所々に魔物の要素が見受けられる。性別は不明(ハカバは便宜上”彼”と呼んでいる)。

朗らかで人懐っこい性格をしている。幼い頃は人間社会で育ったが、「人間ではないから」との理由で魔界に置いて行かれたらしい。しかし、人間に特段悪感情は持っておらず、ハカバに対してもかなり友好的。一方で価値観自体はかなりモンスター寄りで、ハカバが常識としている概念や考え方が通じないことも多い。

世界観・用語

魔界

モンスターたちの住む地域。険しく雄大な自然に覆われている。かつては人間が住んでいた地域も含まれているらしい。あまり開拓が進んでいないのか(あるいはモンスターがそれに興味がないのか)厳しい自然が残っている。人間の往来は気球を使って行うことが可能だが、ほとんど行き来はないようだ。

モンスター

魔界の住人全般。非常に多種多様な種類が存在し、共通語はなくそれぞれが独自の言語を持つ。各々の体の構造が根本から異なるため、種族ごとにコミュニケーション方法を分けることも少なくない。皆一様に知性とある程度の社会性を備えている一方で、魔界においても『狩猟』や『養殖』の対象となる生物(多くは虫の姿をしている)も存在しており、そこには何か決定的な違いがあるらしい。

種族を問わずかなり現実主義かつ個人主義的な者たちが大半で、宗教や神話と言ったものを持たない。単独もしくは少人数で遊牧民的な生活をしている者が多く、種族や故郷といった集団への帰属意識が薄いため、階級という概念は無く村長レベルの指導者が出ることすら稀。

集団で何かをする時に一時的に協力し合うことはあっても、特定の団体で常に行動することは基本的にない。しがらみや強制、責任といったものがない一方で、集団行動ではかなり非効率な傾向が強い。

かつては人間と敵対しており、当時の資料では冷血で野蛮な者たちと記されている。一方、現在人間の間では獣と同じ知性の無い存在で、家畜のような資源とみなす見方が広まっている。

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