概要
佐藤多佳子のスポーツ小説である。神奈川県にある春野台高校(通称春高)陸上部で陸上競技にかける高校生を描いた物語。単行本は全3巻。漫画化、ドラマ化、舞台化も果たした。
本屋大賞、吉川英治文学新人賞を受賞。専門用語の解説などがあり、陸上競技の知識がない読書でも読みやすいように工夫されている。
主な登場人物
神谷新二
1本、1本走るだけだ。思い切り走るだけだ。
種目:ショートスプリント(100m・200m)、リレー(4×100mR・4×400mR)
本作の主人公。中学までは兄に憧れてサッカーをしていたが、兄のようにはなれないと悟り、高校では根岸の誘いで陸上部に入る。努力家で、どんな練習でもめげないタフさを持つため、連から「ターミネーター」と呼ばれる。高校入学時に髪を黄色に染めたが、鷲谷高校の大塚先生に「タクアン」と呼ばれる。
一ノ瀬連
お前とかけっこしたくて陸上部入ったんだよ
種目:ショートスプリント(100m・200m)、リレー(4×100mR・4×400mR)
新二の親友。短距離走の才能があり、中学2年で全中の決勝に進出したほどだが、顧問の教師とのそりが合わず、やめてしまうが、高校に入学して復帰。すぐに春高のエースとなる。かなりの偏食家。自分勝手な部分があり、お菓子とSFが好き。
根岸康行
マイルは譲りません
種目:ロングスプリント(400m)、リレー(4×100mR・4×400mR)
新二や連と仲がいい。
桃内公太
種目:ショートスプリント(100m・200m)、リレー(4×100mR)
大阪出身。チームのムードメーカーで筋トレとプロテインをこよなく愛する。新二たちの1学年下。
鍵山義人
種目:ショートスプリント(100m)、リレー(4×100mR)
新二たちの2学年下。連を尊敬している。感情の浮き沈みが激しく、走りもそれに影響されるが、ハマれば速い。
守屋さん
種目:ロングスプリント(400m)、リレー(4×100mR・4×400mR)
新二たちの1学年上の先輩。新二から「ハードボイルド」と評される寡黙で落ち着いた性格の実直な人物。中学時代からの後輩である根岸は守屋に憧れ、彼を追って春野台高校に進学した。
谷口若菜
ウサギにはなれないけど足の速いカメになる
種目:短距離⇒長距離
新二たちと同学年。元は短距離だが、先生の勧めもあり途中で長距離に転向する。新二の兄のサッカーの試合を一緒に観戦するなど徐々に新二との距離が縮まっている。
三輪先生
春高陸上部の顧問でありOB。社会科担当。鳥の巣のような天然パーマが特徴。かつて彼女に振られた過去があるからなのか陸上部の唯一の掟として部内恋愛禁止を掲げている。バレンタインのチョコのやり取りは腹筋1000回と言っていた。