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風に恋う

かぜにこう

額賀澪による吹奏楽部小説。文藝春秋より出版されている。
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概要

風に恋う(Misery and Glory of Windgazer)とは、額賀澪(ぬかがみお)による吹奏楽部小説である。
埼玉県にある千間学院高校の吹奏楽部を舞台として、1年生ながらに部長に指名されたアルトサックス担当の茶園基と、彼を部長に指名した同校出身のコーチ・不破瑛太郎の2人の視点から、かつての栄光を取り戻そうと奮起する部員たちの青春ストーリーが描かれている。
2018年7月15日に、文藝春秋より単行本の第1刷が発行されている。

2015年に第22回松本清張賞を受賞した同氏の作品『屋上のウインドノーツ』(原題『ウインドノーツ』)では十数名規模という小編成の吹奏楽部を取り上げており、出場するコンクールも自由曲のみのB編成部門であったのに対し、本作では部員総数64名という大編成の吹奏楽部が舞台となっており、課題曲と自由曲の2曲を55名のメンバーによって演奏するA編成部門のコンクールに挑戦することになる。

作品情報

題名風に恋う
作者額賀澪
イラストhiko
装丁川谷康久
媒体小説
ジャンル青春 部活 音楽
発行所株式会社文藝春秋
発売日2018年7月15日
ISBN978-4-16-390852-6


ストーリー

吹奏楽に打ち込むも全日本コンクール出場を果たすことなく中学を卒業した茶園基。ドキュメンタリー番組で取り上げられているのを見て以降、ずっと憧れていた吹奏楽の強豪校・千間学院高校に進学したものの、幼馴染の玲於奈が部長を務める今の吹奏楽部にはかつての栄光など見る影もなかった。

しかし、そんな基の前に、黄金時代のOB・不破瑛太郎が吹奏楽部のコーチとして現れる。あろうことか彼は、一年生の基を部長に指名した―――

「茶園、俺と一緒に、全日本吹奏楽コンクールに行く部を作ろうか」

部内に渦巻く嫉妬とプライド、大学受験のプレッシャー、恐怖のオーディション、そしてブラック部活問題。

果たして彼らは、全日本コンクールの地、名古屋に行くことができるのか?

(額賀澪公式サイトの作品紹介より引用)

登場人物

茶園基(ちゃえんもとき)
アルトサックス担当。進学実績に惹かれて千間学院高校を選んだ、眼鏡の1年生。
中学時代に吹奏楽コンクール全国大会を目指して3年間努力するも実らず、燃え尽きてしまったがゆえに吹奏楽部への入部は消極的であったが、同部の黄金時代のOB・瑛太郎と出会って一転、入部を強く決意するようになる。
音楽や楽器に対して一心不乱に取り組む純粋な演奏者としての一面を持っており、それを認めた瑛太郎の采配により、入部後まもなく部長に指名されることとなる。

不破瑛太郎(ふわえいたろう)
千間学院高校の吹奏楽部で新たに指導をすることになる、同部専属のコーチ(外部指導員)。25歳。
同部の黄金時代のOB(卒業生)でもあり、いまから遡ること7年前、吹奏楽コンクール全国大会で金賞を受賞した代の部長(当時の担当楽器はアルトサックス)でもあった。
落ちぶれた現在の吹奏楽部を再建するために特別に招かれ、1年生の基を部長に指名するなどの強烈な手段をもって部の指導にあたっていく。

鳴神玲於奈(なるかみれおな)
オーボエ担当。基の入部まで吹奏楽部の部長を務めていた3年生。
基とは歳がふたつ離れた幼馴染の関係にあり、彼とは小学生時代から一緒に吹奏楽の活動に勤しんでいた。
部長の役職が1年生の基に移ってからは、学生指揮者として部内の取りまとめ役を担うこととなる。

堂林慶太(どうばやしけいた)
トランペット担当。基と同じクラスで学ぶ、明るい茶髪の1年生。
中学時代には3年連続で吹奏楽コンクール全国大会への出場を経験しており、地区予選、県大会では基としのぎを削り合う間柄であった。
1年生にして並みいる先輩たちを圧倒するほどの実力者であり、一音聞いただけで彼のものだと分かってしまうほどに存在感のある音色を放っている。

越谷和彦(こしがやかずひこ)
アルトサックス担当。総勢7名のサックスパートを率いるパートリーダーの3年生。
上背のある短髪の男子生徒で、サックスパートの兄貴分的な存在でもある。

池辺豊(いけべゆたか)
アルトサックス担当。眼鏡をかけた2年生。
新入りの1年生である基が部長になったことに対し、あまりいい感情を抱いていない。

櫻井瞳(さくらいひとみ)
トランペット担当。同パートのリーダーを務める女子生徒の3年生。
きつい性格の持ち主であるが、同時に強いやる気と実力も兼ね備えている。

三好(みよし)
千間学院高校吹奏楽部の顧問
瑛太郎の現役時代から活躍している顧問であるが、現在は心筋梗塞を患って入退院を繰り返す不安定な生活を送っている。
衰弱しきった自身と落ちぶれた吹奏楽部の現状を鑑み、瑛太郎をコーチに招き入れて吹奏楽部の再起を託す。

徳村尚紀(とくむらなおき)
瑛太郎とルームシェアをしながら一緒に暮らしている、彼と同年代の癖毛のフリーライター。
7年前の千間学院高校吹奏楽部のOBでもあり、当時は副部長(担当楽器はパーカッション)として瑛太郎を支えていた。

水島楓(みずしまかえで)
瑛太郎の中学時代の吹奏楽部の同級生であり、現在は若手の作曲家として単身ドイツに渡って活動している。
高校への進学を機として瑛太郎とは別の道を歩むが、その当時に彼と交わした約束を果たすために、彼と千間学院高校吹奏楽部のために委嘱曲を作り上げる。

茶園里央(ちゃえんりお)
基の7つ上の姉。
都内にある大手広告代理店で働き始めた新社会人で、早朝から深夜まで働き詰めという多忙な日々を送っている。

森崎(もりさき)
民放のテレビ局「日東テレビ」に務めるディレクター
同局のドキュメンタリー番組『熱奏 吹部物語』の企画者であり、7年前の瑛太郎が所属していた黄金時代の千間学院高校吹奏楽部に対して密着取材を行っていた。

用語解説

千間学院高等学校(せんげんがくいんこうとうがっこう)
埼玉県にある私立の高等学校で、通称は「千学」。もとは男子校であり、3年前から共学に切り替わっている。
制服は深い紺色のブレザースラックス(女子生徒はプリーツスカート)に水色のシャツ、ブルーのネクタイという出で立ちになっている。
同校の吹奏楽部は、かつては吹奏楽コンクール全国大会で金賞を受賞するほどの華々しい実績を誇った強豪校であったが、顧問の衰弱に端を発する形で凋落を始め、今では地区予選どまりという見る影もない現状となっている。
さらに近年、学内の方針で進学を重要視する動きがなされ、結果を出せないまま多額の部費や生徒の長時間拘束を要する吹奏楽部は学内の教師陣から冷ややかな目で見られるようになる。そのような現状を打破するために、吹奏楽部は黄金世代のOB・不破瑛太郎をコーチに招き入れ、再起と躍進を図ることとなる。

熱奏 吹部物語(ねっそう すいぶものがたり)
全国ネットの民放「日東テレビ」が、全国各地の吹奏楽部を巡って密着取材を行ったドキュメンタリー番組。
2010年頃から放送が始まり、全日本コンクールに出場するような強豪校から、部員集めに奔走する弱小吹奏楽部まで大小さまざまな吹奏楽部を取り上げ、一時の吹奏楽ブームを巻き起こした。
7年前、全国大会に出場した黄金時代の千間学院高校吹奏楽部も特集されており、当時部長としてインタビューに答えていた瑛太郎の姿は、小学3年生だった頃の基に多大な影響を与えている。

作中に登場する楽曲

宝島(TAKARAJIMA)/和泉宏隆 編曲:真島俊夫
(基が中学卒業時に参加した定期演奏会での最後の一曲として登場)

ミュージカル『レ・ミゼラブル』より 夢やぶれて(I Dreamed a Dream - Les Misérables)/クロード=ミシェル・シェーンベルク
(玲於奈とかつて交わした約束を果たせなかった基が、定演後の帰り道で彼女に聴かせた曲として登場)

スケルツァンド(Scherzando)/江原大介
(千間学院高校吹奏楽部のコンクール課題曲として登場。実際の2017年度全日本吹奏楽コンクール課題曲(課題曲Ⅰ)である)

狂詩曲『風を見つめる者』/水島楓
(千間学院高校吹奏楽部のコンクール自由曲として登場。本年度のコンクールへの挑戦のために、瑛太郎の知人である楓が書き上げた委嘱作品である。
約7分の構成のなかに、オーボエのソロをはじめとする多数の見せ場が散りばめられている)

汐風のマーチ(Ocean Breeze March)/田嶋勉
(千間学院高校吹奏楽部の7年前のコンクール課題曲として登場。実際の2010年度全日本吹奏楽コンクール課題曲(課題曲Ⅳ)である)

2つの交響的断章(2 Symphonic Movements)/ヴァーツラフ・ネリベル
(千間学院高校吹奏楽部の7年前のコンクール自由曲として登場)

関連動画

文藝春秋版プロモーションビデオ(2018年7月)


額賀澪(作者)版プロモーションビデオ(2018年7月)


関連タグ

小説 長編小説
吹奏楽 吹奏楽部 音楽 部活 青春
サックス アルトサックス

豊田萌絵 - 日本の女性声優。単行本の帯にコメントを寄せている。

外部リンク

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