概要
江野スミによる日本の漫画。
2016年12月から2020年2月まで「裏サンデー」(小学館)および「マンガワン」にて連載されていた。
単行本全8巻完結。
害獣病が蔓延する架空世界を舞台にしたダークファンタジー。
「裏サンデー」・「マンガワン」ではハードアクションと紹介されているが、作者自身はそう考えていない。
2017年「第3回次にくるマンガ大賞Webマンガ部門」にノミネートされ、12位入賞。また、「WEBマンガ総選挙」にもノミネートされる。
同年8月、「マンガワン」での「水着総選挙2017」にてホシ・ソウが6位にランクイン。
ストーリー
害獣駆除兵のアキミア・ツキヒコは森で害獣駆除を行う最中、何者かに襲撃され意識を失ってしまう。
そこを偶然通りかかった衛生兵のホシ・ソウに介抱され意識を取り戻すものの、2人とも現在地がわからず遭難に陥る。
ホシは行方をくらませた弟を探すために森へ入ったと語るが、弟が本来駆除されるべき害獣を愛護していると聞いたアキミアは、危険思想を持つ弟を見つけ次第殺さねばならないと話す。
どうにか弟を見逃してほしいと頼むホシに対しアキミアは、自分と結婚してくれるなら代わりに弟を見逃そうという不条理な提案を持ちかける。
ホシはその提案を呑み性交渉に応じるが、翌朝アキミアは、自分がヴィエドゴニャであることを明かす。
それはホシが性交渉を通して不治の病に感染したことを意味していた。
これは、人というには動物的で、獣というには感傷的すぎる、名前のつかない怪物の話。
用語一覧
害獣関連
害獣
害獣病にかかった人間の成れの果て。理性や人格は消滅している。大きさや姿形は様々だが、概ね主竜類(ワニや恐竜、鳥を含む分類群)のような外見をしている。全く姿が違う個体同士でも繁殖が可能で、害獣の子は最初から害獣として生まれる。
害獣病
人を害獣へと変えてしまう病気。徐々に体が変貌していき、最終的に害獣となる。害獣病菌によって引き起こされ、主に性交渉によって感染するため、害獣病患者の男性は去勢を義務付けられる。また、妊娠によって母子感染するため、感染者の子どもは最初から害獣病菌を保有している。不治の病ではあるものの、現在では進行を抑制する薬が開発されており、薬を買えないほどの貧困層でなければ害獣になることはない。
ヴィエドゴニャ
生まれながらに害獣病菌を保有しているにもかかわらず、害獣病を発症しない者のこと。但し、死亡した瞬間害獣となる。通常の害獣病患者と同じく去勢を義務付けられている。しばしば差別の対象となる。
国関連
ノピン
主な舞台となる島国。技術水準は現代日本と同程度。かつてシュペイと戦争をしていたが、30年前に害獣病菌を撒かれ敗戦し、森に害獣が蔓延ることとなる。現在シュペイとは友好的な関係を築いている。
シュペイ
ノピンとは海を挟んで隣に位置する大国。亜獣譚の世界では我々と同様の外見をした哺乳類の人間に加え、恐竜のような外見をした鳥類の人間が存在しており、シュペイは鳥類人間によって構成される。
登場人物
害獣駆除兵関係
アキミア・ツキヒコ
害獣駆除兵分隊副長。27歳。ヴィエドゴニャ。本作の主人公。
アキミアがマッチョな体で眼鏡をかけている理由は、作者が「全身鍛えたマッチョが唯一鍛えられなかった視力」が好きなためである。眼鏡の度の描写にもこだわって描かれている。
22話から右耳に付けている紐は、駆除兵士内で、付けている方の耳が聞こえにくいことを表す紐である。
自称7月13日生まれ。士官学校に入るまで学校に行ったことがなかった。前髪の白い部分は染めている。
元は作者の江野スミ氏の趣味作品のキャラクター、「アキミアくん」が原型。ちなみに、アキミアくんシリーズと世界観は直接の繋がりはない。
ホシ・ソウ
衛生兵。チルの姉。22歳。本作のヒロイン。
ホシ・チル
ノピン士官学校害獣駆除科の一年生、害獣駆除兵二等兵。ソウの弟。17歳、作中で18歳になる。ヴィエドゴニャ。
ジンギル・エンリ
チルの友人。チルの半年後、士官学校に入学する。害獣駆除兵二等兵。18歳。
ゾネ・タイヨウ
害獣駆除兵分隊長。53歳。
アキミアの上司。10月1日生まれ。
クワタ
ゾネの上司。戦時中に害獣病に罹り、額から角が生えている。大佐。訛りの強い言葉で話す。
ハラセ
獣駆除兵分隊副長。士官学校の指導教官も兼任。害獣病に感染しているが、何らかの手段によって検査を誤魔化し、発覚を免れている。35歳。
ニンダ・イルバンクス
エンリの同級生。害獣を研究する生物学者になりたいと思っている。叔母が害獣を研究する生物学者であり、ヴィエドゴニャであった。