辞書の解説
ぜん ぜん[全然](副)
- 〔後ろに否定や「ちがう・別だ」などのことばが続いて〕少しも。まるで。「何があったか全然知らない・あいつは全然だめだ・『知ってる?』『ううん、全然!〔=少しも知らない〕』」
- 完全に。すっかり。「全然言いがかりというものだ・鼻が全然つまっちゃってるね」
- 〔話〕ほかとくらべて、断然。「いつもの授業とちがって全然楽しかった」
- 〔話〕心配する必要がない、問題がない、ということをあらわす。「『この服、変じゃないかな』『ううん、全然かわいいよ』・『行ってもいいですか?』『全然来てください』」
[!]「『全然』の下には、本来、否定が来る」というのは、戦後に広まった誤解。戦前から1と2の用法があったが、戦後、1が特に広まったため、これだけが本来という誤解が生まれた。
《三省堂国語辞典第八版より引用》
ちなみに三省堂の全訳漢辞海によれば「全」は甚だ、とてもという意味。さらに岩波新漢語辞典によれば、昨今ではくだけた口語とされる3と4の方が本来の用法であったと解説されている。
このような誤解が広まったのは1のうち、省略表現が世に広まり、そこに強調するため「全然だめだ」「全然うまくいかない」などという表現があたかも正しい国語文法のようになったためでもある。