概要
演:でんでん
『アマゾンゴールド』という熱帯魚店を経営している気さくな男性。約3,000種類の魚を所有しており、高いものでは1000万円のものさえ扱っている。
表面的には非常に明るくおしゃべり好き。しかし、本性は残忍極まりない。巧みな話術と暴力によって自分の思い通りに人を支配しなければ気が済まず、歯向かった者や欲を出した者に対しては長い付き合いがあったとしても容赦なく殺害する。既に作品開始時点で58人殺していることを公言しており、村田を追う警察も少なくとも30人以上が彼の周辺で行方不明になっていることを把握している。
殺人に際しては肉と骨を分解して燃やす・散骨するなどして完全な証拠隠滅を図る。これを「ボディを透明にする」という独特な隠語で表現している。
なお、子供の頃にハラキリ山という山中にある教会のような建物で暮らし、その際に父親から虐待を受けていたと思しき描写があり、これが後の彼の人格形成に影響したと考えられる。現在は建物は彼が死体を解体するための小屋として使われている。
その結末
村田は信行を挑発するために妙子と関係を持ったことを暴露する。怒り狂う彼を見て更に挑発を繰り返すが「共犯者だろ」と奮い立たせ、愛子を自分の目の前で抱くよう命令する。これもまた洗脳方法の一種である。だが狂った信行は行為中、愛子の首元に鉛筆を刺し、そのまま村田のことも刺していった。
何度も何度も刺したため、もう村田は息も絶え絶え。恐ろしくなった愛子は信行の「ラクにしてやれ」の言葉に応じ、村田を殺すのだった…。
モデル
埼玉県にあったペットショップ経営者のS.Hとその妻であるK.H、店舗役員の山崎永幸らによる連続殺人事件、いわゆる「埼玉愛犬家連続殺人事件」がモデルである。本事件はマスコミ報道が先行した事件であり、被疑者の映像が連日映し出された上、完全犯罪を目論んだ残忍な結末が明らかになるなど異常性の高い事件であった。
Sはペットショップ『アフリカケンネル』の経営者で、ブームとなるシベリアンハスキーを日本で最初に輸入したり、犬の競技大会で育てた犬が何匹も優勝したりと、業界では有名人だった。
Sには左手の小指がなく、背中にはライオンの刺青が入っていたが、非常に愛想がよく話し上手なため、人脈は多岐にわたった。しかし、平気で暴力をふるい、未成年の少女とも肉体関係を持つなどしていたため従業員からの評判はすこぶる悪かった。
Sは地元の組で組長代行を務めているヤクザをよく連れ歩いていたため、誰も表立って文句は言えなかったのである。のちにこのヤクザもSを恐喝し、殺害された。
山崎は群馬県片品村でブルドックのブリーダーとしてそこそこ成功を収めていたのだが、驚異的な利益を上げていた関根の経営を学ぼうと役員となった。
しかし、役員となって間もなく、山崎はSが口から出まかせの詐欺師であることを知り、辟易としていく。
完全犯罪を成し遂げていったかのように見えたSだったが、このとき、まったくの別件で大阪で愛犬家が相次いで殺される事件が発生し大々的に報道され、その中でSのペットショップの客が失踪していることに注目が集まる。
そして、関根によって共犯者に仕立て上げられた山崎の供述により死体遺棄現場の捜索がなされたところ、本件で最初に殺された会社役員男性の遺骨や高級時計が発見されるなどしたためSとK、そして山崎が死体損壊・遺棄容疑で逮捕。
公判において、SとKはそれぞれ互いに相手が主犯だと主張したが、浦和地裁(現:さいたま地裁)は元夫婦が対等の立場で共謀し、犯行に及んだと認定。2001年3月21日に元夫婦に求刑どおり死刑判決を言い渡した。
山崎は3年服役したのち出所。本事件の本を執筆するなどしている。
2017年3月27日、Sが東京拘置所内で病死。75歳だった。