透ける

一話完結の掌編連作です。 話の元ネタは、20世紀の終わりごろに発行された某お堅い化学雑誌のエッセイにあった、某高分子学者の妄想です。内容は非常に魅力的なんですが、次のような問題点があるんですよね。 　　1. 普通に繊維を作ったのでは、白い水着しか作れない 　　2. 少し汗をかいただけでも浸みてしまい、仕掛けがばれる 　　3. 犯罪になる（公然猥褻ですな） ということで、R-18指定にしなくてもよいであろうレベルまでマイルドにした上で、その後の科学の進歩を加味して（嘘）、SSにしてみました。ただ、プールに入る前にシャワーを浴びるだろうとか、まだまだ突っ込む点が多いのは承知の上ですので、その辺は大目に見てやってください。 「どうしてそうなる」と、突っ込みたがる人もいるかもしれない（まあ、いないでしょうが）ので、ちょっとだけ薀蓄をば。 モノが見えるか、見えないかというときに、モノの着色は言うまでもないですが、屈折率というのが大事になってきます。屈折率が等しい状態では、ほぼ無色（ほぼ白色）のものは、境界がほぼ完全に見えなくなります。すなわち、見えない状態となります。ただ、これは非常に微妙で、屈折率が0.01以下の差でも、界面が見えてしまいます。水とお湯を混ぜた時のモヤモヤがそれ。なので、水にぬれると透ける繊維というのは、現実的にはかなり難しい技術と考えられます。 おやくそく この物語は、フィクションです。 登場人物、団体名、地名などの固有名詞は、すべて架空のものです。 現実と空想の区別のつかない方、区別がつかなくなる恐れのある方の閲覧は、固くお断りいたします。