達海猛
たつみたけし
CV:関智一
EAST TOKYO UNITED(通称ETU)の監督。35歳。
かつてはETUの選手として活躍するも突然海外へと旅立つが、移籍先で怪我により活躍の機会が激減してしまい消息を絶っていた。
しかし、その後監督の才を開花させてイングランドの5部リーグに所属するアマチュアチームをFAカップでプレミアリーグのチームと対等に戦える強豪にまで育て上げ、ちょうど同じ頃チームの再起を図ろうとしていたETUに誘われ、日本に帰国しETUの監督に就任する。
「弱いチームが強い奴らをやっつける(GIANTKILLING)」をモットーとする。監督会見にて「わかんない」を連発する、キャンプで選手たちに自習を命じるなどその言動に底は知れない。
愛称は「タッツミー」。
飄々としており、一見いい加減で破天荒な言動の裏で、サッカーに関しては非常に研究熱心で、ETUの監督となってからは、クラブハウスの用具室に住み込み、夜遅くまで次節の対戦相手の分析、研究に力を入れている。膨大な資料から得た情報から、相手の弱点を見抜く洞察力を持ち、試合では徹底的に突く知略家である。また、チームとして結果を出す以外にも、子供の意見に声を傾けたり、選手一人一人の進路について選手側の目線でアドバイスをする思いやりを見せることもある。一方でチャンスやピンチの場面では、感情を露にする。この硬軟入り混じった人柄が、人を惹きつける魅力ともなっている。
ETUの低迷の最大の要因は、「チームに根付いている負けグセ」(メンタル)であることを見抜き、個々の選手との対話や練習の中で改善を促している。
10年前、ETUは笠野GMの「垣根をとっぱらったクラブ作り」という方針のもと黄金期の真っただ中であり、そのチームのエース・精神的支柱であったのが現役時代の達海であり、日本代表においても、当時のエース、成田を脅かすほどの存在感を示していた。そして、なれなれしくも温かいサポーター、良いチームメイト、面白い人間の集まるフロント。笠野が作ったETUを、達海もまた愛していた。有能な経営者だが強引に達海を売り出す施策を取る当時の会長、津川と笠野の折り合いが悪いことが唯一の不安材料だったが、それでも当時のETUが絶頂期であることは確かだった。そんな絶頂期の中、ETUは成田擁する東京Vと激突。その試合で達海は自身の2ゴールを含めて、勝利に大きく貢献。ついには日本代表の監督が、「これからは達海が日本代表の中心になる」と公言するまでになった。いよいよETUは本格的に優勝を狙うクラブになる――
…はずだった。しかしここからETUは転落していくことになる。実は前述の東京V戦で達海は足を負傷しており、離脱を余儀なくされる。するとこれまでの快進撃が嘘のようにETUの成績は低迷(達海離脱後1勝4敗)。さらに達海効果で新顔のサポーター(言ってしまうと、達海目当て)も増えたことで、従来の老若男女混ざった楽しい雰囲気のゴール裏はなくなり、試合後に選手と衝突してしまうほどに荒れたものになってしまった。オフで浅草寺を歩いていた達海に対しても、「ETUは達海のワンマンチームなんだから抜けたらかてるわけない。早く戻ってきてくれ」という勝手な言葉を浴びせる者まで現れた。笠野がどうにかしようと思案をしていたところ、決定的な事件が起こる。
津川会長が、ETUの監督に対して次節での達海ベンチ入りを強要したのである。 理由は、達海を起用したCMがこれから流れるため、それで達海を知った人々に姿を見せるためであった。しかしケガの具合を見れば当然ベンチ外が妥当であり、これに対して当然笠野は猛反発。さらに達海の代役で起用されていた選手、深作の不満が爆発。「そりゃ達海はケガを押してがんばってくれてたけどよ…フロントもサポーターも達海達海言いやがって…そんなに達海が大事かよ!いつからETUは達海ひとりのチームになったんだよ!」
ピッチの内も外もバラバラになってしまったETU。そんな中、かねてから噂のあったイングランドのクラブから達海獲得の正式オファーが届く。それを知った笠野は、達海にこう告げた…
「このクラブを出ろ、達海…」
「このままじゃETUも、お前自身(達海)もダメになる。でもお前が笑ってプレーしてる姿を見てりゃあ、ETUは快進撃していたころを思い出す」
「ETUは俺が守る。これからこのクラブの確個とした信念を俺が担う。」
ETUも、達海も救うにはそれしかない―――その話を聞いた達海は、愛するETUを去っていった。しかしこれらのいざこざは表ざたになっていなかったため、当然サポーターやほかの選手からは好意的に受け取られず、加えて津川が「達海はETUを裏切った」という印象をマスコミに植え付けたらしく、結果的に達海には「裏切者」のレッテルを貼られてしまった。笠野は達海との約束を守るために尽力。達海が抜けガタガタのETUをなんとか1部に残留させた。しかし一方で達海はプレミアデビュー戦でケガを悪化させ、二度とピッチに戻れなくなってしまう。それによって笠野はさらに追い込まれてしまい、加えて津川が退任の置き土産に監督に招へいした不破が、ETUのやり方と全く合わない監督だったこともあり、誰にもETUの崩壊は止められず、達海が移籍した翌年にETUは2部へ降格、笠野は責任を取ってGMを辞任した。
これらの出来事はETUにかかわる人々に様々な遺恨を残しており、それが解消されるのはもう少し先の話である。また、達海が村越に言っていた「チームの戦術やバランス、余計なもんまでお前が背負う必要はねえ」というのは、過去にいろいろなものを背負いすぎた自分のようになるな、と言っているのかもしれない。
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