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震える舌

ふるえるした

『震える舌』とは、三木卓が1975年(昭和50年)発表した小説。及びそれを原作とした1980年(昭和55年)の映画。
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「震える舌」は、破傷風に侵された少女と、その両親を題材にした作品。三木の娘が破傷風菌に感染した時のことをモチーフとして描いている。


物語編集


マンションの近くで泥んこ遊びをしていた少女(三好昌子)は、そこに落ちていた小さな釘で手に怪我をした。母親はよくある怪我だと思い、自宅で一般的な消毒をした。数日後、昌子は食事中に不自然に箸を落としたり、歩き方がおかしくなったり、話し方も普段とはどこが違うようになった。

やがて昌子は痙攣を起こし、自身の舌を噛み切って悶え始めた。大学病院で専門医による検査の結果、昌子は破傷風に罹っていることが判明し、隔離された病室で治療を受けることとなった。

 

父・昭は昌子に及ぼす理不尽な災厄に慟哭し、母・邦江は自責の念に駆られ、錯乱状態となってしまう。防音された真っ暗な部屋で、昌子の看病をする昭と邦江は看病疲れにより、どんどん精神を追い詰められてしまう。病院に残って昌子の看病をしている昭は、苦しみながら寝ている昌子を見て「もしお前が死んだら…お前が何も悪いことしてないのに、こんな苦しい目にあって死んでしまうのなら、他に子ども作らないで、お前だけを愛してやるからね。お前だけを…」と呟いた。


入院して2週間が過ぎた頃、昌子の痙攣は収まり、意識が回復した。邦江は意識が戻った昌子に「何が食べたい?」と尋ねると「チョコパンが食べたい」と答え、主治医・能勢が消化の良い別のものを告げるも、昌子は「チョコパンだよぅ」と叫ぶ。病室にはやっと笑い声が響き渡るのだった…。


主なキャスト編集


三好昭 - 渡瀬恒彦

三好邦江 - 十朱幸代

三好昌子 - 若命真裕子

能勢(昌子の主治医) - 中野良子

江田 - 越村公一

小児科医長 - 宇野重吉

昭の母 - 北林谷栄

昭の兄 - 梅野泰靖

山岸 - 蟹江敬三

山岸の妻 - 日色ともゑ

貞恵 - 中原早苗

私立病院医師 - 矢野宣

加藤健一、佐古雅誉、中島久之、是枝正彦、谷よしの、石倉民雄、別府康子、平野真理、野見山さと子、舟川紀子 ほか


映画編集


1980年(昭和55年)11月22日公開。

監督は「八つ墓村」を手掛けた野村芳太郎監督。医療ドラマというよりも、オカルト・ホラー趣向で制作されており、「新しい恐怖映画」と銘打たれている。


また、破傷風菌に感染した少女・三好昌子を演じる若命真裕子の迫真の演技が話題となった。

余談だが、昌子役の若命真裕子は翌年の1981年(昭和56年)に「典子は、今」で、典子の少女役を演じている。名子役だが、この2本しか出演作がない。


スタッフ編集


監督-野村芳太郎

製作-野村芳太郎、織田明

脚本-井手雅人

原作-三木卓

撮影-川又昴

美術-森田郷平

照明-小林松太郎

音楽-芥川也寸志

テーマ音楽 バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調」

シンセサイザー-小熊達弥

録音-山本忠彦

調音-松本隆司

編集-太田和夫

助監督-大嶺俊順

スチール-長谷川宗平

ロボット製作:水野俊一

協力-聖路加国際病院

配給-松竹


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