作品概要
同人誌「I've rich understanding of my finest defence」を起源とする、オノ・ナツメのNYPDシリーズに属する作品。モーニングツーで連載されていた。
タイトルのCOPPERSとは、警察官の意味するスラングCOPPERの複数形。Copperは直訳すると銅のことだが、由来は昔の警察官の制服に銅ボタンがついていたため。このCopperが短縮され、現在使われている警官を意味するスラングのCOPになる。
ニューヨーク市警察(NYPD)51分署を舞台の中心にした群像劇で、51分署やESU4の警察官や、彼らと関わりのある人々を描いている。警察を描いた作品ではあるが事件そのものは物語の基軸ではなく、人間模様が中心にある。
現在までに単行本二巻、外伝が載った短編集が発売されており、またドラマCDも出ている。単行本にはなっていないが、モーニングツーに付録となった「番外編 108→51」がある
舞台設定
舞台の中心となる51分署はニューヨーク市ブロンクス区に位置しており、ESU4(ESU第4分隊)が隣接している。51分署と言う警察署は実際には存在し無いが、50分署と52分署がブロンクスに配置されている。また作品ではESU4となっているEmergency Service Squad 4(ESS4)は実在しており、50分署と同じ建物に入っている。作品に登場するのと同じ車種のTruck 4もESS4に配備されている。分署の近くにはデリカテッセンがあり、51分署やESU4の警察官らはよくそこを利用している。この地区の住民はあまり豊かではなく、また素行の良くない者も少なくない模様。
シリーズの起源となる同人誌、及び番外編で舞台となるクィーンズの108分署は、同名のものがクィーンズに実在している。
登場人物(キャラクター)
キャラクターは「108→51」を除いて全て小さい絵で描かれる。
NYPD51分署
- グラント警部
51分署長。良性腫瘍を摘出する為に入院した。本編はグラント警部不在初日から復帰前日までが描かれる為、警部自身は作品に登場しない。分署長室の写真で顔出しがあり、またカッツェル警部補と電話で話す場面で台詞がある程度。
- カッツェル警部補
グラント警部不在の間、分署長代理として分署の指揮を任された管理職。寡黙な愛煙家。何かの初日と最終日には、何か良くないことがあるというジンクスが昔からある。巡査最後の日に親しくしていた相棒が殉職してしまい、自分自身のジンクスを思い悩んだこともあった。
- ヴォス警部補
51分署の管理職の一人。有能な人物。日本人ジャーナリストのアキとは、お互いに若い頃からの腐れ縁。好物はチョコレート。巡査→巡査部長→警部補と順調に出世していたが、警部昇進試験に落ちてからは次を受験しようとしない。巡査だった頃にアル中の相棒を告発しており、その事で当時の同僚らの顰蹙を買ったが、本人は意に介していない。51分署の巡査たちからは、その有能さと公平さから信頼され慕われている。
- キース刑事
「I've rich~」の主要登場人物で、その第一話では主人公だった。第51刑事分隊の刑事。かつて108分署でパトロール警官をしていた。相棒のヴァルが新米気分でいることと、最近髪の毛が薄くなってきたのが悩み。シナモンが大好き。家族は専業主婦の妻と娘が一人。妻は108分署時代に同僚の警察官だった。今の妻とは再婚。前妻は男を作って出て行き、後にその男に殺害された。
- ヴァル刑事
キースの相棒。刑事になって数ヶ月経つが、浮ついた態度が抜けない。その為に報告書は誤字脱字が多く、現状にチョコレート菓子をこぼし、覆面パトカーをぶつけるなど失敗もしばしば。このことからキースに度々叱られている。だがキースはヴァルのやる気を認めており、ヴァルに情報漏えいの嫌疑がかけられた時は本気で怒ったこともある。
- アーロン巡査
パトロール警官の一人。仕事に対して旺盛な意欲があり、将来はESUに入りたいと思っている。万年巡査の相棒であるタイラーのことは、当初は「無駄にベテラン」などと軽く見ていたが、ある出来事がきっかけで見直すようになる。
- タイラー巡査
51分署の最古参でアーロンの相棒。服装規定に引っかかるような無精ひげを生やし、腹も出ている。射撃はからっきしで、試験はいつも再開。その分、街を良く知ることで地域の為になろうとしている。貧しく弱い立場の人が多いこの地区で、「明日まで生きてろよ」と人々を励ましている。
- モーリーン巡査
パトロール巡査の一人。自分が女であることを過剰に意識しすぎて、それに負けないようにと頑張る傾向がある。だがそれがあけって徒となり、努力が空回りすることも。真面目な性格で、冗談や軽口を真に受けることも少なくない。警察学校時代の同期生と交際している。
- ティック巡査
モーリーンの相棒。イケメンで女性にモテる。それで騒ぎに巻き込まれたことも。
- ハウスマン巡査
内勤の巡査。大人しい性格で、自ら進んで内勤を選んだ。内勤警官の俗称としてハウスマウス(House Mouse、元はハツカネズミの意)というものがあるので、名前が嵌りすぎている。分署に入る情報はよく把握しており、分署に連行された被疑者の顔も覚えている。趣味でトランペットを吹いているので腹筋が強い。
NYPDその他
- ダールウィッツ刑事局長
NYPDの刑事局長。分署長時代にキースの上司だったことがある。その時にキースの前の妻をからかうようなことを悪気なく言ってしまい、キースに殴られた。だがキースを恨むわけではなく、むしろ気にかけるようになった。
- ダールウィッツ巡査
刑事局長の息子。108分署に配属され、キースが教育をした。
- ビクター
クィーンズにあるESU10の隊員。かつては軍人だったが別れた妻が亡くなったため、娘を引き取って暮らす為にNYPDに転職。採用の為にコネを使った。当初は娘とぶつかることも多かったが、今は理解しあって仲良くしている。108分署の巡査だった頃のキースと知り合い、現在までも良き友人である。
民間人など
- アキ(中野秋光)
日本人ジャーナリスト。学生時代にニューヨークに来て以降、ここを中心として取材活動をしている。まだ報道ビザがない学生の頃に取材活動をし、その時にヴォスから職務質問を受け追求された。以来、ヴォスとは腐れ縁の仲。時々日本のチョコ菓子をヴォスへ持っていくが、ヴォスは素直に受け取らない。だが何だかんだ言って食べてる。
- ラス
51分署の近くにあるデリカテッセンの店員。愛想がよく、警官たちはよく彼にグチをこぼす。
- 爺さん
51分署の近くに住む老人。頻繁に51分署を訪れては、建物を取り壊すように陳情している。かつてBearsというエレベーターの修理会社に勤務していた。
- メリッサ
キースの妻。108分署で巡査をしていた頃にキースと出会い、親しくなって結婚した。彼には警察とは別世界があるべきだと、警察を辞めて専業主婦になった。
既刊情報
- COPPERS (1) ISBN-10:4063727572
第1話~第6話を収録
- COPPERS (2) ISBN-10:4063728072
第7話~第13話、番外編の「Pencil Pusher Blues」を収録
- Danza ISBN-10:4063726495
短編集で、この中にキースとヴァルが主人公の「パートナー」を収録