教会によれば、ダークスポーンは人間の傲慢さが生み出したのだという。
その昔、世界を征服した賢者達が、強欲にも神の国に攻め入った。やがて彼らは創造主の怒りに触れ、自ら冒した罪に相応しい罰を受けた。賢者たちは変わり果てた姿で戻ってきた。それがダークスポーンだ。
ダークスポーンは世界を破滅へと導く恐怖であった。まずドワーフの王国が標的となった。地底回廊の奥底より、ダークスポーンは人々を追いつめていった。
グレイ・ウォーデンが現れるその日までは。
種族や身分の垣根を越え、世界中から勇敢な戦士や魔道士が集結した。グレイ・ウォーデンは犠牲を厭わず闇と戦い、ついに勝利した。
勝利から四世紀、我々はダークスポーンの再来に備えて監視を続けてきた。しかし一度は英雄と呼ばれた我々も、長き歳月を経て人々から忘れ去られている。いまやグレイ・ウォーデンの数は減り、その警告に耳を傾けるものは少ない。私はこの目で世界を見てきた。抗うには既に手遅れなのだろうか。
主のご加護があらんことを。
(グレイ・ウォーデン 指揮官 ダンカンの語りより)
概要
Mass Effectなどのゲームを手がけたカナダのゲーム開発会社バイオウェアによって開発され、2016年現在まで「Dragon Age: Origins」「Dragon Age Ⅱ」「Dragon Age: Inquisition」の三作、番外編として「Dragon Age Origins: Awakening」がエレクトロニック・アーツにより発売されている。
中世風ダークファンタジーな世界観の正統派RPG、多彩な選択肢によって細かい物語が影響するマルチエンディング方式、戦略的なバトル等が特徴。
ゲームシステム
キャラクターメイキング
Originsでは人間、エルフ、ドワーフから。Ⅱでは人間から。Inquisitionでは三種族に加え新たにクナリ族から自由に主人公を作成することができる。Originsではさらに主人公の出自(オリジンズ)を選択することができ、キャラクターメイキングの自由度は高くなっている。
Ⅱを除き、Dragon Ageシリーズでは種族や出自によって会話中の選択肢やストーリーが大きく影響されることがある。
戦闘
戦闘はリアルタイムによって行われる。 基本的に仲間は事前に設定された作戦に従って自動行動を行うが、要所でプレイヤーが時間を止めて直接行動指示を出すことができる。 特にOriginsではアクション性は少なく、戦術が非常に重視されるシステムになっている。
また、Inquisition以前のシリーズでは敵の数が有限であるためにいわゆる経験値稼ぎができず、 そのため計画的なキャラクターの育成が求められる。
好感度
仲間には好感度が設定されており、好感度が上がると能力値が上がったり特別なイベントが発生するなどの恩恵があるが、下がるとパーティーを離れていってしまう。好感度は、ギフトの贈与(Inquisitionは除く)、会話の選択などで増減する。ある仲間の好感度を上げる選択が、別の仲間の好感度を大きく下げることが多々あり、プレイヤーの決断が問われる。
一部の仲間は、好感度が高くかつ特定の条件を満たすと、主人公とロマンスを行うことができる。なお、Awakeningでは主人公が仲間とロマンスを行うことはできない。
ストーリー
Dragon Age: Origins
セダスに5度目の世界的大災害「ブライト」が訪れようとしていた。フェレルデン南部のコーカリ荒野で進軍するダークスポーンの軍隊を確認したグレイ・ウォーデン提督のダンカンは、ケイラン王の兵団やフェレルデンのグレイウォーデンを率いてオスタガーで迎え撃つが、ケイラン王は突如、臣下のロゲイン公爵の裏切りにより亡き者となる。結果として王の軍勢は壊滅し、ダンカンもダークスポーンの手にかかる。ダークスポーンがあとに残したのは血の海だけだった。
オスタガーの戦いでフェレルデンのグレイウォーデンは全滅したかと思われた。新人ウォーデンの主人公とアリスターを除いて。二人はブライトを阻止するため、ロゲインに裏切りの償いをさせるため、壮大な旅路を辿ることとなる。
Dragon AgeⅡ
第5時ブライトの最中、ダークスポーンの襲撃を受けたロザリングの村から避難した主人公のホークとその家族は、フェレルデンの北に位置する自由連邦の街カークウォールに逃げ延びる。しかしこの街もまた混沌の渦に飲み込まれつつあった。
セダス大陸最大の教派「アンドラステ教会」。共に教会が創り出した二つの組織「サークル・オブ・メジャイ」と「テンプル騎士団」の対立構造もまた、深刻化の一途を辿っていた。テンプル騎士団の圧政、魔道士たちの反乱。やがて街で巻き起こるクナリ族との衝突。これらの緊張状態はもはや限界を迎えようとしている。世界に、再び血が流れようとしていた。
一触即発の張り詰めた情勢のなか、 ホークがカークウォールの街をどのように変えていったか、難民がどのようにして英雄となりえたのか、その一代記が世界の運命を変える。
Dragon Age: Inquisition
カークウォールで起きた大事件以降、魔道士とテンプル騎士の関係は深刻化した。教会もまた、両者を抱え込むことが難しくなっていた。両者の一部は教会から独立し、互いに闘争を始めた。教会の最大権力者である教皇ジャスティニア5世は魔道士とテンプル騎士の不和を仲裁するため両者との間に講和会議の場を設けるに至った。聖アンドラステの遺灰が眠るヘイブンの聖灰の神殿にて、続々と有力者達が集まってくる。しかしその最中に突如神殿が謎の爆発によって崩壊し、その場にいた者達や教皇ジャスティニアは巻き込まれ、消息を絶った。あとにはフェイドの魔物を絶えずなだれこむ、空に開いた巨大な亀裂以外に何も残らなかった。片手に印をたずさえ、神殿跡から現れた一人の人物を除いては。
容疑者は教会の探求騎士カサンドラに捕らえられ尋問されるが、手の印を使って天の亀裂を塞いでみせるとたちまちヘイブンの人々から「アンドラステの使徒」と呼ばれ崇められる存在になった。カサンドラは始めこそ使徒を強く疑っていたが、講和会議の爆発以降混乱状態に陥ったセダスの秩序を回復させるため、使徒を加えて古の組織「審問会(Inquisition)」を再び結成させることを決める。
主要用語
セダス
物語の舞台となる大陸。フェレルデン、オーレイなどの国が存在する。
- フェレルデン
殆どのシリーズを通して舞台となる国。セダス大陸の南部にある。400年前よりセイリン家が治める貴族性王権国家。
30年前までオーレイに占領されていたが、マリク・セイリン王らの活躍により独立を果たした。そのため竜の時代(シリーズの舞台の年代)でもオーレイとの関係はあまりよくない。
また過去にグレイウォーデンが反乱した経緯があるため、フェレルデン内のウォーデンが少なく、これがOriginsのダンカンの苦悩の遠因になっている。
- オーレイ
セダス大陸の西部にある国。かつてフェレルデンを支配していたが、マリクを中心とした勢力の活躍により独立されてしまった。近年、最も伸張した国であり、文化的に洗練された国。現在は女帝セリーンが支配している。
「グランドゲーム(又は単にゲーム)」と呼ばれる、貴族が政界でめぐらす駆け引きや陰謀合戦が頻繁に行われている。
- テヴィンター
テヴィンター帝国・大帝国とも。
かつてセダス大陸全域を支配していた大帝国。現在は大陸北部のみ治める。国力の衰退や反乱などで諸国に分裂して、今に至る。魔道士層が支配権を持っており、彼らの行動がブライトを招いたとされる。
賢者と呼ばれる魔道士層が支配階級に位置し、奴隷制度を敷いている。
フェイド
魔法の源となっている精神世界。精霊や悪魔が存在している。あの世。ヴェイルと呼ばれる障壁によって現実世界と隔てられている。
本来なら魔道士のみが夢の中で訪れることができるが、魔道士や悪魔の力によって魔法の才能が無い者達もフェイドに干渉することができる。
ブライト
アーチデーモンとよばれる穢れた竜の古代神が、地底回廊から配下のダークスポーンを率いて地上のセダスに侵攻すること。過去に4回発生しており、Originsでは5回目のブライトが発生することになる。
グレイ・ウォーデンがアーチデーモンを倒すことでブライトは終わる。
アンドラステ教会
創造主とその花嫁の聖女アンドラステを奉る宗派。セダスで最も広く信仰されている。オーレイのヴァル・ロヨーには最高権力者の教皇が属する。
魔道士を管理するために「サークル・オブ・メジャイ」を作り、サークル魔道士の監視役として「テンプル騎士団」を結成させた。また、テンプル騎士では収拾がつかない大きな物事を解決する「真実の探求者」という秘密組織がある。「魔法は人に奉仕するためにあり、人を支配するためのものではない」というのが光の聖歌において最も有名な一節。
- サークル・オブ・メジャイ(サークル)
教会に属する魔道士達の集団。各地に支部があり、最高権力者は「筆頭魔道士」と呼ばれる。魔法の素質がある者は各地のサークル・タワーに集められ、教会の管理とテンプル騎士団の監視の下で然るべき教育を受ける。一度サークルに入れば家族とは切り離され、その一生をサークル内で終えることとなる。そのため魔道士の子供を隠す親、タワーからの脱走を試みる魔道士が後を絶たない。
血の生贄によって他者を操ったりより強力な魔力を扱える禁じられた魔法「ブラッドマジック」を使用した者や、教会に属さない魔道士は背教者の烙印を押され、テンプル騎士の追跡により処刑されるそのため、魔道士はサークルに入った時に血を採取されて聖句箱と呼ばれる瓶を登録され、追跡の際にそれを使用される。また、危険思想を持つと判断された魔道士は魔法の源であるフェイドから切り離され、感情を失った殻静者にされる。
また、フェイドから力を引き出しているゆえに悪魔と接触しやすく、彼らに体を乗っ取られた存在を悪鬼と呼び、魔道士が人々に恐れられる一因となっている。
- テンプル騎士団
教会に属する騎士団。魔道士を監視し、必要があれば始末する。狂信的な者でなければ魔道士を差別したりはしないものの、彼等の存在を快く思っていない者も多い。カークウォールでの一件が特に酷い例であるとされる。
魔道士に対抗する為に特別な訓練を受ける他、リリウムと呼ばれる鉱物を精製した液体を常用しているが、多くの者がその副作用から中毒症状に陥っている。
グレイ・ウォーデン
ダークスポーンと戦う戦士、及び組織全体を指す。人間、エルフ、ドワーフなど種族にかからわず優秀な戦士達が集められている。例え王族であっても身分に関係なく徴兵権を行使することができ、強引に人員を確保することがある。グレイ・ウォーデンになることは広くには最高の名誉と捉えられている。
ダークスポーンの血を飲む洗礼の儀を受ける事で、アーチデーモンやダークスポーンの存在を感知する能力を得る。しかし儀式の過程で体が耐え切れず死に至ったり、30年程経つと血の穢れによってダークスポーンに聞こえるものと同じ幻聴が聞こえ、最終的にはグールと呼ばれる狂気の存在と化す。そのため死期を悟ったウォーデンは地底回廊に潜り、命が尽きるまでダークスポーンと戦い果てるのが伝統となっている。
「平和には警戒を、戦いには勝利を、死には犠牲を」というのが彼らのモットーである。
関連イラスト
別名・表記ゆれ
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二作目:DragonAge2