輸送ヘリコプターや輸送機に搭載(空輸)するため車体重量が抑えられており、
そのために装甲は薄い傾向がある。
(もしくはモジュール式装甲として後付けにする)
戦車として防御力に乏しいという事は、戦車と同じ使い方はできないという事でもある。
戦車の一番の特徴とは、すなわち『高い火力と高い防御力を両立している』という事であり、
この防御力の低さは戦車としての運用に問題を課した。
- 空輸しようとするなら、重量は規定に収めなくてはいけない。
- 重量を規定に収めようとすると、防御力に「しわ寄せ」がいく。
- 防御力を高めようとすると、今度は重くなって結局ふつうの戦車と変わりが無い。
結局は本格的な戦車のような防御力は期待できないのだ。
要は『いくら空輸できても、肝心の戦車としては弱すぎる』とされ、
経費削減も兼ねて「このテの戦車」は装甲車へと統合される事になった。
(スティングレーの前面装甲も「20㎜機銃に耐えられない」のだとか)
また砲塔が存在しない空挺自走砲も存在する、こちらも砲を旋回できないという点以外空挺戦車と変わらない。
ちなみに現在では、M1エイブラムスでもやろうと思えば空輸することは可能である。
(C-17輸送機の最大搭載能力は77t)
ただし、コレをやろうとすると戦車一台に輸送機一機を割り当てなくてはいけない。
現代のアメリカでは1個中隊は3個小隊(4台)+本部(2台)なので、これだけで14機が必要になる。
いくら速いとはいえ、戦車中隊一つにこれだけの輸送力を取られるのは負担が大きいので、戦車の輸送は基本的に船舶やトレーラーで行われる。
主な空挺戦車
- M551 シェリダン最も有名な空挺戦車の一つ。
- M41 空挺専用ではないが車体が軽いため航空機輸送された軽戦車。
- スティングレー 空挺専用ではないが、開発時に航空機輸送も想定していた軽戦車。
- テトラーク 第二次大戦時にイギリス軍が開発した軽戦車。足回りが特徴的。本来は空挺戦車として開発されたものではないが、英軍空挺部隊がグライダーに搭載して運用した。
- M22 第二次大戦時に米軍が開発した空挺戦車。しかし当時の米軍には空挺奇襲装備として運用する装備が無く、供与された英軍空挺部隊で「ローカスト」の名称でテトラークと共にグライダーで運用された。
- 二式軽戦車ケト 帝国陸軍九八式軽戦車ケニの改良型。空挺戦車としての運用計画もあったが戦局の悪化で実現せず、本土決戦用に回された。もちろん使われず終い。