概要
『艦隊これくしょん』の二次創作において、五航戦姉妹(翔鶴・瑞鶴)が一航戦の加賀さんにいびられるというネタがある。
これは史実において一航戦の艦載機乗りが自身の慢心から練度の劣る五航戦を「妾の子」や「足手纏い」などと見下していた事に由来する「五航戦の子なんかと一緒にしないで」というセリフが基になったものだと思われる。(このような慢心が災いしたのか、ミッドウェー海戦で「妾の子」以下のはずだった筈の米機動部隊に無惨にも敗れて全滅。皮肉にもかつて自分達がが見下していた五航戦に一航戦の座を譲る事になるのだが…)
内容は艦載機を赤城さんに喰われるなどのギャグ要素の強いものから、心が痛むようなシリアスな内容のもの、陰湿ないじめまで様々である。
現時点では加賀と翔鶴との組み合わせが多く、ただ「嫌な先輩」「お局さん」的な役柄で、翔鶴が嫌々ながらもそのいびりに逆らえずにいる…というキャラ付けが為されている。
加賀さんの名誉の為にに言っておくと…
無論、これらはあくまで一部のファン(?)による二次創作上のものであり、公式には一切関係がない。
現に加賀を秘書艦に据えた際の時報では五航戦の力量を下に見るような発言を行う一方で、時報では「あの子達もなかなかやるのね」と彼女らを認めるかのような発言もしている。
また、公式作品でも「ミッドウェー以降の一航戦」に対して認める節も見せている。
ノベライズの一作「鶴翼の絆」では、あくまで瑞鶴と翔鶴が「ミッドウェー海戦後に一航戦を継いだ」という史実的事実に焦点が当てられており、加賀は厳しくも「それなりに期待してるわ」というコメントを残し、どこか優しさも見えている。
五航戦とは関係ないが、ファミ通comもプレイ漫画「艦々日和」第24話でも、隼鷹相手だが後の一航戦を見守る描写がある(作者の水本正氏がその当時まだ瑞鶴と翔鶴を所有してなかった事も付け加えておく)
また、現時点では同じ一航戦の赤城が五航戦を見下している素振りは一切見せていない。
風評被害の一因
ミッドウェー海戦で正規空母が4隻沈んだ後に一航戦を継いだのは翔鶴と瑞鶴だが、そのことを加賀が「恐怖」「憎悪」しているというイメージを持つ提督も少なくない。
その一因となる作品が4コマ「吹雪、がんばります」である事は否めないだろう。
『艦これ』初のイベントとなる泊地イベントで瑞鶴と翔鶴が見つかった事に対して、加賀は後輩の無事を喜ぶどころか「加賀さんは恐怖しているッ!」状態に陥っていた。
理由は「自分と赤城、蒼龍と飛龍(当時の二航戦)」が沈んだ後の一航戦を彼女達が継いだ事で4コマ特有の「トラウマスイッチ」が入るというものである。
このネタが「ミッドウェー以後の一航戦(=新一航戦)」に対して加賀さんが消極的ではないかと思われる所以の一つだろう。
ちなみに前述のノベライズ「鶴翼の絆」では、加賀さんは「私と赤城さんの一航戦」が最強の機動部隊であった矜持はあれど「ミッドウェー以後の一航戦」の存在そのものは否定しておらず、むしろ気にかけている。
そもそも真珠湾攻撃以前は鳳翔さんや龍驤と一航戦を組んでた事もある。
また、この事が尾を引いているのか、新一航戦の一人である大鳳の登場回での赤城・加賀は彼女との交流が殆どなかった(大鳳を一航戦として認める事は当時の一航戦空母=瑞鶴と翔鶴を認める事になるため、前述の「ミッドウェー以後の一航戦に恐怖する加賀」というネタに相反する)。
なお、似たような理由で空母護衛部隊の第四駆逐隊に所属していた「舞風」も史実で赤城を雷撃処分した経験から「恐怖しているッ!」状態に陥っていた。
(舞風の名誉の為に言っておくが、雷撃処分は爆撃の炎上によるもので、舞風が赤城を裏切ったりしたわけではない。実際、史実の第四駆逐隊の乗員の手記からは赤城を雷撃処分する事への辛さが書き記されており、舞風のケッコンカッコカリ時のボイスから見ても「赤城を雷撃処分して辛かったのは他ならぬ舞風自身」である事も忘れないでもらいたい)
ちなみにその後、巻雲(飛龍の雷撃処分を担当)の登場に当たっては、トラウマの発動を避ける為か朝から遠征に連れ出されている。
飛龍曰く「嫌な仕事させちゃってごめんね」、との事。
いずれにせよ、少なくとも『艦これ』においては、同じ公式作品でも媒体によってキャラクターの性格付けや立ち位置が変わり得るという事を肝に銘じておきたいところ。
特に「吹雪、がんばります」では、加賀さんが「赤城」と呼び捨てにしている、基本ギャグ寄りの作品であるので、他媒体とのブレが大きい所も否定出来ない。
とはいえ本作でも以後の空母寮の回などを見る限り、落ち着いた後の加賀さんと翔鶴・瑞鶴の仲が悪いわけではなさそうな事も付け加えておきたい。
また、ノベライズ「鶴翼の絆」では瑞鶴自身も一航戦を継いだ事に矜持を抱いている上で、加賀と折り合いをつけており「ミッドウェー以後の新一航戦」に対して史実での事実として認識しているなど4コマの受け取り方もある。