軀の字が通常変換では出てこないため、タグとしては「躯」が圧倒的に多い。
概要
cv:高山みなみ
黄泉が台頭する以前から雷禅と魔界を二分するほどの勢力を築いていた。
雷禅の死により勢力の均衡が崩れ、魔界が大戦に突入することを見越し、
戦力増強の目的で飛影を自国にスカウトした。
滅多に人前に姿を現すことはなく、さらに全身を呪符で覆っている為、知名度のわりにはどのような妖怪であるのかを知る者は少ない。
正体は、半身を機械化した、若く美しい女性の姿をしている。
魔界の奴隷商人・痴皇の娘であり、玩具奴隷として人生をスタートする。
7歳の誕生日に自ら酸をかぶることで痴皇の興味を殺ぎ、捨てられることで自由を手にした。
貢ぎ物として献上された飛影の氷泪石によって抱き続けていた憎しみが癒され救われていただけでなく、痴皇から施されていた催眠を飛影によって知らされ、これを解くことになる。
魔界統一トーナメントでは、2回戦で飛影を、3回戦で棗を破るが、準決勝で煙鬼に敗れた。
底の見えない威圧感を持ち、相手の心の内を全て見透かしたような言動が多い。
その余りの強さゆえに、ほとんどの妖怪たちは彼女との接触を極力避けているため、作中で彼女が実際に戦っているシーンは少ない。
黄泉軍が示したデータによると、妖力値と守備力と特殊能力は三大妖怪の中で最も高いが、体力と攻撃力は最も低い。
しかし、彼女の部下の説明によると、彼女の能力は精神状態に左右されやすく、魔界統一トーナメントのような和やかな大会では本来の実力の半分程度しか発揮できないという。
そのためか、魔界統一トーナメントの準決勝戦では雷禅の昔の仲間であった煙鬼に敗れたが、本気でキレた時の攻撃力は凄まじく、この本来の実力を魔界統一トーナメントで発揮できれば楽に優勝できたとも評されている。
ちなみにこのトーナメントの予選では、他の出場選手たちが彼女の強さに恐れをなして全員棄権したため、不戦勝の形で自動的に彼女の本選進出が決まっていた。
冨樫曰く「飛影と付き合うならどんなキャラがいいか?」と考えて作られたお気に入りのキャラ。
もちろん、「恋人関係は絶対ありえない」と解釈するファンもいるので、使い分けが必要である。
原作とアニメの相違点
容姿
キャラデザイナーの大西雅也は、デザインしていて難しかったキャラクターに軀を挙げており、彼女の素顔をアニメでどう処理するか苦労したという。
そのためアニメ版における素顔の軀は、ほとんどのシーンにおいて顔の右側にレンズがついた布を下げている。
顔形についても原作とアニメで違いがある。
原作では比較的幼い顔形で目はやや垂れ目のレモン型、瞳も丸く大きかった。
アニメ版では細めの輪郭に、原作よりも細くてキリリと上がった目になっている。
髪も原作より長くてボリュームがある。
原作はギャップを、アニメは魔界の支配者候補としての貫禄を重視した印象。
暗い過去の憎しみの象徴として、左手首に手枷がついている。
来歴
テレビアニメでは、放送倫理上ストレートに「玩具奴隷」という設定が使えないために、「囚われの身」という曖昧な表現にされている。
生まれてすぐ捨てられ、売られ、自由のない生活を送っていたが耐えかねて脱走。
このときすでに半身は爛れ機械化されているが、なぜそのような風貌になったのか、アニメにおいてその説明はない。
その後は、周りの全てに対する憎しみを込めて戦い続ける日々であった。
気がつけば、魔界の一角を支配するほどの権力を手にしていたが、幽閉生活の名残である手枷は何をしても外れなかった、という設定である。
能力
空間を切断する能力はアニメのオリジナル。対飛影戦で使用。
飛影VS軀戦
原作漫画act.172「SPECIAL DAY」はアニメ化されていない。
そのかわりに、魔界統一トーナメントでの飛影との試合がオリジナルに描かれ、この話が「SPECIAL DAY」と似た役割を果たしている。
戦いの中で飛影と軀は相手の生きる意味や目的を問い、過去の癒えない傷を抉りあう。
複雑な心理描写が絡み合う話であった。
試合は終始、飛影が攻撃し続けるが、軀は淡々とそれをかわし続ける。
本気を出さない軀に対し飛影が、女としての女々しいこだわりが捨てられないからだと図星を言い、軀の容赦ない反撃を誘う。
この時以外は主に軀が力をセーブし、飛影が自分自身と向き合えるように誘導しながら戦っている。
試合は飛影視点と軀視点が交互に入れ替わる形で描写される。
そのため、試合に臨む両者の複雑な心情が断片的に描かれる。
例えば、軀は試合中盤、これ以上飛影と長く戦っていたくないという理由から、飛影が邪王炎殺黒龍波を撃たなければならない状況に追いこもうとする。
一方、追い込まれた飛影は、本当なら軀に黒龍波など使いたくなかったとつぶやく。
黒龍波vs軀の決着がつく直前、極限状態の中で二人はお互いの名前を絶叫する。
試合は軀が黒龍波を引き裂いての圧倒的勝利だったが、試合後には軀が長年外すことができなかった手枷が壊れる。
飛影のこの時の決め台詞は
「全ての憎しみはもう昔のものだ。お前(軀)にはもう必要ないはずだ」
「全てを捨てるのは早すぎるな、お前も、俺も」
という意味深なものである。
軀によって飛影は過去の呪縛と決別し、同時に飛影によって軀が過去の憎しみから解き放たれる。
軀の部下
時雨:77人いる軀直属の戦士の一人。
奇淋:77人いる軀直属の戦士の一人。「魔道本家」の称号を持つ。
250年間、軀の下でNo.2の座についていたが、後に頭角を現した飛影に取って代わられる。
それまでは、3国のNo.2の中では鯱や北神を凌駕する高い妖力値を誇っていた。
清廉な武人であり、特に軀に不満を持っていたわけでない様子だったが、心の中では軀と戦ってみたいと思ってたようで、魔界統一トーナメント開催が決定した時には「打倒・軀」を公言して憚らなかった。
試合後は再び軀に仕えている。