概要
マードックからの最後の手紙(The last letter from Murdoch)は、樽屋雅徳により作曲された吹奏楽曲。
タイタニック号の一等航海士、ウィリアム・マクマスター・マードック(William McMaster Murdochと、彼が運行責任者となっているタイタニック号の沈没事故をモチーフにした曲である。
2009年にフォスター・ミュージックより販売されている。
1912年4月、世界最大の豪華客船として、ニューヨークへ向け出航したタイタニック号は、その処女航海を終えることなく、海の底へと沈んでいきました。マードックは、タイタニック号に乗船していた1等航海士であり、船が沈む最後の瞬間まで勇敢に乗客の救出にあたった、乗組員の一人です。
彼は、航海中家族に手紙を書くのが日課であり、そこには自分の近況はもちろん、家族を気遣う思いが必ず綴られていました。そんなマードックからの「最後の手紙」には、乗客達で賑わう船上の様子や大西洋からの美しい眺め、そして事故を予感させるアクシデントについて、語られていたかもしれません。
:楽曲紹介より抜粋
曲の構成
冒頭
バスクラリネット、ファゴットによる木管低音の静かで壮大なベースライン、クラリネットに端を発する緩やかな旋律で幕を開け、海への賛歌、これから始まるであろう航海への期待を歌い上げる。
第2主題
北大西洋を渡り、ニューヨークを目指して航海を続けるタイタニック号。
装飾音符とタンバリン、ボーラン(アイルランドの打楽器)を効かせた、軽快な北欧系の民族舞踊風のメロディや、北大西洋の寒空と紺碧の海原を眺めながらの船旅をイメージさせる、ホルン、クラリネット、フルートのそれぞれのバラードが、「手紙」のひとつひとつを美しく綴っていく。
第3主題
金管楽器の不協和音、トランペットの激しいメロディ、躍動するパーカッションにより、突然のアクシデントの発生と、混迷する船内、刻々と迫る沈没へのタイムリミットを描く。
そしてアッチェレランドにより緊張感はピークに達し、低音楽器とフルートがタイタニック号の沈没による終焉を暗示する。
第4主題
ピアノのソロによる海の泡の描写に始まり、ホルン、オーボエ、サックスなどの各種管楽器が、タイタニック号の悲劇に立ち会った人々の万感の想いを静かに力強く込めて歌う。
エンディングに向かってコラールは盛り上がり、クレッシェンドと高らかに響くファンファーレ、緩やかな主旋律がマードック達の「最後のメッセージ」を聴く者に送り届ける。
主な演奏団体
土気シビックウインドオーケストラ(Toke Civic Wind Orchestra)