概要
キリスト教の最大教派であるローマカトリック(カトリック教会)を信仰する修道士であり、中世イタリアで最も著名な聖人の一人で、カトリック教会と聖公会で崇敬されており、イタリアの守護聖人の一人でもある。
また、自身独自で開いたカトリックの会派『フランシスコ会(フランチェスコ会)』の創設した。
思想
西洋では基本的に自然と人類は対立する関係で、人類は自然の驚異を克服し、管理しなければ為らないとされている。
しかし、彼は西洋人としては非常に珍しく、自然との調和重んじていた聖人として有名であり、国や宗派を超えて世界中の人々から敬慕されている。
彼の思想をよくあらわしたものに、彼が死の床で歌われたという有名な『被造物の讃歌』があり、この讃歌には
「もの皆こぞりて御神を讃えよ、光のはらから(同胞)なる日を讃えよ」
という著名な一節があり、これは『(兄弟たる)太陽の讃歌』と呼ばれることもある。
そこで彼は、『太陽』『月』『風』『水』『火』『空気』『大地』をも「兄弟姉妹」として主(神)への讃美に参加させており、はては『死』でさえも「姉妹なる死」だとして迎えているのである。
彼は、この世のありとあらゆるもの(森羅万象)は、みな神の下に生まれた兄弟姉妹であり、この世界は『清貧』『自由』『神の摂理』とが分かち難く結びついていて、この三者が調和してこそ明るい生活を営むことができると考えていた。
逸話
フランチェスコはウサギ、セミ、キジ、ハト、ロバ、オオカミに話しかけて、心がよく通じ合ったといわれており、魚に説法を試みたり、オオカミを回心(信仰に心を向けること)させたという伝説があり、小鳥に説法を説いたという逸話は特に有名である。
彼のそういった事績から、1978年から2005年までローマ教皇の位にあったヨハネ・パウロ2世は、1980年にフランチェスコを『自然環境保護(エコロジー)の聖人』に指定した。