概要
第二次世界大戦時に、アメリカ合衆国のハリー・D・ホワイト財務長官補佐が原案し、その後コーデル・ハル国務長官に提出され、大日本帝国に送られた、事実上の最後通告。
その内容は以下の通りである。
- 日本の支那・インドシナからの軍隊及び警察力の撤収
- 日本は重慶にある中華民国国民政府以外の支那におけるいかなる政府、政権を認めてはならない
- 日本の支那大陸における海外租界と関連権益全ての放棄(事実上の意訳)
つまりは満州事変以前の状態に戻せという要求である。
もしこの要求を飲めば、日本の軍隊を当時の支那(現:中国)から引き揚げなければならず、そうなれば治安が維持できなくなり、 日本人居留民は租界も認められなければ日本に引き揚げざるをえない上、 辛亥革命以降、一国多政府の時代に突入した中国大陸で、戦乱と飢饉の拡大・繰り返しによって絶望の淵に追いやられ、日本に保護されていた中国の流民を見捨てることとなってしまう。
満州国も認めてはならないということであれば、満州に住んでいる日本人も日本へ引き揚げなければならず、そうなれば日本軍がいなくなった満州は荒廃してしまう(満州は、前述の辛亥革命以降、混沌とした中国の流民にとって最後の駆け込み寺だった)。
更にはソ連の南下を許して大陸に共産主義が蔓延し、朝鮮半島まで迫られれば日本は喉元にナイフを突き付けられたような状態になってしまう。
日本人を日本列島に押し込めて、 貿易を遮断し衰えさせるという魂胆があったとされる。
この通告が、日本の真珠湾攻撃の原因、果ては日米開戦の原因とも言われる。