概要
ギャラルホルンがグレイズ・フレームをベースとして秘密裏に開発していた阿頼耶識システム研究用の実験機で、研究施設に於いて開発途中で放置されていた。
パイロットはアイン・ダルトン。地球軌道上での鉄華団との戦闘に於いて重傷を負い、ガエリオ・ボードウィンの決断で阿頼耶識システムを施術された上で、損傷したシュヴァルベ・グレイズに代わり本機に搭載する事になったが、阿頼耶識システムの性能をフルに発揮する為の措置としてパイロットと機体を一体化させる措置が施されている。
そもそも厄祭戦の泥沼化が行き過ぎた機械化思想にあり、その代表たる阿頼耶識システムをはじめとした有機デバイスシステムを禁忌と謳いながらもその有用性故に手放す事が出来なかったギャラルホルンにおいては負の象徴と言えるが、そこに目を付けたマクギリス・ファリドに組織の権威を失墜させる手段としてアインと共に利用された。
胴体フレームやリアクター、頭部センサー等にベースとなったグレイズの名残を見る事が出来るものの、一体化している人間の脳が自覚しやすい形状に換装された大型の四肢フレームの存在もあって、機体サイズも20m超と一般的なモビルスーツよりも巨大になっている。
まさに異貌とも言えるフォルムを持つMSだが、伸びた手足の影響からかシルエット自体は何処かスリムな印象も与える。
戦闘に於いては「本機=自分の体」と完全に認識する高感度阿頼耶識システムの恩恵もあって、既存のMSとは次元を異にする反応速度と挙動の自由度を誇り、機体とパイロットを多角的に直結した事で阿頼耶識を単純なインターフェースとして用いる以上にパイロットの思考を機体にダイレクトに反映させ高い戦闘能力を発揮する。その生々しいまでの生物的挙動は敵パイロットに生理的嫌悪感すら抱かせるが、一方でパイロットの精神に異常をきたすなどの弊害も生み出している。
また、装備する武装は射撃兵装なども併用する事が多かったグレイズやシュヴァルベ・グレイズとは違い、対モビルスーツ戦に特化した格闘兵装を多数搭載。機体性能と阿頼耶識システム、そしてアインの執念が融合した結果、鉄華団を屠る為のハンティング・マシーンと化した。
エドモントンでの戦闘ではその性能を遺憾なく発揮、流星号や漏影2機を次々と倒し、三日月・オーガスのガンダム・バルバトスをも追い詰めた。しかし、三日月がリスク無視でバルバトスの阿頼耶識システムを全開にしたことで形勢を逆転され、最後はコクピットに太刀の一撃を受けて沈黙した。
機体データ
型式番号 | EB-AX2 |
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全高 | 22.2m |
本体重量 | 38.6t |
動力源 | エイハブ・リアクター |
武装 |
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パイロット | アイン・ダルトン |
武装
専用大型アックス
グレイズ・アインの主兵装。
グレイズのバトルアックスと同様の対モビルスーツ戦用装備だが、バトルアックス以上のサイズと刃渡りを持つ。
強化された腕部出力もあってグレイズ・アインはこれを二振り装備し、それぞれ片腕で振るう事が出来る。
なお、非使用時にはバックパックにマウントされるが、そのマウント部はシュヴァルベ・グレイズのフライトユニットを流用している。
パイルバンカー
腕部に装備されたパイルバンカー。モビルスーツの装甲を貫通するだけの貫通力を持ち、その衝撃力はナノラミネートアーマーを突き破る程。戦闘に於いてはガンダム・バルバトスのレンチメイスを最も強度のある先端部から破砕して見せた。
主にマニピュレーターで敵を押さえ付けた後の一撃として用いられる。使い捨ての兵装であり、使用後はユニットごとパージされる。
肩部格納式機関銃
肩部コンテナユニットに搭載された機銃。グレイズ・アイン唯一の射撃兵装。
格納式とはいえ展開・照準・発砲のプロセスが非常にスムーズで、命中精度も恐ろしく高い。更にはあらゆる方向に射撃可能なため、対人・対モビルワーカー用に使用される他、敵の砲撃を撃ち落とす為にも用いられる。
ドリルキック
脚部には爪状の接地部分をコーン型に変形・高速回転させる事で蹴りに対象掘削機能を追加する機構が備わっている。
その高速回転と突き出されるように放たれた蹴りのエネルギーから来る一撃は敵のナノラミネートアーマーの防御を突き破ると共に装甲を抉り、更に内部構造すらも破壊する。
スクリューパンチ
ドリルキック同様にマニピュレーターを高速回転させて敵を殴りつける格闘用装備。
使用時にはマニピュレーターをロックするが、モビルスーツにとってデリケートな部位でもある為、これが使われるのは武器を全て喪失した後であると言える。
余談
コロコロコミックで情報が公開された際に、「全身凶器」「ガンダム史上最も残虐なラスボス」などの宣伝文句で紹介され、作中で披露したギミックもあって印象的な活躍を見せた。
一方、同時期に映像化した「機動戦士ガンダムサンダーボルト」のサイコ・ザクとは共通点の多さもあって比較される事が多く、パイロットの置かれた立場や機体との一体化の度合い、装備する武装の傾向の違いなどが特に話題に挙がる。
なお、「スクリューパンチ」「ドリルキック」の名称はデザインを担当した海老川兼武によるとデザイン作業初期のアイデアラフに書いていたものがそのまま採用された事が明かされている。
データカードダス「ガンダムトライエイジ」には鉄血の4弾で初出。最高レアであるシークレットレアで登場している。