概要
アニメ「おそ松さん」の第16話Bパートの話。
一松がカラ松に扮して巻き起こすドタバタ劇(という名のおそ松との攻防)が描かれている。
普段の一松からは想像もつかないような行動(テンパり具合やズレ具合)、発言(常識的なツッコミや心の本音)なども描かれており、第5話Bパートの「エスパーニャンコ」とはまた違った形で、彼の意外な一面を見ることが出来る回。
ストーリー(ネタバレ注意)
ある日の昼下がり、一松は二階の部屋のソファーで眠るカラ松を見つける。その足元にはカラ松が脱ぎ捨てたいつものイタい私服と、参考にしていると思われるメンズファッション誌。
すると一松は突然、猫耳を生やし周囲を確認。そろそろとファッション誌に手を伸ばし…………次の場面ではカラ松の私服を着込んだ一松が現れた。しかも、手鏡を眺めるなど、どうも悦に浸っているような姿で。
が、そこへパチンコに行っていたはずのおそ松が帰ってくる。
日頃馬鹿にしているカラ松の服を、それも勝手に着ていることがバレたら我が身の破滅。だが、おそ松が服装だけを見て「カラ松」と呼びかけてきたことを幸いに、一松はそのままカラ松になりすまして誤魔化すことを決めた。
おそ松の数々のツッコミにも、ちょっとズレたカラ松のイタい真似と、「風邪」という言い訳で強引に押し通しつつ、一松は何とかおそ松を追っ払おうとする。
しかしその場を去るどころか腰を落ち着けてしまったおそ松は「一松がネコのエサ用に買っていた煮干し」を取り出してきた。焦る一松。
おそ松にとっては「ネコも食べれる人間のおやつ」だが、一松にとっては「友達のための食べ物」。おやつとして一緒に食べるように勧めてくるおそ松に内心では殺意全開になる一松だが、保身を優先して一緒に食べてしまう。
しかし、その様子を友達(ネコ)に見られてしまい……(違うんだぁぁぁぁ!!)
そんな一松の気も知らずおそ松は、今度は「そのサングラスと皮ジャンを着てみたい」と言い出す。それどころではないと押し問答する内に、一松は苦し紛れに
「俺は…お前が好きなんだよ!最近そっちに目覚めたんだ。だからお前の前で薄着になんかなったら……」
と意味不明な嘘をついてしまう。もちろんおそ松はドン引き。一松はますます自分の首を絞める結果に。
苦肉の策として「1000円やるから競馬に行け」と(カラ松の財布から金を抜き)、ギャンブルを餌になんとかおそ松を追い出しかけ、安堵する一松。
だが、最悪のタイミングで寝ていた本物のカラ松が起きてしまう。一松はまだカラ松の服を着たままなのに。今度こそ終わったと、気を失いかける一松。
ところが、カラ松は即座に何が起きているかを把握したのか、置いてあった一松の服を代わりに着て自分が一松のふりをすることでこの場を収めようとしてきた。
カラ松による一松の真似はツッコミどころ満載のものだったが、それはともかくその優しさと機転の利かせ方に感動した一松は、日頃の殺伐はどこへやら、心の中で叫ぶのであった。
(オレはもうカラ松boysだよぉぉぉぉぉ!!!)
そんな二人を怪しみつつも、ようやくおそ松は出て行く。
おそ松が去った後、事情を聞こうとするカラ松だが、一松は「誰にもバラすな」と逆ギレする。この状況で強気。
そして、とにかくまず着替えようとカラ松に言いつけ大慌てでお互いの服を元に戻そうとした一松だったが、足がもつれて転んでしまう。
そこへこれまたおそ松が「忘れ物をした」と戻ってきてしまう。
おそ松が見たものは、上半身裸で折り重なって床に倒れているカラ松と一松の姿だった。
「お邪魔しましたー、誰にも言わない」
「やめてよ、カラ松兄さん……」
「違うってぇぇぇぇぇぇ……!」
昼寝をしていただけなのに、訳が分からないまま巻き込まれるという安定のカラ松オチで話は終了した。
余談
- おそ松にはバレていたのか?
最初は「カラ松」と声をかけておきながら、「声、いつもと違くね?」「髪がボサボサ」と本物のカラ松との違いを指摘し、さらに「闇のオーラと友達いないオーラと、性格ひん曲がったクソみたいな雰囲気を感じる」と、ほぼピンポイントで一松だと見抜いているようでもあるので、弟たちのことはお見通しな長男のポテンシャルは高いと言えるだろうか。
しかしその後の会話はあくまで「カラ松」相手として進行しており、それに元々がギャグであることを考えると何とも言えず、真相は闇の中(そもそもおそ松の性格自体が奇跡のバカであるため)。
しかし、雑誌PASH!3月号の一文にて 知っていて気がつかないフリをしているように見える というニュアンスが掲載されていることから、やはり気がついた上で弄ばれていた可能性が高い。
ちなみにカラ松は、自分の服を着ていたのが一松だと寝起きで見抜いている。
- 趣味の一致?
これまで、トト子の部屋に呼ばれた際にバンドマンの恰好をしていたりと、服の趣味に意外性がある印象が尽きなかった一松であるが、今回、カラ松のイタいファッション雑誌に手を伸ばしただけに留まらず、その服(カラ松曰く「パーフェクトファッション」)すら着込んで見せた。しかも手鏡でチェックしたりとノリノリで。
これを見ると、日頃辛辣な扱いをしている次男の服をリスクを冒してまで着たということもあって、なんだかんだ一松のファッション感覚や趣向はカラ松と同じ方向である可能性が高い。
単に別の服装に興味があっただけかもしれないが。
何はともあれ、一松事変本編にて「(カラ松の服を)一度着てみたかった」と心の中で発言している。
- おそ松視点のオチ
さて、安定のカラ松オチについてだが、これをおそ松視点から見ると…
カラ松からいきなり爆弾発言をされる
↓
一松から「カラ松に大事な話があるから」と競馬を断られている
↓
少し目を離した隙に部屋にて…
というとんでもない状況が出来上がっているため、ドン引いたと思われる。
しかもおそ松自身が第13話Cパートでも分かる通り、「奇跡のバカであるが故に、(無意識に)地雷をきれいに踏んでいく」スタイルであるため、この誤解を素直に受け入れている可能性がある。
※上述の「おそ松にはバレていた?」の記事と似たようなことがいえる。
- ちなみに
漫画『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(83巻)において「おそ松くん」がネタとして取り扱われた際に両さんがおそ松たち六つ子を紙に描いて見せ、同僚に解説するシーンがある。
この時、六つ子が見分けられるか、の例示として「一松の顔マネをしているカラ松」というネタが出ていたりする。