機体概要
サナリィ第2月面開発研究所で開発された実験用試作型モビルスーツ。F90から続く「フォーミュラ計画」で開発された機体である。
従来は戦艦サイズの機体にしか搭載出来なかったミノフスキー・ドライブユニットを搭載した初のMSである(初の実戦用ミノフスキー・ドライブ搭載機は後年に開発されたV2ガンダムであり、本機はミノフスキー・ドライブの搭載実験機である)。
ミノフスキー・ドライブによって同世代のモビルスーツと比較して高次元の加速性能と機動性、航続性能を発揮し、機体耐久力やエネルギー問題さえ解決出来れば理論上その最高速度は光速に限りなく近づくと言われている。
なお、ミノフスキー・ドライブはV2ガンダムのようなV字ではなくクロスボーン・ガンダムと同じX字型に配されている。
また、モビルスーツへのミノフスキー・ドライブ搭載が開発目的の実験用モビルスーツであるため、基本フレームはF97、即ちクロスボーンガンダム及びフリントの物を流用している点が特徴として挙げられ、パーツの共有率は75パーセントとなっている。
その為、サナリィでは当機のパーツ供給用にF97の部品も僅かながら製作されており、海賊軍残党は補給を受ける事が出来た。
なお、実験機である為固有の固定武装も持たず、携行武装もフリントのものを流用している事から実戦向きの機体とは決して言えないが、実戦に於ける本機のアドバンテージはミノフスキー・ドライブによる高機動性にあると言える。
当時のサナリィは新作機体のF97(=クロスボーンガンダム)を地球連邦軍へのプレゼン前に性能テストを兼ねて宇宙海賊クロスボーン・バンガードに提供していたところ、思いがけず海賊軍と木星帝国との戦いが地球圏にまで及んでしまったため、非合法の海賊への協力の事実を隠すためにF97の販売を断念せざるを得なくなり、開発費を回収できずにいた。その挽回のために開発されたのが本機F99レコードブレイカーである。
だが、後述の通りテスト中に試作機と開発データが全て破壊または強奪されてしまい、本機もまた日の目をみることはなかった。しかし開発スタッフの中にウッソ・エヴィンの母ミューラ・ミゲルと思われる女性が含まれており、その開発思想は後のV2ガンダムに受け継がれていく。
機体データ
型式番号 F99 (F-99)
所属 サナリィ
建造 サナリィ第2月面開発研究所
生産形態 試作機
武装
改良型ザンバスター
ビームザンバー
劇中での活躍
同型機が3機製作され月面にてテストを行っていたが、その情報を察知した木星帝国軍の襲撃を受ける。木星帝国一般兵のアマクサ部隊はその機動性で翻弄し一蹴してみせたが、木星総統影のカリストの駆るコルニグスには歯が立たず、3機とも撃墜された。
機体データと予備パーツも研究所内に突入した別働隊によって破壊され失われた事から、機体の開発計画は頓挫したものと思われる。
しかし、この際に木星側にデータを強奪されていたらしく、後に本機のデータはアマクサと共にサウザンド・カスタム(サーカス)の一機であるファントムのベースとされた。