レコードブレイカー
れこーどぶれいかー
サナリィ第2月面開発研究所で開発された実験用試作型MSであり、F90から続く「フォーミュラ計画」の系列機であり、一説にはF90Wタイプから発展した機体とも言われる。
従来は戦艦サイズの機体にしか搭載出来なかった次世代推進機構である、ミノフスキー・ドライブを15m級モビルスーツに搭載可能なまでにダウン・サイジングし採用した初のMSである(初の実戦用ミノフスキー・ドライブ搭載機は後年に開発されたV2ガンダムであり、本機はミノフスキー・ドライブの搭載実験機である)。
ミノフスキー・ドライブの恩恵により、同世代(はおろか、15年以上未来の)MSと比較して高次元の加速性能と機動性、航続性能を発揮し、機体剛性やエネルギー問題さえ解決出来れば理論上その最高速度は亜光速に達する(詳細な機構はV2ガンダムの該当項を参照)。
しかしながら、本機のミノフスキー・ドライブの完成度は未だに低く、稼働時には欠陥である「光の翼」が常時発生してしまっている(「光の翼」が全く生じない仕様となって、ミノフスキー・ドライブは完成と言える)。
デザイン上の特徴として、ミノフスキー・ドライブはV2ガンダムのようなV字ではなくクロスボーン・ガンダムと同じX字型に配されている。フェイスデザインもザンスカール帝国機を思わせるものだが、こちらは連邦軍へのプレゼン時には、ガンダム・タイプ調に変更する予定であったとの事。
また、モビルスーツへのミノフスキー・ドライブ搭載が開発目的の実験用モビルスーツであるため、基本フレームはF97、即ちクロスボーンガンダム及びフリントの物を流用している点が特徴として挙げられ、パーツの共有率は75パーセントとなっている。
その為、サナリィでは当機のパーツ供給用にF97の部品も僅かながら製作されており、海賊軍残党は補給を受ける事が出来た。
なお、実験機である為固有の固定武装も持たず、携行武装もフリントのものを流用している事から実戦向きの機体とは決して言えないが、ミノフスキー・ドライブによる速度と運動性能は、近接格闘戦特化機であるクロスボーンガンダムの挙動ですら「鈍い」と感じさせるほどである。
当時のサナリィは、先だって新鋭機であるF97(=クロスボーンガンダム)を地球連邦軍へのプレゼン前に性能テストを兼ねて宇宙海賊クロスボーン・バンガードに提供していたところ、思いがけず海賊軍と木星帝国との戦いが地球圏にまで及んでしまったため、非合法の海賊への協力の事実を隠すためにF97の販売を断念せざるを得なくなり、開発費を回収できずにいた。その挽回のために開発されたのが本機F99レコードブレイカーである。
だが、後述の通りテスト中に試作機と開発データが全て破壊または強奪されてしまい、本機もまた日の目をみることはなかった。しかし開発スタッフの中にウッソ・エヴィンの母ミューラ・ミゲルと思われる女性が含まれており、その開発思想は後のV2ガンダムに受け継がれていく。
また、ザンスカール帝国が開発したミノフスキー・ドライブ搭載MSであるザンスパインの設計には、本機の開発に関与した技術者が参加しているとの資料もある。