概要
2017年4月6日に放送されたエピソード。
同日は1997年4月1日のアニメ放送開始から20周年を記念した1時間スペシャルであり、このエピソードが放送されたのは後半(7:25~7:55)である。
公式がギャグ面を推し、それを裏付けるように底抜けに明るかった今までのエピソードとは打って変わっての終始シリアスなエピソードであり、その落差が異常に激しい。
本編要約
16話でも出てきた橋の下で、ニャビーは老齢のムーランドからほのおのキバを教わっていたが、ムーランドは時折咳き込んでいた。傍らに生えている枯れかけた木の枝に生えている数少ない葉が、1枚散っていく。
後日、ニャビーの必死の訴えを見て、ムーランドの元へ急行したサトシが見たのは、苦しみながら蹲っているムーランドの姿。
ポケモンセンターへ連れて行き、ジョーイに診てもらった後、木の実を買ってムーランドに差し入れようとしたが、ムーランドとニャビーはいなかった。
彼らは橋の下へ戻り、ほのおのキバの練習をしていた。また1枚、葉が散っていく。
眠りの中で、ムーランドが消える夢を見るニャビー。朝起きるとムーランドがいなくなっていた。
まだ一枚だけ葉が生えているのを見たニャビーは必死に探し回るが見つからず、ムーランドが座っていたソファーの脚が壊れ、最後の1枚の葉がソファーの上に舞い散った時、ニャビーは雨が降り出す中で慟哭の声を挙げる。
しばらく葉の側で丸くなり、寄り添うサトシを拒絶する態度を貫いたニャビー。だがその後雨が止み、ソファーの上の葉が舞い上がった空を見たニャビーは、ムーランドにそっくりな形の雲を見つける。
サトシからの誘いに、同情なんてイヤだとバトルを申し込むニャビー。サトシはピカチュウを繰り出し、バトルを少し行った後にニャビーが自らモンスターボールへと入り、サトシはニャビーをゲットした。
戦いを終えたニャビーが見上げる空には、ムーランドの形の雲に寄り添うかのように、虹の橋がかかっていた……
TVシリーズ初の「死」
劇場版ではポケモンが死亡するエピソードがあったり、TVシリーズでも本編開始前の過去にトレーナーが死去していたことが語られたエピソードはあったものの、TVシリーズ本編中において、登場キャラクターが明確な形で死去するエピソードが描かれたのは、20年を数えるアニポケの歴史の中で今回が初めてのことである。
本エピソード内では一切直接的な描写(「死」という言葉、永遠に動かなくなるムーランドの姿、墓の描写etc.)をしなかったが、以下のような暗喩的な描写をすることによって視聴者に「死」を印象づけた。
- 枯れかかった木の枝に生えている葉が一枚ずつ落ちていき、最終的には全て散ってしまう
- 葉が川の上に落ち、そのまま流れていく
- 葉が空に舞い上がり、そのまま上空へと飛んでいく
- ジョーイがムーランドが衰弱している理由をサトシに語る場面は、ガラス越しに会話している姿のみが描写される
- 夢の中でニャビーがムーランドの元へ行こうとするが一向に距離が縮まらず、いなくなる
- ムーランドが座っていたソファーの脚が折れ、その上に最後の一枚の葉が乗る
- 「ムーランドはどこロト?」と問うロトム図鑑にククイ博士が「…聞くな」と一言のみ答える
- 数日に渡って降り続く雨と、彩度の落ちた色彩で描かれる世界
- ムーランドの形の雲と、その側にかかる虹
猫同士気にかけるニャース
16話でニャビーのオヤビン肌を気に入ったニャースは、ムーランドの元へ向かうサトシたちを一人追いかけた。
その先のポケモンセンターでジョーイとの会話を盗み聞き、事情を理解したニャースは、夜更けに抜け出したニャビーたちを探すサトシ一行の前に現れ、「ニャビーのことを見守ってほしい」と言って姿を消す。
その後もニャビーの行末に思いを馳せ、ムーランドの死に塞ぎ込むニャビーの元へ趣き、話を聞こうとしたり、サトシとニャビーのバトルとゲットを見守り、「これでよかった」と納得するなど、何かとニャビーを気にかける描写が見られた。
これはニャース自身の境遇がニャビーとどこか重なるところがあり、それ故に他人(他猫?)事とは思えないからだろう。
また、今エピソード中ではニャースのキャラソンである「ニャースのバラード」が挿入歌として使用されている。
その後に関して
32話でのアーカラ島の課外授業1日目はムーランドを使っての宝探しであったが、ここでサトシは厩舎にいる大勢のムーランドの群れを見て老ムーランドの事を思い出している。この出来事はサトシにとっても深く心に残っている様子である。